>ブガッティ

ブガッティ・トゥールビヨンはもともと「W16」の予定だった。ただしコスワースの「W16は高回転自然吸気に向きません。V16で行きましょう」の一声でV16に決定【動画】

ブガッティ・トゥールビヨンはもともと「W16」の予定だった。ただしコスワースの「W16は高回転自然吸気に向きません。V16で行きましょう」の一声でV16に決定【動画】
Bugatti

| 結果的にこのV16エンジンはブガッティにとって「正解」であったのだと思われる |

そしてこのV16エンジンはほかのどの自動車メーカーであっても真似はできないであろう

さて、ブガッティ・トゥールビヨン発表の余波が収まらぬ昨今ではありますが、今回「なぜV16エンジンが選ばれたのか」という動画が公開に。

当初ブガッティは(ヴェイロン、シロンと同じく)W16エンジンをトゥールビヨンに搭載する予定だったそうですが、そこから急遽「市販車では84年ぶり、わずかに4例目の」V16エンジンを積むこととなった経緯について紹介されています。

ブガッティCEOが新型ハイパーカーについて語る。「ほとんどの人が新型ブガッティはEVにすべきだろうと言った。そうするのは簡単だが、簡単な道を選ぶのは私のやり方ではない」
ブガッティCEOが新型ハイパーカーについて語る。「ほとんどの人が新型ブガッティはEVにすべきだろうと言った。そうするのは簡単だが、簡単な道を選ぶのは私のやり方ではない」

| ブガッティの新型ハイパーカーはフロントに2つ、リヤに1つのエレクトリックモーターを搭載することも判明 | あわせて比類なきクオリティとクラフトマンシップをあわせ持つことにも言及される さて、ついに ...

続きを見る

ブガッティ・トゥールビヨンは「自然吸気エンジン」ありきで設計された

ブガッティ・トゥールビヨンは当初から自然吸気エンジンの搭載を前提にしていたといい、それはおそらく「ハイブリッド化が決まっていたから」だと思われます。

もしもハイブリッド化していなければ、ヴェイロンやシロンと同じくターボ化せねば環境規制をクリアできなかったのだと思われますが、ハイブリッドという強力なカードがあればターボチャージャーを使用する必要はなく(ターボを採用するとパワートレイン全体が複雑で重くなり、かつハイブリッドとあわせての制御も難しくなる)、この免罪符によって自然吸気という選択が出てきたのだと考えていいのかもしれません。

そしてブガッティCEO、メイト・リマック氏はまずW16エンジンを自然吸気エンジンとして再設計すべくコスワースと連絡を取りますが、このコスワースはレース用エンジン製作の第一人者として知られ、数々のレース用エンジンのほか、アストンマーティン・ヴァルキリー、GMA(ゴードン・マレー・オートモーティブ)T.50 / T.33のエンジンを設計・製造したことでも有名です。

BUGATTI-World-Premiere-Presskit-Images-16
Bugatti

そして今回の動画では、コスワースのマネージング ディレクターであるブルース・ウッド氏がW16からV16へと変更された経緯について以下のように語っています。

ブガッティが我々に連絡を取ったのは、当初W16を継続するためでした。我々はブガッティと協力し、適切なベースを決めてゆくことになったのですが、ブガッティの希望は「高回転型自然吸気エンジン」でした。そこで私は、彼らに「W16エンジンは高回転自然吸気に向く構造ではありません。ですからV16にしましょう」と言ったのです。メイト・リマック氏は、最初からターボチャージャーを望んでおらず、よってトゥールビヨンに積むエンジンはV16エンジンへと決定したのです。

実際のところ、トゥールビヨンはV16「自然吸気」エンジンを採用することでターボチャージャー、そして補機類を排除することができ、ハイブリッド化したにもかかわらずシロンよりも軽く仕上がっているため、このV16自然吸気エンジンの選択は正解であったと言えそうです。

BUGATTI-World-Premiere-Presskit-Images-09
Bugatti

ブガッティのV16エンジンはおそらく「もっとも多く生産されたV16エンジン」に

このV16エンジンについては今までにレーシングカーやコンセプトカーを含めるといくつかの採用例が存在し、レーシングカーではマセラティ、アウトウニオン(アウディの前身)、アルファロメオ、コンセプトカーだとキャデラック・シックスティーン、プロトタイプではBMW「シークレット・セブン」、少量生産車ではチゼタV16T(11-13台しか作られていない)が存在します。

何このBMW 7シリーズ?なんとBMWは80年代に「V16エンジン」をテストするために”シークレットセブン”なるV16エンジン搭載”767iL”を製作していた!

| ただしというか当然ながら市販化にいたらず永遠に闇に葬られることに | BMWが自身のFacebookにて、なんと「過去にV16エンジンを開発していた」という事実を公表。自動車史上「16気筒」エンジ ...

続きを見る

一方、量産車だと7.4リッターV16エンジンを搭載したキャデラック シリーズ452(1930年)、8リッターV16エンジンを積むマルモン シックスティーン(1931年)、7.1リッターV16のキャデラック シリーズ90(1938年)の3台のみだと記録されており、今回のブガッティ・トゥールビヨンにて(キャデラック シリーズ90の生産終了から数えて)実に84年ぶり/4例め。

なお、ブガッティ・トゥールビヨンの生産台数は250台に絞られていますが、バリエーションを含めるとその数はさらに膨らむ可能性があり、もしも「400台」を超えることになれば、マルモン シックスティーンのエンジン生産数を超え、もっとも多く生産されたV16エンジンとして自動車史に刻まれることになるのかもしれません。

ブガッティ・トゥールビヨンのエンジンが「V16」となった経緯を収めた動画はこちら

合わせて読みたい、ブガッティ関連投稿

ブガッティ
ブガッティはトゥールビヨンの他にも様々なモデル展開を考えている?「ブガッティはスポーツカーだけを作ってきたわけではありません。フロントエンジンも可能です」

| たしかにトゥールビヨンの「250台」のみでは足りず、ブガッティは他の展開を考える必要がある | おそらくはロールス・ロイス同様、コーチビルドをビジネスの新しい柱とすることとなりそうだ さて、ブガッ ...

続きを見る

新型ブガッティ「トゥールビヨン」は限定250台、その価格は6.5億円。「我々は次の世紀にも芸術品として評価されるためにあえて困難な道を選びました」。そこに採用される技術とは
新型ブガッティ「トゥールビヨン」は限定250台、その価格は6.5億円。「我々は次の世紀にも芸術品として評価されるためにあえて困難な道を選びました」。そこに採用される技術とは

| トゥールビヨンはヴェイロンよりもシロンよりも「ブガッティ」なハイパーカーである | これほどまでにブガッティの思想を体現したクルマは さて、ブガッティは先程「限定台数250台、価格6億5000万円 ...

続きを見る

ブガッティが新型ハイパーカー「トゥールビヨン」発表。伝統のW16エンジンではなくV16エンジンを積み、その命名もレーシングドライバー由来ではなく腕時計の複雑機構から
ブガッティが新型ハイパーカー「トゥールビヨン」発表。伝統のW16エンジンではなくV16エンジンを積み、その命名もレーシングドライバー由来ではなく腕時計の複雑機構から

| その外観こそはシロンに近いように思えるが、コンセプト、エンジニアリング、クオリティはまったく別のクルマである | これまでブガッティが作ってきた数々の派生モデルのノウハウがここに生かされているよう ...

続きを見る

参照:Top Gear

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->ブガッティ
-, , , , ,