
| 現時点ではこのサービスを利用できる工場、対応できる距離や環境についてはアナウンスされていない |
これが「実用化」できれば非常に画期的である
さて、先日はテキサス州オースティンにてロボタクシーの運用を開始したばかりのテスラですが、今回は「無人状態の自動運転にて、工場(ギガファクトリー)からユーザー宅までの納車を行った」と自社の公式Xへ投稿がなされることに。
投稿を見ると文字通り「無人で」テスラの工場を出てから街なかを抜け、オーナーの元へと届けられるさまが記録されていますが、テスラは先日も「工場内での移動を完全自動にて行うようになった」とコメントしており、ますます自動運転の活用範囲が広くなるのかもしれません。
-
-
テスラが自社工場内で「完成後、出荷スペースまで敷地内を移動し、駐車場に整列する様子」を収めた動画が公開。「これで完全自動運転に一歩近づいた」
Image:Tesla | 今の段階では、予測不能な一般道での機能は「難しい」 | それでも画期的な技術であることには間違いない さて、テスラが自社工場内にて「完成車が生産ラインを離れ、出荷に使用する ...
続きを見る
テスラの「自動運転による納車」はこうやって行われる
そこで動画を見てみると、比較的長い距離を走っていて、その途中ではこういった「一般のクルマに混じってストップ&ゴーを繰り返す」場面も。
そして無事にオーナー宅へと届けられ、もしこれが「ヤラセなし」であれば非常に画期的であると考えられます。
なお、現時点では「どの範囲(距離)までこれが可能であるか」言及されておらず、誰もが選択できる納車オプションなのかどうかもナゾのまま。
World's first autonomous delivery of a car!
— Tesla (@Tesla) June 28, 2025
This Tesla drove itself from Gigafactory Texas to its new owner's home ~30min away — crossing parking lots, highways & the city to reach its new owner pic.twitter.com/WFSIaEU6Oq
テスラの自動運転技術の現状とは
テスラの自動運転技術は、その高度な機能と将来性から大きな注目を集めていますが、現状では以下のような課題と期待も抱えています。
- レベル2(部分運転自動化)が主流: テスラの自動運転機能「オートパイロット」や「Full Self-Driving (Supervised) (FSD)」は、現在、レベル2の「部分運転自動化」に位置付けられています。これは、特定の条件下(高速道路での車線維持や追従走行など)で運転を支援するもので、ドライバーは常に状況を監視し、必要に応じて操作を引き継ぐ必要があります。
- FSD (Supervised) の展開: FSD (Supervised) は、より高度な運転支援機能を提供し、米国、カナダ、中国、メキシコ、プエルトリコで利用可能。これは、高速道路でのオンランプからオフランプまでの誘導、自動での車線変更、駐車支援などが含まれますが、イーロン・マスク氏の声明によれば、FSDの安全性は人間の運転を上回るとされており、しかしドライバーの監視は必須です。
- ロボタクシーへの取り組み: テスラは、完全自動運転タクシー「ロボタクシー」の実現を目指しており、一部地域では限定的ながらも公道での走行を開始しているものの、先行するWaymo(ウェイモ)やクルーズなどの他社と比較すると、まだ「後発組」と見なされることも。
- ソフトウェアアップデートによる進化: テスラは定期的なソフトウェアアップデートによって、自動運転機能を向上させています。特に、AIと機械学習を活用したFSDのバージョンアップは、より人間らしいスムーズな運転挙動を実現していると評価されていて、Dojoと呼ばれるスーパーコンピュータによるAI訓練も、今後のFSDの精度向上に大きく貢献すると期待されています。
自動運転を取り巻く課題
なお、自動運転については「車両」だけではなく、「規制」といった障壁も大きく立ちはだかります。
- 法規制の壁: 各国・地域における自動運転の法規制は、完全自動運転の普及にとって大きな課題です。現在、多くの国でレベル3以上の完全自動運転は法的に認められておらず、日本でもレベル3の自動運転車が認可されているものの、テスラの目指すFSDのようなレベル5(完全無人運転)には未対応です。
- 安全性と事故リスク: オートパイロットやFSDはドライバーの負担を軽減する一方、システム作動中の事故も報告されています。国家道路交通安全局(NHTSA)などによる調査も行われており、テスラはソフトウェアアップデートによる改善を進めていますが、完全な安全性の確保にはさらなる技術開発と検証が求めらるといった状況です。
- 技術的な制約: 天候や環境によるセンサーの誤検出、他の車両や歩行者との予測困難な動きへの対応能力向上など、技術的な課題も残されています。特に、テスラが採用するカメラとAIを中心としたビジョンシステムは、悪天候時や夜間の視認性において、LiDAR(ライダー)を併用する他社システムと比較して課題が存在する可能性も指摘されています。
- 「監視あり」の状況: 現在のFSDは「Supervised(監視あり)」での動作が認められ、ハンドルに手を置いていなくても良いものの、ドライバーは常に前方を監視し、必要に応じて介入できる状態であることが求められます。完全な無人運転への移行には、このドライバーの介入が不要となる「Unsupervised(監視なし)」状態への技術的・法的な移行が必要です。
「自動運転」今後の展望
テスラは継続的な技術開発とソフトウェアアップデートにより、完全自動運転の実現を目指していますが、特にロボタクシーの事業展開は、テスラの自動運転技術が実用化されるかどうかの大きな試金石となるのは間違いがないところ。
加えて法規制の整備や社会的な受容性の向上も、テスラの自動運転が普及していく上で不可欠な要素となり、完全自動運転の実現は「テスラ単独では」進められないといったこともわかりますね。
-
-
テスラの自動運転システムが開始早々「サービス停止」に追い込まれる。理由は「精度が低い」からではなく「規制の変更」だとされるもののテスラにとっては”苦しい門出”に
| テスラはこの自動運転(FSD)を大きな収益の柱だと見込んでいる | おそらくは「規制対応後」問題なく対応できるものと思われる さて、テスラは今月はじめ、中国にて自社の自動運転システム「FSD(フル ...
続きを見る
合わせて読みたい、テスラ関連投稿
-
-
ついに中国にて自動運転(FSD)の提供を開始したテスラ。メディアのテスト中にライバルの「倍以上」となる34件もの交通違反を記録し”課題の多さ”が浮き彫りに
| さらには「ドライバーが介入せねばならない状況」もライバルより多く記録 | ただしここからテスラはデータ収集と分析を重ねることで精度を増すものと思われる さて、つい先日テスラは中国において「完全自動 ...
続きを見る
-
-
テスラの自動運転システムに「致命的な弱点」?「壁面に描かれた風景」を本物の風景と認識し、停止することなく壁に突っ込んでしまう【動画】
| テスラはその自動運転システムを「カメラ」のみに依存しており、超音波やレーダーを使用していない | ほとんどの自動車メーカーがLiDARを使用し周囲の状況をマッピングするのとは対照的である さて、テ ...
続きを見る
-
-
テスラのロボタクシーがついに公道デビュー。ただし「招待制」で一般利用不可、「あなたは乗れません」。なお料金は1回あたり670円
それでもテスラの株価は9%も急騰 イーロン・マスクCEOの資産はこの1日で約1兆5000億円も増加することに 2025年6月23日はテスラファンにとって少し特別な一日となっており、というのもテスラがつ ...
続きを見る
参照:Tesla(X)