
| EVに“感情”を──AMGが挑む「電動でもワクワクできるクルマ作り」 |
疑似ギアシフト&V8風サウンドで“本物らしさ”を演出
多くの自動車メーカーが挑戦してきた「エモーショナルなEV」づくり。
成功した例はごくわずかであり、しかしメルセデスAMGは、“ガソリン車の魂”を持つEVの開発に果敢に取り組み、これを実現しようとしています。
メルセデスAMG GT XXの発表イベントにて、メルセデス・グループの技術責任者マルクス・シェーファー氏は疑似的なギアシフト(フェイクシフト)やエンジンサウンド、振動演出の搭載を明言し、その方向性について改めて触れています。
「音、振動、ギアシフトの感覚……それらが感情に訴えかけてくることが重要。そうでなければAMGとは言えない」
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パワートレインは3モーター、最高出力は1,300馬力超え
このメルセデスAMG GT XXにはパドルシフトによる疑似変速が導入され、SNSではすでに“シフト風の動作”を模した動画が公開済み。
しかし今回、ついにAMG公式からの正式な言及がなされた形となり、さらにはV8サウンドを再現するスピーカーをフロントヘッドライト内(つまりガソリン版メルセデスAMGがエンジンを積む位置)に搭載予定だとも述べ、同社幹部は「これは我々が開発した中で“最高のV8”だ」とコメントするほどのこだわりっぷり。
メルセデスAMGにとって、音・振動・加速感のすべてが“体験”であり、単なる電動化では顧客の期待を満たせないという明確な哲学が垣間見えるように思います。
GT XXコンセプトの駆動システムは、3基のアキシャル・フラックス・モーター(YASA製)を採用し、前輪に1基、後輪に2基を配置し、最高出力は1,340馬力にも達します。
市販型もこのスペックに近いとされ、AMGの電動化における“真剣度”が伺えますが、気になるのはそのパワーをどう手懐けるのか、そしてどう表現するのか。
「出力や走行性能だけではなく、“AMGらしさ”──音や振動も含めた全体体験が重要なのです」
V8のフィーリングファンをEVへ──AMGが抱える“最大の課題”
さらにマルクス・シェーファー氏はこうも述べ、これは単なるマーケティング上の言い訳ではなく、内燃機関に対する“情緒的な愛着”を理解した上で、それをEVで再構築しようという意思の表れなのかもしれません。
「生粋のV8ファンをEVに移行させるのは非常に難しい。純粋なEVだけでは“仕事”にならないのです」
参考までに、メルセデスAMGは電動化への移行に際し「我々のファンが求めるのはパフォーマンスやテクノロジーであってV8エンジンではない」とコメントしており、つまりは「電動化でしかなし得ない領域に踏み込み、それを活用したガソリン車以上のパフォーマンス」を示すことができればファンは納得するであろうという見解を示したことも。
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しかし実際にはAMG C63に関する一連の出来事が示すように「メルセデスAMGのファンはパワーやパフォーマンスよりも、V8エンジンのサウンドやフィーリングを求めている」ということが明らかになり、そこで今回のような「電動化時代であってもV8エンジンの”味”を残す」ことにしたのだとも考えられます。
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そしてその決断は「すでになされ」、よって今後のメルセデスAMG名義の電動化ニューモデルは「V8エンジンを意識させる」味付けがなされることになるものと思われますが、いつかは(ユーザーの入れ替わりとともに)「ガソリン車を模したEV」も消え去るものと思われ、こういった現象もまた「EV移行期における、かりそめの客」なのかもしれませんね。
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