
| ボクが予想したのとはずいぶん異なる姿で出てきたが |
メルセデスAMG、未来のEVスポーツ「CONCEPT AMG GT XX」を発表
さて、メルセデス・ベンツが予告通り「メルセデスAMG CONCEPT AMG GT XX」を正式発表。
革新的なアキシャルフラックスモーターと高性能バッテリーにより「1000kW超・360km/h以上」という走行性能と、約5分で400kmの急速充電を実現する「実用的なハイパフォーマンスEV」で、実際に2026年に市販するとアナウンスしています。
なお、このクルマは発表前から「ヴィジョン・ワンイレブン(下の画像)」にインスパイアされたクルマになると言われており、ぼくとしてはかなり期待していたのですが、スーパーカー的というよりは「乗用車的」なルックスにて登場しているのがちょっと残念。
ただしメルセデスAMGは別途ハイパーカーを発表するものと見られており、そちらはおそらく「より」ヴィジョン・ワンイレブンに近いルックスを持つに至るものと思われます。
Image:Mercedes−Benz
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高性能EVの新基準へ──CONCEPT AMG GT XXが示す「未来の性能」
このモデルに搭載されるのは、3基のアキシャルフラックスモーター(軸流型モーター)と、新開発の高性能バッテリーシステム。
その結果、以下のような”従来のEVの常識を覆す”スペックを実現しています。
- システム出力:1,000kW超(約1,360ps以上)
- 最高速度:360km/h以上
- 航続距離(WLTP):400kmを5分でチャージ可能
Image:Mercedes-Benz
アキシャルフラックスモーターとは?──超高効率・軽量・小型モータ
アキシャルフラックスモーターは、従来のラジアル型モーターとは異なる構造を持ち、回転軸に沿って電磁力が発生するという特徴を持ち、そのメリットは以下の通り。
そのメリットとは?
- 従来のモーター比で3倍のパワー密度
- 同等出力で重量は約3分の2、サイズは約3分の1
- 持続的な高トルクと安定した出力
- 車両パッケージングの自由度向上
メルセデスAMGによれば、このモーターはわずか9cm未満の厚みで構成されており、リアに搭載される2基のモーターは約8cmの薄さとのこと。
Image:Mercedes-Benz
超急速充電と熱マネジメント技術も革新的
新しくメルセデスAMGが開発した高性能バッテリーは充放電時でも常に最適な温度範囲を維持できるように設計され、連続的な高出力走行が可能となるなど現行EVではほぼ前例のない実用性と性能を両立させています。
- 400km分の航続距離を約5分で充電可能
- 充電直後でも即フルパフォーマンスで走行可能
Image:Mercedes-Benz
AMGならではの“情熱”をデザインと技術に込めて
GT XXもまた「GT」「AMG ONE」「300SL」「シルバーアロー」などの名車と同様、AMGの“アイコン”として設計されており、そのモチーフはもちろんヴィジョン・ワンイレブン。
つまりこのメルセデスAMG GT XXは、その前身である「ヴィジョンAMGコンセプト」から大きくデザインが変化しており、ヴィジョンAMGコンセプトが発表された2022年5月から今までの間にメルセデスAMGの中で大きなデザイン的シフトがあったことを意味します。
Image:Mercedes-Benz
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デザイン責任者ゴードン・ワグナーはこのデザインにつき「感性を刺激する『センシュアルピュアリティ(官能的純粋さ)』を体現している」と語り、技術だけでなくエモーションを重視したことが明かされています。※デザイン言語自体は、段差やエッジを抑えて流れるような美しさを演出するという”センシュアルピュアリティ”を継続
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なお、リアもヴィジョン・ワンイレブンを連想させるデザインを持っており、今後メルセデスAMGのデザインは「この方向性へ」向かうことになりそうですね。
Image:Mercedes-Benz
随所にはメルセデス・ベンツ例題モデルをモチーフにしたディティールが見られ・・・。
Image:Mercedes-Benz
「リアウインドウレス」というあたらしい特徴も。
Image:Mercedes-Benz
ちなみにリアパネルは充電ステータスなどを表示できるようですね。
これは「MBUX Fluid Light Panel」と説明されており、700個以上のRGB LEDを使用したもので、「デジタルAMGロゴ」表示などの演出も行えます。
Image:Mercedes-Benz
そのほか、エクステリアの特徴は以下の通り。
- 空力重視のフォルムとcd=0.198の驚異的空力性能
- アクティブ・エアブレーキと可変エアロホイール
- 下部ディフューザーやエアカーテンなどモータースポーツ技術を応用
- 発光塗装「MBUX Fluid Light Paint」を採用し、夜間に光る演出も可能
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この「可変エアロホイール」は”回転中に自発電し、5枚のエアロブレードを開閉してブレーキ冷却や空力制御を行う”世界初のホイール技術なのだそう。
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将来の市販モデルに反映予定──AMG.EAプラットフォームとは?
今回のGT XXに投入された技術は、AMG独自のEV専用プラットフォーム「AMG.EA(Electric Architecture)」に組み込まれ、2026年以降に登場する量産EVへと段階的に導入予定。
この新型プラットフォーム「AMG.EA」はGT XXはアルミ・スチール・CFRPなどの素材を組み合わせ、バッテリーを車体構造の一部として取り込み、クラッシュ時の安全性も確保されています。
GT XXでは前輪に1基、後輪に2基のアキシャルフラックスモーターを搭載し、システム合計で1,000kW(約1,360ps)を発生しますが、後部には2つのモーターとトランスミッション、インバーターを一体化したユニット(HP.EDU)を採用し、前部にも必要時のみ作動する「ブースターモーター」を備えています。
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メルセデスAMG GT XXの内装にも“最新のテクノロジー”
そしてもちろん、新型メルセデスAMG GT XXのインテリアにも最新技術が盛り込まれ、主な特徴は以下の通り。※しかし市販時にはいくつかのデザインや機能がトーンダウンすることになりそうだ
ちなみに内外装の制御は統合され、上述の「自発光式リアパネル」もシャシーそしてインフォテイメントシステムと統合し制御される、とのこと。
- 10.25インチと14インチのデュアルスクリーン構成
- シンプルで機能美にあふれたミニマル設計
- 3Dプリントで個人フィットするレーシングシート
- MBUXシステムによりエネルギーの流れや回生状況をリアルタイムで可視化
Image:Mercedes-Benz
メルセデスAMGの電動スポーツは次のフェーズへ
「CONCEPT AMG GT XX」は、市販EVスポーツの概念を一新するモデルとなることは間違いなく、AMGが掲げる「心臓はエレクトリックモーターに変わっても魂はそのまま」を具現化した一台であり、今後の「AMG.EA」プラットフォーム採用車の未来を象徴しています。
Image:Mercedes-Benz
メルセデスAMG GT XX 主要スペックまとめ
項目 | 内容 |
---|---|
モーター構成 | アキシャルフラックスモーター×3 |
総合出力 | 1,000kW以上(1,360ps超) |
駆動方式 | AMG Performance 4MATIC+ |
最高速度 | 360km/h以上 |
充電時間 | 5分で約400km分(DC) |
空気抵抗係数(Cd) | 0.198 |
サイズ(全長×全幅×全高) | 5,204mm × 1,945mm(ミラーを含めると2,130mm) × 1,317mm |
Image:Mercedes-Benz
メルセデス AMG GT XXを紹介する動画はこちら
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