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いったいなぜ?「ロシアでのみ」でポルシェ車が突然走行不能に陥り「ただの置物」に。原因はいまだわからず混乱が広がる

ポルシェ

| 原因は「衛星追跡システム」か、それとも意図的なシャットダウンか |

現時点では対策もなくオーナーは「ポルシェに乗れない」状態に

ロシア国内にて、数百台に及ぶポルシェ車が突然エンジン停止や燃料供給遮断に見舞われ走行不能となるという異例の事態が発生しているとの報道。

この現象は2013年以降のガソリンエンジン搭載車(カイエン、マカン、911など全モデルが対象)で報告されており、現地のオーナーやディーラーに混乱が広がっています。

ロシアの主要ディーラーグループであるロルフ(Rolf)は、11月28日からサービス要請が急増していることを確認しており、原因としてポルシェの車両追跡システム(VTS:Vehicle Tracking System)が疑われているのだそう。

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高性能車が動かない「レンガ」と化す謎の現象

  • 対象車種:2013年以降のガソリンエンジン搭載ポルシェ全モデル(カイエン、911、マカンなど)
  • 現象:エンジンが突然停止し、再始動不能となる(燃料供給遮断)
  • 推定原因:盗難防止用の衛星追跡セキュリティモジュール(VTS)が信号を喪失し、安全対策として車両を無効化した可能性
  • 憶測:ディーラーは「意図的に行われた可能性」を示唆。ウクライナ戦争に関連するGPSジャミングや、2022年の事業停止によるシステムメンテナンスの停止も原因として疑われている

詳細:システムがその車両を「盗難車」と誤認か?

ロルフのサービスディレクター、ユリア・トルシュコワ氏は、ロシアのニュースサイトRBCに対し、「現在、全モデルおよび全種類の内燃機関で接続が失われている。どの車両もブロックされる可能性がある」と述べ、問題の深刻さを強調しており、つまるところ現在は「原因もわからず打つ手無し」。

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VTSの機能とエラー発生の仕組み

今回の問題の主な原因として疑われているのは、ポルシェの車両に工場で搭載されているVTS(車両追跡システム)ですが、これは以下のようなシステムです。

  1. VTSの役割:この衛星追跡を使用するオンボードセキュリティモジュールは、車両が盗難にあった際にGPSで位置を特定し、遠隔でエンジンを無効化(イモビライザーを作動)して盗難を阻止するための「安全装置」として機能
  2. 信号喪失時の挙動:システムは、車両が衛星信号を失った場合、安全上の予防措置として車両を自動的にロックダウンし、エンジンを停止させる仕組みになっている

今回の現象は、このVTSが何らかの理由で衛星通信を失った、あるいは故意に遮断されたことで、車が自らを「盗難車」と誤認し、緊急停止モードに入った可能性が高いと見られています。

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ディーラーが示唆する「意図的な遮断」の可能性

ロルフは「VTSシステムによる遮断は意図的に行われた可能性がある」とコメントしていますが、現時点でそれを裏付ける具体的な証拠はなく、その一方、その他の原因として以下の説が浮上しているようですね。

  1. GPSジャミング:ウクライナ侵攻に関連し、ロシア国内で発生しているGPS衛星通信の妨害(ジャミング)がVTSの衛星信号喪失を引き起こした可能性
  2. メンテナンスの停止:ポルシェは2022年にロシアでの事業を停止しており、車両セキュリティシステムに必要なアップデートやメンテナンスが停止された結果、大規模なシステム障害につながった可能性

オーナーによる「一時的な回避策」

さらにロルフやオーナーの報告によると、現在判明している”一時的な”回避策は以下の通り。

  • 工場アラームユニットのリセットと分解:元ディーラーによると「工場にてアラームユニットをリセットし、分解することでブロックを回避できる」
  • システム切断:VTSシステム自体を無効化するためにコネクタを外すなどの対応が一部のオーナーの間で機能している
  • バッテリー切断:車両バッテリーを長時間(10時間など)外すことで、一時的に機能が回復したとの報告もある
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背景:ポルシェの**「公式撤退」**と「非公式な流入」

こういった報道を見るに、「ポルシェ本社としてはどういった対応をするのか」ということが気になりますが、実はポルシェは2022年のウクライナ侵攻後、ロシアへの新車輸出を「正式に」停止済み。

しかし、新車および中古車は私的な輸入業者やディーラーによって非公式なルート(並行輸入など)で依然として国内に流入し続けているというのが現状です。

このため、ロシア国内に何台のポルシェ車が存在し、今回の問題で何台が影響を受けているかはわかっておらず、ポルシェが最後に完全な営業年を記録した年には、国内で6,262台を販売しており、その半数以上がカイエンであったという騎楼が残るのみ。

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正式にその市場から撤退し、そして対象国がいかにロシアと言えども「放っておくことはできない」事態ではあるように思われ、今後のポルシェの対応に注目が集まるところです。

加えて今回のトラブルは、高性能車のオーナーが「リモート接続されたセキュリティ機能の意図せぬ副作用、あるいは国際情勢の副産物によって高価な資産を使えなくなる」という、現代のコネクテッドカーが抱える脆弱性を浮き彫りにした一件でもあり、一つの疑問を自動車業界へと投げかけることとなりそうですね。

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参照:CARBUZZ

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