
Image:Chery
| 「現実的な」5ヶ年年計画をもって「Exeed(エクシード)」ブランドから参戦 |
この記事のハイライト
- 中国初のル・マン参戦: Chery(奇瑞汽車)の高級ブランド「Exeed(エクシード)」がル・マン24時間レースを主催するA.C.O.と提携し、中国メーカーとして初めての参戦を目指す
- 5年間の段階的計画: 地元の耐久レースから「アジアン・ル・マン・シリーズ(ALMS)」への参戦を経て、最終的にル・マン24時間本戦に挑むという、着実なロードマップを公表
- 市販車へのフィードバック: Cheryは本社のある蕪湖(Wuhu)にル・マン認定サーキットを建設し、レース技術を市販車(特に強力なプラグインハイブリッド)の開発に活かす「走る実験室」として活用する計画
世界の耐久レース界に激震。Chery Exeedがル・マンへの挑戦状を叩きつける
中国の国営自動車メーカー「Chery(奇瑞汽車)」。
今回そのハイエンドブランドであるExeed(エクシード)をもって「世界で最も権威ある耐久レース、ル・マン24時間レース」へと参戦するという歴史的な一歩を踏み出すことを発表しています。
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これは単に中国の自動車メーカーがレースに参加するという話に留まらず、Exeedはすでにポルシェ、トヨタ、アストンマーティン、BMWといった世界の強豪マニュファクチャラーと同じ土俵で戦うことを目指し、5年間にわたる壮大な戦略的計画「Road to Le Mans」を公表ずみ。
この発表は、中国の自動車産業が単なる生産拠点から、技術と性能で世界トップレベルに挑む段階に入ったことを象徴していますが、ここではExeedがル・マンへの道のりとして定めた3つのフェーズ、そしてその挑戦が中国の自動車技術にもたらす「新しい可能性」について見てみましょう。
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Exeedが描くル・マンへの3段階ロードマップ
Exeedは、ル・マン24時間レースの創設・主催者であるフランス西部自動車クラブ(A.C.O.)と戦略的協力協定を締結し、この提携に基づき、ル・マン本戦出場という最終目標に向けた明確なステップが設定されています。
1. 第一フェーズ:技術と人材の土台固め
まずCheryは、「Exeed統一レース」と呼ばれる独自の耐久レース選抜システムを立ち上げます。
- 目的: 車両技術の磨き上げ、強力なチームの構築、そしてレースに必要な優秀なドライバー人材の発掘
- 意義: 地元レースを通じて実戦データを蓄積し、ル・マンという過酷な環境に耐えうる技術的・人的基盤を固める
2. 第二フェーズ:アジアの舞台での実力証明
次にExeedはアジアン・ル・マン・シリーズ(ALMS)に参戦。
- 参戦カテゴリー: LMP2、LMP3、そしてLMGT3クラス
- 重要な条件: 特にLMGT3クラスへの参戦資格を得るには、メーカーが年間2,500台以上の市販車を製造している必要があり、これはExeedがレースカーと市販車の技術的連携を重視していることを示唆している
3. 第三フェーズ:ル・マン本戦への挑戦と技術革新
最終段階として、「Exeedル・マン・チーム」が設立され、ル・マン24時間レース本戦へと出場。
- テストベッドの構築: Cheryは、本社がある安徽省蕪湖市にル・マン認定サーキットを建設することでA.C.O.と合意
- このサーキットは中国国内のトップレベルのレースイベントを開催するだけでなく、Exeedの市販車の改良のための「走る実験室」として使用される予定
この計画により、Exeedはレースで得た耐久性や効率に関する知見を、彼らの市販モデルに直接フィードバックし、グローバル市場での競争力を高める狙いがあるわけですね。
侮れない中国メーカーの技術力:内燃機関の限界とハイブリッド技術の採用
このル・マン参戦の発表において、注目すべきは「Exeedがどのようなパワートレインで勝負に挑むか」。
Cheryが自社開発した最も強力な純粋な内燃機関(ICE)は2.0リッターターボ4気筒で261馬力ですが、これは現代のトップレベルのレースでは明らかに不足しています。
しかし、Cheryは「C-DMプラグインハイブリッド技術」に力を入れており、このシステムは複合出力が最大では610馬力にも達するもの。
そしてル・マン24時間レースの最上位クラスである「ハイパーカー」クラス(Hypercar / LMH / LMDh)は、ハイブリッド技術の採用が主流となっており、Exeedがル・マンに参戦することは、彼らが強みとする高性能PHEV技術、特にバッテリーとモーターの耐久性と効率を世界に証明する絶好の機会となることは間違いなく、よって「ハイブリッド」システムを用いると考えるのが妥当です。
競合他社の動き:モータースポーツで実力を示す中国メーカー
さらに驚くべきは、Cheryだけではなく他の中国自動車メーカーもモータースポーツへの積極的な投資を進めていることで、現在の中国の自動車メーカーの勢いを見るに、もしかすると本当に各種モータースポーツにて上位に食い込み、あるいは支配してしまうのかもしれません。
Geely(吉利汽車)傘下のLynk & Co(リンク&コー)
- 実績: Geely傘下のLynk & Co Cyan Racingは、FIA TCR World Tourシリーズにおいて最も成功したチームの一つ
- タイトル数: 2019年以降、Lynk & Co 03 TCRで合計9回の世界タイトル(チームタイトル)を獲得しており(検索結果に基づく。2025年までに10回以上という情報もあり)、中国メーカーのモータースポーツにおける実力を世界に示している
- 今後の展開: 来年からは新型のGeely Preface TCRレースカーに切り替える予定
Your car. Your style.
— Lynk & Co (@LynkCoGlobal) September 18, 2025
We've partnered with German tuning legends HEICO SPORTIV to bring you high-end styling and performance upgrades. From sports suspensions to custom rims, every modification is backed by your (cont) https://t.co/FH9Ntkvb3d pic.twitter.com/vgAQqtnMNK
Geelyの子会社 Horse Powertrain
- 活動: Geely、ルノー、アラムコの合弁会社であるHorse Powertrainは、ジュニアレースシリーズのフォーミュラ4のサービスパートナーを務め、また大学のエンジニアリングコンペティション「フォーミュラ・スチューデント・チャイナ」を支援
- 意義: 若い才能の育成と次世代のレーシング技術開発へと積極的に関与
結論:ル・マン参戦は「中国車=安物」のイメージを払拭する鍵
Chery Exeedのル・マン参戦計画は、単なるPR活動ではなく、世界最高峰の舞台に挑戦することで、ブランドイメージを向上させ、技術的な信頼性を証明し、「中国車=安価で粗悪」という古いイメージを完全に払拭することを目的としています(かつては日本車も欧米から「玩具としてはよくできている」とバカにされていたが、1980年代以降急速にそのポジションを上げており、それが今度は中国の自動車メーカーによって繰り返されるのかもしれない)。
加えてモータースポーツは「走る実験室」でもあり、極限状況にて培われた耐久性と高性能PHEV技術は間違いなく将来のExeedやCheryの市販車にフィードバックされることでグローバル市場での競争力を高めることも予想され、この挑戦は中国の自動車産業が品質と性能において、欧米や日本といった伝統的な自動車大国に肩を並べようとする揺るぎない決意の表れであり、世界の自動車業界にとって「新しい驚異」をもたらす出来事なのかもしれません。
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参照:Exeed, CarNewsChina













