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BYDのハイパーカー、ヤンワン(仰望)U9 エクストリームがニュルにてEV史上最速ラップ「6分59秒157」を達成、もはやトップ争いは「中華勢」に絞られる

BYDのハイパーカー、ヤンワン(仰望)U9 エクストリームがニュルにてEV史上最速ラップ「6分59秒157」を達成、もはやトップ争いは「中華勢」に絞られる

Image:BYD

| ヤンワン U9は「最高速世界No.1」に加え「ニュル最速EV」の称号も獲得 |

1. 序論:中国EV技術の「常識破り」——U9が刻んだ歴史的タイム

BYDのハイエンドブランド「仰望(Yangwang)」が送り出した電動ハイパーカー、U9 エクストリーム。

先月のEV最高速度記録(496.2km/h)樹立に続き、世界有数の難関サーキット、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(北コース)において新たな金字塔を打ち立てたことが正式にアナウンスされています。

【本当に発売】BYD「ヤンワン U9 エクストリーム」、出力3,000馬力、最高速度496.2km/hでギネス更新、全パワートレーン含む「世界最速」に【動画】
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今回、U9 エクストリームは「グリーンヘル」として知られる全長20.832kmのコースを6分59秒157で周回。

これは、電動車として史上最速のラップタイムであり、量産車ベースのEVカテゴリーにおける性能の限界を押し上げる結果となりますが、この圧倒的なパフォーマンスは単なる速さの記録更新に留まらず、BYDが開発した革新的なEV技術の優位性を証明するものであると考えていいのかもしれません。

なお、これまでの「EV最速」もまた中国のEVメーカー、シャオミによるSU7 ウルトラが保有するものだったので、もはや「最速」はドイツ勢ではなく「中華勢」によって争われている、ということになりますね。

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2. パワーユニット解析:3,000PS級を支える超高圧アーキテクチャ

U9の異次元の走行性能は、その根幹をなす電気系統とモーター技術によって支えられて降り、その特徴は以下のとおり。

2.1. 世界初「量産型1200V超高電圧アーキテクチャ」

U9 Track Edition(※トラックエディション)は、世界初の量産型として1200V超高電圧アーキテクチャを採用しており、従来のEVの主流が400V~800Vであることを鑑みるとこれは技術的なブレイクスルーと言えます。

  • 高電圧化のメリット: 高電圧化は、電力損失の低減と充電時間の劇的な短縮に直結。特にサーキット走行のような極限環境下ではバッテリーからモーターへの大電流伝送における発熱を抑え、パフォーマンスの安定性を高める上で決定的な役割を果たし、サーキット走行を前提とした車両に求められる「継続的な高負荷走行能力」にも通じる、極めて重要な要素でもある
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Image:BYD

2.2. 30,000rpmクアッドモーターが生む「絶対的な力」

ヤンワンU9は4つのインホイール型(または各アクスル近傍)エレクトリックモーターを搭載し、リマックCEO、メイト・リマック氏をして「不可能」と言わしめた3,000馬力を達成しており、中国の技術が「侮れない」レベルに達していることを伺わせます。

  • 超高速回転: 各モーターは30,000 rpmという超高速で動作可能であり、1基あたり最大744 hpという驚異的な出力を発生
  • システム総出力: システム総出力は3,000 hp(約3,042 PS)に迫り、車両重量に対する出力比を示すパワーウェイトレシオ1トンあたり1,205 hpという、まさに「(ガソリンエンジンを積む)ハイパーカー」の領域を超越した値。この圧倒的なパワーが最高速度記録とサーキットレコードの両立を可能に
BYDによる3,000馬力の中国製ハイパーカー、ヤンワンU9 トラックエディションは実現可能か? 業界の重鎮メイト・リマックが疑問視する理由とは
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3. シャシー技術:e⁴プラットフォームと高次元の車両制御

ニュルブルクリンクのラップタイムは、単に出力が高いだけでは達成できず、U9の記録は、BYD独自のインテリジェントな車両制御技術「e⁴プラットフォーム」の賜物であると考えられます。

3.1. e⁴プラットフォームによる四輪独立トルク制御

e⁴プラットフォームは、4つのモーターを独立して制御し、各輪のトルクを100Hz以上の周波数でリアルタイムに調整。これにより、極限のコーナリング中でもタイヤの接地性を最適化し、高い車体安定性を維持するとが可能となっています。

  • 応用への示唆: この精密な四輪トルク制御は一般の高速走行だけでなく、路面状況が劣悪な緊急時や、車両姿勢の乱れを瞬時に補正するサーキット走行時において極めて高い安全性と走破性をもたらすことが可能に
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Image:BYD

4. 専門家への示唆:電動化が変える「性能の定義」

BYD 仰望 U9の記録は、自動車業界、特に高性能車の分野における電動化の進展を象徴しています。

  • 記録の意義: ニュルブルクリンクのタイムアタックは、単なるマーケティングではなく、車両の耐久性、冷却システム、シャシー剛性、そして電子制御の統合レベルを総合的に試す「究極のテスト」。U9がガソリン車を含む多くのハイパーカーを凌駕した事実は、EV技術が「直線番長」から「オールラウンダー」へと進化し、内燃機関の牙城を崩しつつあることを明確に示している
  • 未来への影響: 1200V超高電圧プラットフォームのような技術が量産車に適用されることで、EVの充電インフラや耐久性に関する懸念は払拭され、高性能・長距離走行の実現へと加速することに。これはスポーツカーやサーキット走行専用モデルの電動化が今後不可逆的に進むことへの強力な証左となる
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Image:BYD

5. 結論:技術競争が拓くEVの未来

BYD 仰望 U9 Xtremeが樹立した記録は、中国の自動車メーカーが、もはや単なる「追随者」ではなく、世界のハイエンド技術競争における「牽引役」となっていることを示す事実ではありますが、この超高性能EVが持つ技術的深層は今後のEV開発、そしてサーキット走行時に求められる絶対的なパフォーマンス」の定義を塗り替えてゆくのかもしれません。

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参照:BYD

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