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| いま全世界で「スポーツモデル」の人気が急騰中 |
F1をはじめとするモータースポーツ人気もその理由の一つであると考えられる
この記事を5秒で理解できる要約
- NISMOのロードカーラインナップが現在の5車種から倍増し、10モデル体制へ強化
- 年間販売台数は2028年末までに10万台から15万台への拡大を目指しており、海外販売比率も40%から60%へ大幅に引き上げる
- 「フェアレディZ NISMO」を筆頭に、「アリア NISMO」「エクストレイル NISMO」など、電動車やSUVの高性能化がトレンドに
- 次期スカイライン(2027年登場予定)や次期GT-R(R36)のNISMOモデル登場への期待が高まる
- 外部パートナーとの連携やレース実戦投入後の市販化プロセス導入など、開発体制も革新される
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日産・NISMOが挑む「Re:Nissan」戦略の核心。なぜ今、高性能モデルを倍増させるのか?
長らく日産ファンを熱狂させてきた「GT-R R35」が2025年をもって生産終了を迎えることは一つの時代の終焉を意味しますが、しかし今回、日産がその「GT-Rロス」を埋めるかのように「「NISMOブランドを軸とした史上最大のパフォーマンス攻勢を仕掛ける」と発表。
この度公開されたのは、NISMOロードカーのラインナップを現在の5車種から一気に倍増させて10モデル体制にするという衝撃的な計画で、これは日産の経営再建計画である「Re:Nissan」の中核をなす「ハートビートモデル」戦略を体現するものです。
ここでは、このNISMO倍増計画の詳細な目標と、どのようなモデルがぼくらの元に届くのか、そしてこの戦略が日本の自動車業界にどのような新しい波をもたらすのかを探ってみたいと思います。
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NISMOの驚異的な成長目標と車種拡大の全貌
日産がNISMOブランドに懸ける情熱は具体的な数値目標に表れており、単なるモデル増加に留まらない、グローバル市場での確固たる地位確立を目指していることがわかります。
NISMOパフォーマンスモデルの数値目標(スペック)
| 項目 | 現状(約) | 目標(2028年末まで) | 成長率 |
| ロードカーラインナップ | 5車種 | 10車種 | 2倍 |
| 年間販売台数 | 10万台規模 | 15万台規模 | 約1.5倍 |
| 海外販売比率 | 約40% | 約60% | 大幅拡大 |
成長の鍵となる要素
- グローバル展開の強化: 現在約40%である海外販売比率を60%に高め、世界の高性能車市場に本格参入
- 外部パートナーとの協業: 新たな付加価値創造のため、「外部パートナーとの積極的なコラボレーション」も検討されており、異業種や他メーカーとの連携による革新的なNISMOモデル誕生の可能性も視野に入る
- 「レース to ロード」の徹底: プロトタイプモデルを製作し、次年度以降のレース活動に実戦投入して熟成した後に市販化を目指すという、モータースポーツ直結の開発プロセスが導入される
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現行のNISMOロードカーラインナップ
現在、グローバルで展開されている主要な5車種は以下のようなモデル構成となりますが、日産はこれを「倍増」させるということに。
- フェアレディZ NISMO (Z)
- パトロール NISMO (中東向け:米国名Armada)
- アリア NISMO (EV SUV)
- エクストレイル NISMO (X-Trail / Rogue)
- ノート オーラ NISMO (日本向けホットハッチ)
なお、各自動車メーカーにおけるハイパフォーマンスモデルは現在世界中で高い人気を誇っていて、BMW「M」、アウディ「RS」、メルセデス・ベンツ「AMG」、そしてヒョンデ「N」やレクサス「F」も絶好調。
これらに共通するのは「高価格・高利益」ということで、現在窮状にあえぐ日産がハイパフォーマンスモデルに活路を見出すのは十分に理解ができる話であり、加えてGRブランドのように「会社のイメージを向上させる」という役割もあるため、短期的に業績を回復させる手段としては非常に「有効」なのかもしれません(加えて、ブランニューモデルの開発よりはコストも低く、つまり収益性が非常に高い)。
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次なる5車種は何になる?期待の高性能モデルを大胆予測
ラインナップを倍増させるにあたり「次の5車種が何になるのか」が最大の関心事ではありますが、日産の製品戦略から有力候補を分析してみると以下の通り。
最有力候補:後輪駆動MTの次期「スカイライン NISMO」
2027年に登場が予定されている次期スカイラインは、後輪駆動(FR)レイアウトとマニュアルトランスミッション(MT)の復活が示唆されています。
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日産のデザインディレクターによると、この4ドアスポーツセダンは「ZとGT-Rの中間に位置づけられる」とのこと。
- 論理的な理由: 現行モデルも限定車として「スカイライン NISMO」が発売されており、後継モデルでの設定は極めて論理的。次期型は電動化される可能性が高く、NISMOモデルは高性能電動パワートレインのショーケースとなる可能性も。
- 予想価格帯: 800万円〜900万円超(EVモデルが600万円台からと予想されるため)
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その他の候補:Sentra(セントラ)や次期GT-R(R36)
- Sentra(セントラ) NISMO: 「スポーティな改良に最も適している」という評判も高く、かつ北米市場での競争力を高めるホットセダンとしても有力視。
- 次期GT-R(R36)NISMO: CEOが「GT-Rの名称をいつか復活させる」と明言しており、10車種の枠内にR36のNISMOモデルが含まれることはファンにとっての長年の夢。※ただし実現するにしても少し先になりそうだ
- Xterra(エクステラ) NISMO: 復活が公約されているタフなSUVであり、パトロールに続くオフロード性能とスポーツ性能を両立した「タフNISMO」として加わる可能性が高い。
ポイント: NISMOの魅力は単なる速さだけではなく、アリアやエクストレイルといった日常使いのモデルに「興奮(Excitement)」を注入することでぼくらの日々の運転に「スポーツ」という付加価値をもたらしてくれる点にあります。この倍増計画は高性能車をより身近な存在にするものであることはまちがいなく、「EVを増やすよりも」日産の業績を大きく改善することとなるのかもしれません。
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結論:日産の「情熱」が世界に放たれる新たなステージへ
日産のNISMOロードカー倍増計画は、単なる販売戦略ではなく、「Re:Nissan」における日産の熱い「情熱」と「DNA」を再定義するもの。
2025年のR35 GT-Rの終焉というニュースは寂しいものですが、このNISMOの強化は、それ以上の興奮と未来への期待をもたらしてくれ、電動車やSUVといった多様なモデルへのNISMO化はパフォーマンスカーの定義を広げ、より多くのユーザーに「速さ」と「楽しさ」を提供する「歓迎すべき」戦略でもあり、日産がモータースポーツで培った技術を市販車にフィードバックし続ける「Road to track, track to road」の精神が2028年に向けて”結実するその瞬間”を心待ちにしたいと思います。
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