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| もはやミドルクラスのハイパフォーマンスセダン / ワゴンでは「2トン超え」が常識に |
ただしパフォーマンスと重量との「常識的な関係性」が現代では大きく崩れつつある
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「速いクルマは軽い」という定説は、もはや過去のものとなりつつあるのが現代です。
それと同時に「重いクルマは遅い」という常識が崩れつつあるのもいま現在。
つい先日、アウディは最強のワゴン、新型「RS5アバント」を発表したところではありますが、その車重はなんと2.3トン超え。
先代から600kg以上も増加したこの「重量化」に対し、アウディスポーツのボスが自信満々の回答を放っています。
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この記事の要約
- 衝撃の数値: 車重2,370kg。初代RS2から約770kg、先代RS4から約625kgの増量
- 魔法の足回り: 電子制御トルクベクタリングとRSスポーツサスペンションで「軽快さ」を実現
- PHEVの恩恵: 22kWhのバッテリー搭載により、都市部で約86kmのEV走行が可能に
- 苦渋の決断: 環境規制(CO2削減)とパフォーマンスを両立するための「必然の進化」
なぜRS5はここまで重くなったのか?
新型RS5アバントのスペックを見て多くのファンが絶句したのが「2,370kg」という車体重量。※ただ、BMW M5 / M5ツーリング、メルセデスAMG C63の重量が知れ渡っていたため、それらの登場時ほどの衝撃はない
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これは1994年の伝説の名車「RS2アバント」と比較して軽自動車1台分以上の重さが加わった計算になります。
主な原因は、大型化したボディサイズと複雑なプラグインハイブリッド(PHEV)システムの採用とされていますが、しかしアウディスポーツの常務取締役ロルフ・ミヒル氏は、LinkedInへの投稿でこう断言することに。
「新型RS5は、安定して精密であると同時に、機敏で足取りが軽く感じられる」
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重さをねじ伏せる「アウディの秘策」
そして以下がアウディの語る「秘策」ということになりますが、現代では「重いのに速い」クルマが多数存在し、アウディもそれらと同様、あるいは近い手法を採用しています。
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1. 電磁トルクベクタリングの進化
リアアクスルに搭載された「エレクトロメカニカル・トルクベクタリング」が左右の車輪へと瞬時に最適なパワーを配分。これにより、2.3トンの重量を感じさせない「グイグイ曲がる」コーナリング性能を生み出すことに
2. 「RSスポーツサスペンション」の魔法
増えた重量を逆に「安定感」へと変換する専用チューニングを採用。低重心なバッテリー配置と相まって、路面に吸い付くような走りを実現
3. 徹底した軽量化オプション
少しでも重さを削りたいオーナーのため、スチールブレーキより約30kg軽量な「セラミックブレーキ」をオプション設定。バネ下重量の軽減により、ステアリングレスポンスを向上させている
スペック比較:歴代「最速ワゴン」の変遷
| 項目 | RS2 Avant (1994) | RS4 Avant (B9/先代) | 新型 RS5 (2026) |
| 車重 | 1,595 kg | 1,745 kg | 2,370 kg |
| 全長 | 4,510 mm | 4,781 mm | 4,896 mm |
| パワートレイン | 直5 ターボ | V6 ツインターボ | V6 PHEV |
| EV航続距離 | ー | ー | 約86 km |
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競合比較と市場での位置付け
アウディが新型RS5のPHEV化に踏み切った背景には、ライバルであるメルセデスAMGやBMW Mの動向があり、これらと「向こうを張れる」出力が必要であったわけですね。
よってライバルと出力や価格が「近く」なっており、しかしそれぞれには「それぞれの」特徴が存在します。
- vs メルセデスAMG C63: 4気筒化して物議を醸したAMGに対し、アウディはV6エンジンを維持。エモーショナルなサウンドと電動化の融合で差別化を図っている
- vs BMW M5:BMW M5はV8エンジンを採用し、この点においてRS5は「ビハインド」を喫するものの、獰猛なスタイリング、テクノロジーを全面に押し出したライティングによって視覚的差別化を図る
- 市場の評価: 欧州の厳しいCO2規制をクリアしつつ、都市部では無音のEVとして、高速道路では猛烈なRSとして振る舞う「二面性」が、現代の富裕層にどう受け入れられるかが焦点となる
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なぜ「重いPHEV」が今、正解なのか?
多くのクルマ好きは「軽さ」を求めますが、メーカーがPHEVを選ぶ最大の理由は「平均CO2排出量の削減」。
欧州での販売を継続するためにはEV走行ができるPHEVモデルが不可欠で、しかしPHEV化によって重くなった重量を正当化するためにますますハイパフォーマンスEVは「出力を向上させ」、これに合わせて重量も増加することに。
この「非効率性のスパイラル」が存在するのが現在の状況であり、ある意味では法律や規制が「クルマを重くしている」という矛盾とも言える状況が存在しています。
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結論
「重さは悪」という時代から、「重さをハイテクで制する」時代へ。
新型RS5は、アウディスポーツが環境性能という高い壁に挑んだ、妥協なき回答と言えるのかもしれません。
実際にハンドルを握った時、その「足取りの軽さ」に驚かされるのか、それとも物理法則には抗えないのか。アウディの新たな挑戦の答えは、間もなく路上で証明されることとなりそうですね。
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