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【この瞬間がポルシェモーメント】ポルシェのトランスアクスルモデルはすべて「ポップアップヘッドライト」を採用。現代に問いかけるデザインの真価とは

ポルシェ92のヘッドライト(オープン)

Image:Porsche

| ポルシェはポップアップヘッドライトを「トランスアクスル」モデルのデザイン的特徴にしようと考えていた |

ポップアップヘッドライトとはなぜ生まれたのか

ポルシェのデザイン的特徴といえば「フロントフードよりも両側のフロントフェンダーのほうが高い」、いわゆるカエル顔ではあるものの、これと全く異なる特徴を持つのがトランスアクスルシリーズ」。

その初代である924にはじまり944、928、968といったトランスアクスルファミリーは「すべて」ポップアップ式ヘッドライトを持っており、そして左右フェンダーがフロントフードと同じ高さにあるという特徴を持っていますが(ただし968はちょっと違う)、ここでその「ヘッドライト」について振り返ってみましょう。

ポルシェ92のヘッドライト(クローズ)

Image:Porsche

記事の要約(ハイライト)

  • アイコンの復活: 1970年代から90年代にかけてポルシェのフロントエンジン(トランスアクスル)モデルを特徴づけたポップアップヘッドライトを再考
  • モデル別の哲学: 928の「立ち上がる」ライトと、924/944の「下から起き上がる」ライト。それぞれの構造に隠されたアピアランスへのこだわり
  • 至福の操作感: コックピットのダイヤルを回し、フェンダーに横たわるライトが夜を照らし始める「魔法の時間」
  • アバンギャルドな血統: 1977年の発表から進化の最終段階である968まで、機能とフォルムを完璧に調和させたポルシェの意匠
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闇を切り裂く「目覚め」の儀式。トランスアクスルモデルが愛される理由

ポルシェの歴史において、911とは異なる「もう一つの黄金時代」を築いたトランスアクスルモデル。その中でも、ドライバーが最も高揚する瞬間は、意外にも「ライトを点灯させる」という単純な操作に隠されています。

左側にあるスイッチを右に回す。すると、それまで優美なフロントラインの一部として静止していたヘッドライトが「まるで生き物のように」起き上がり、夜の闇を突き抜ける光を放ち始める――。

ポルシェには様々な「ポルシェを感じさせる瞬間」がありますが、この情景もまた「ポルシェモーメント」というわけですね。

ポルシェ「トランスアクスル」レイアウトのスケルトン構造(フロントサイド)
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ポルシェミュージアムにて開催された「トランスアクスル展」

Image:Porsche

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詳細:928と924/944、似て非なる「2つのライトシステム」

ポルシェはトランスアクスル時代に、モデルのキャラクターに合わせて2種類の格納式システムを使い分けていて・・・。

構造とデザインの比較

特徴ポルシェ 928 / 968ポルシェ 924 / 944
作動方式前方に向かって「立ち上がる」下から上へ「起き上がる」
格納時の状態レンズが上を向き、露出しているボディと同色のリッドで完全に隠れる
視覚的印象常にレンズが見えるアバンギャルドな表情格納時はボンネットと一体化するクリーンな形状
採用の狙い8気筒のフラッグシップらしい存在感(928)4気筒モデルらしい空気抵抗の低減と統合美

1977年に登場した928はその巨大なレンズが格納時もデザインの一部として機能しており、後継モデルたる968でもこのスタイルが継承されていますが、一方で924や944はリッド(蓋)で覆うことによって「フロントセクションに完全に同化させる」という手法をとっています。

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そしてこれらはいずれも911とは全く異なる印象を見る人に与えるもので、つまりポルシェは924を「911と決別した」「911とは別のライン上にある」クルマとしてデザインしたということになり、これは現行ラインアップが「すべからく911からの影響を受けている」のとは全く異なる、ということには要注目。

ポルシェ924の初期デザイン(フロント)

Image:Porsche

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性能・デザインの特徴:アバンギャルドなスタイルの追求

このポップアップヘッドライトは当時のスポーツカーにおける「流行」ではあったものの、ポルシェはこれを単なる流行としては捉えておらず・・・。

  1. 空力と視認性の両立: 昼間は低いボンネットラインで空気抵抗を減らし、夜間は高い位置から路面を効率よく照らすという機能美の極致
  2. 独自のキャラクター: 928の開発に携わった若手デザイナーたちは、このライトを「グランドツーリズモのアバンギャルドなスタイル」を決定づけるエレメントとして位置づけた
  3. 操作の官能性: ダイヤルを回す手の動きと、ライトが立ち上がるメカニカルな挙動のシンクロ。これが、ポルシェが提唱する「人間と機械の対話」を象徴している
ポルシェ928全景(ムーンストーン)

Image:Porsche

現代に受け継がれる「ライトのポルシェ」

ポップアップヘッドライトは歩行者保護などの法規制により現代のクルマからは姿を消したものの、そのスピリットは最新のポルシェにも息づいており・・・。

  • 4灯式デイタイムランニングライト: 現在のポルシェ全モデルに共通するアイデンティティですが、これも「一目でポルシェと分かるライト」という、トランスアクスル時代から続く視覚的ブランド戦略の延長線上に
ポルシェ911GT3 RSのヘッドライト
  • ポルシェの未来の牽引者: 2024年に50周年を迎えたターボモデル同様、トランスアクスル時代もまた、ポルシェが「未来思考のムーブメント」を牽引していた証でもある
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結論:時代を超えて煌めくアイコン

このポップアップヘッドライト(リトラクタブルヘッドライト)は「機能がフォルムを規定し、そのフォルムが乗り手の感情を揺さぶる」というポルシェ不変の哲学そのもの。

夕暮れ時、トランスアクスルモデルが持つ長く優美なフロントからスッと立ち上がるヘッドライト。

その魔法のような瞬間に包まれるとき、ぼくらはポルシェがなぜ「ただの移動手段」ではないのかを、改めて確信することとなるわけですね。

なお、なぜポルシェが「924 / 944スタイル」から「928 / 968スタイル」へとライトが起き上がる方法を変更したのかについてはわかりませんが、どこかでその「ナゾ」を明かしてほしいものだと思います。

ポルシェ924

Image:Porsche

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参照:Porsche

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