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かつてのスーパーカーの代名詞、ポップアップヘッドライトはなぜ「禁止されていないのに」消滅したのか?そもそもの生い立ち、そして消滅の理由を考える

かつてのスーパーカーの代名詞、ポップアップヘッドライトはなぜ「禁止されていないのに」消滅したのか?そもそもの生い立ち、そして消滅の理由を考える

| 近年、ポップアップヘッドライト(リトラクタブルヘッドライト)は別の形で一部復活しつつある |

やはりスーパーカーにポップアップヘッドライトは欠かせない

さて、ポップアップヘッドライト(あるいはリトラクタブルヘッドライト)は自動車のデザインにおいてもっともクールなもののひとつではあるものの、現在これを備えるクルマは(おそらく)新車販売がなされておらず、今後も登場することはないかと思われます。

そしてこのポップアップヘッドライトを備えたクルマの代表格はフェラーリ・テスタロッサやランボルギーニ・カウンタックといったスーパーカーだと捉えていますが、このほかにもマツダ・ロードスター(NA)、日産フェアレディZ(Z31)、トヨタMR2、ハチロク(AE86 / トレノ)、ホンダ・アコード / インテグラ / プレリュードといった日本車にも装備されており、ぼくら日本人にとっても馴染みの深い機構かもしれません。

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なぜポップアップヘッドライトは絶滅したのか

そこで「なぜポップアップヘッドライトが絶滅したのか」について考察を行ってみたく、しかしその前になぜポップアップヘッドライトが登場したのかについて触れてみると、大きな理由としては「空気抵抗の削減」。

ポップアップヘッドライトが登場した当時、ヘッドライトに関する構造・技術が現在ほど発展しておらず、重心を下げること、そして空気抵抗を削減することを目的として「車高を低く設計した」スポーツカーのフロントに組み込むことができ、かつ十分な光量を得られるヘッドライトを作ることができなかったわけですね(この傾斜角で法規を満たすよう前方を照らすヘッドライトを作ることは非常に困難であった)。

さらにそのクルマを世界中で販売しようとした場合、一部の国では(幻惑を防止するために)ヘッドライトの高さ規制というものがあって、これを守ろうとするとバンパー下部にヘッドライトを組み込むことが法的には「不可」となります。

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そしてこの問題を解決する方法がいくつかあり、ひとつはポルシェ911のように「ヘッドライトを突出させる(当時の照射技術では、前照灯に関する法規をクリアしようとなると、ヘッドライトのレンズを立てる必要があった)」。

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あるいはデロリアンDMC-12のように「車高を上げるか」。※デロリアンDMC-12は北米の法規を満たすためにフロントが持ち上げられている

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ただしもうひとつの解決策があり、それが今回取り上げている「ポップアップヘッドライト」。※色々な形状・構造がある

これを採用すると低く、そして空気抵抗を抑えたフロントを実現でき・・・。

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一方でヘッドライトをポップアップさせると「高さ」「角度」といった問題をクリアできるわけですね。※ヘッドライトをポップアップさせた際の空気抵抗はこの際無視

参考までに、ポップアップヘッドライトを搭載した最初の車はアメリカ製のコード810だとされ、これは(今から90年近く前の)1936年の登場です。

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ただ、この画期的なソリューションであるポップアップヘッドライトも現在では絶滅してしまい、その理由のひとつは”実用的なもの”からで、簡単に言うと「信頼性が低いから(壊れることがある。とくにコルベットのポップアップヘッドライトは動作不良で有名だった。ヘッドライトが使用できないのは文字通り致命的である)」。

さらにはこのデバイスを組み込むとフロント(殆どの場合はオーバーハング)の重量が増してしまうという欠点も存在し、「メリットもあるものの、同じくらいのデメリットが存在した」のがこのポップアップヘッドライトです。

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そしてこのポップアップヘッドライトが消え去った2つ目の理由は「法的な規制」。

ただしポップアップヘッドライトそのものが規制されたわけではなく、1998年に欧州にて制定された、歩行者の安全に関するガイドラインに代表される「エッジのサイズや突起物」による項目によって、歩行者と自動車とが衝突した際、歩行者を傷つける可能性がある構造物を用いることができなくなり、これが実質的なポップアップヘッドライトに対する死刑宣告であると言って良いかもしれません。※フェラーリのV8ミドシップモデルだと、1999年の360モデナ以降「固定式」ヘッドライトが採用されている

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そしてポップアップヘッドライト消滅の「ダメ押し」となったのが「そもそも(採用する)必要がなくなったから」。

技術の進歩によって「寝ている角度でも前をちゃんと照らすことができるヘッドライト」が登場し(ディアブロにも採用された日産フェアレディZ / Z32のヘッドライトが当事の代表例である)、リトラクタブルヘッドライトを用いずとも法規を満たせるようになったわけですね。

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さらにはヘッドライトレンズに関する規制の緩和(プレクシグラスの認可)、加えて光源(HIDEやLED)の進化によって、ヘッドライトはよりコンパクトに、そしてより「寝た」形状でも機能を果たせるようになったという事実もあり、「構造が複雑でコストがかかり、重量がかさばって故障の可能性がある」ポップアップヘッドライトは完全に過去の遺物となってしまいます。

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そして現代におけるヘッドライトはさらに進化し続けていて、「ヒドゥン」「スプリット」など様々な形状へと進化中。

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ただしスーパーカー=ポップアップヘッドライトという図式はひとつの定番でもあり、近年では「コンパクトになったヘッドライト」を活用した新世代のリトラクタブルヘッドライトも登場しており、フェラーリ・デイトナSP3は「リトラクタブルヘッドライトへのオマージュ機構」を備えた市販車のひとつ。

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そしてマツダのコンセプトカー、アイコニックSPもまた(リトラクタブルヘッドライトが特徴的であった)初代マツダ・ロードスターへの敬意を評した「リトラクタブル構造を持つ」ヘッドライトが与えられており、今後この傾向が加速することも考えられます。※デイトナSP3やアイコニックSPのヘッドライトは「必ずしもリトラクタブル構造を備える必要はない」ものの、あくまでもそのクルマのキャラクターを強調するためにこれを取り入れられたもので、そしてスポーツカーには「そういった部分」が必要である

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