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ポルシェが次世代フォーミュラEマシン「975 RSE」発表。0-100km/h 1.8秒、816馬力、最高速度335km/h、そしてなんとフォーミュラE史上初の「4WD」

ポルシェの新型フォーミュラEマシン、975RSEの全景

Image:Porsche

結論から言うと:ここがスゴい

  • 史上最強の加速性能: 0-100km/h加速は約1.8秒。F1をも凌駕しかねないロケットスタートを実現
  • 初の全輪駆動(AWD): フォーミュラE史上初となる常時全輪駆動を採用し、圧倒的なグリップとコーナー速度を獲得
  • F2レベルの領域へ: 最高出力は600kW(816馬力)に達し、最高速度は335km/h超。もはや「EVは遅い」とは言わせない

ポルシェ・モータースポーツ75周年の結晶

2026年、モータースポーツ参戦75周年を迎えるポルシェ。

その記念すべき年に発表されたのが第4世代(GEN4)のフォーミュラEマシン「975 RSE」ですが、2014年のシリーズ開始当初、1人のドライバーがレース中に2台のマシンを乗り換えていた時代は遠い過去の話となり、最新の975 RSEは1台でレースを走り切るだけでなく、内燃機関のトップカテゴリーに肉薄するパフォーマンスを手に入れています。

ポルシェ・モータースポーツ副社長のトーマス・ローデンバッハ氏が「EVの強みがサーキットでも公道でもますます明白になっている」と自信をのぞかせる、この新型ポルシェ 975RSEについて見てみましょう。

ポルシェの新型フォーミュラEマシン、975RSEの走行画像

Image:Porsche


空力と効率の「二刀流」戦略

975 RSEの最大の特徴は、劇的に進化した空力パッケージにあり・・・。

ダウンフォース150%アップの衝撃

GEN4マシンでは、前世代(GEN3 Evo)比で最大150%ものダウンフォース向上を達成。

しかしダウンフォースの増強は空気抵抗(ドラッグ)を増やして電費を悪化させるという結果となることが往々にしてあり、そこでポルシェは「2種類のエアロパッケージ」を用意することに。

  1. 予選用: 電費度外視で最大のグリップを稼ぐハイ・ダウンフォース仕様
  2. レース用: 空気抵抗を最小限に抑え、エネルギー効率を最適化したロー・ダウンフォース仕様

ポルシェの新型フォーミュラEマシン、975RSEのリアウイング

Image:Porsche


スペック:ポルシェ 975 RSE 主要諸元(暫定値)

項目スペック
最高出力450kW(通常) / 600kW(アタックモード:816馬力)
駆動方式常時全輪駆動(AWD)
0-100km/h加速約1.8秒
最高速度335 km/h
回生エネルギー最大700kW(レース消費エネルギーの40〜50%を賄う)
車両重量954 kg(ドライバー含まず)
全長/全幅/全高5540mm / 1800mm / 1150mm
ポルシェの新型フォーミュラEマシン、975RSEの説明画像

Image:Porsche


独自開発:市販EVへ直結する「ポルシェの知恵」

フォーミュラEは、メーカーにとって「走る実験室」とも言える存在として知られ、975 RSEではリアアクスルのパワートレイン一式(モーター、インバーター、ギアボックスなど)に加え、新たにDC/DCコンバーターやブレーキ・バイ・ワイヤシステムも(ポルシェが)自社にて開発しています。

現在のフォーミュラEマシン、ポルシェ99X Electricではすでに97%以上のエネルギー効率を達成しているものの、975 RSEではさらなる軽量化と耐久性の向上に注力しており、ここで培われた技術は将来の「タイカン」や電動版「718ボクスター / ケイマン」といった市販モデルにダイレクトにフィードバックされることとなりそうですね。

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なお、今回のGEN4マシンについて、「99X」というネーミングから変更されたことに意味は大きく、というのもポルシェは「99X」につき、ポルシェが重視する”9”という数字が2つ入っていることには大きな意味がある」とコメントしていたため。

しかしその「99X」から新たに「975」としたことは、「99Xを確実に過去のものとした」という自負があるからなのかもしれません。

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結論:ファンの反応が楽しみな「本物のレーシングカー」

「加速は感動的で、最高速度は335km/hに達する。ファンがどう反応するか、とても興味深いよ」と語るのは、ディレクターのフロリアン・モドリンガー氏。

テストドライバーのパスカル・ウェーレイン選手も「アグレッシブなルックスと、限界まで攻められるハンドリングが最高だ」と太鼓判を押しています。

975 RSEは2025年11月に初走行を終え、すでに1,800km以上のテストを消化しているといい、2026年12月のデビュー戦に向け、ポルシェは「世界王者」の称号を守るべくソフトウェアの最適化を急いでいる段階なのだそう。


関連知識:なぜ「全輪駆動」が重要なのか?

これまでのフォーミュラEは後輪駆動がメインでしたが、GEN4での全輪駆動採用はEVの「トルクベクタリング(四輪のパワー配分)」技術を飛躍的に進化させることに。

これによって「走る実験室」からのフィードバックを受けたポルシェの市販EVも大きく進化することになり、「4WDこそが正義」という構図が描かれるようになるものと考えられますが、これは雪道や濡れた路面での安全性の確保だけでなく、モータースポーツ由来の「曲がる楽しさ」を異次元のレベルに引き上げるための重要なステップなのだと考えられます。

2026年、ぼくらは「ガソリン車よりも速く、よりエキサイティングなEV」の誕生を目撃することになるのかもしれません。

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参照:Porsche

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