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フェラーリ ルーチェ「開発秘話」第三弾が公開。バッテリーはF1マシンと同一、車軸にはフェラーリ製ヨット「ハイパーセイル」と全く同じパーツが使用されていることが明らかに【動画】

フェラーリ ルーチェの開発プロセス(寒冷地テスト)

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ルーチェは「全く新しい」乗り物であると同時に「フェラーリらしい」クルマでもある

さて、フェラーリが新型EV「ルーチェ」のフル公開を来月に控え、その開発に関するエピソード「第三弾」を語る動画を公開。

フェラーリ初の完全電気自動車「ルーチェ」は、既存モデルの代替ではなく全く新しいラインナップとなりますが、今回は以下の点が強調される内容となっています。

  • F1と同じバッテリーセルを採用し、前後最大3万回転に達する超高回転モーターを自社生産
  • 4輪独立制御により、車重が「450kg軽く感じる」ほどの驚異的なコーナリング性能を実現
  • EV特有の単調な直線加速ではなく、パドルシフトによる荷重コントロールで「フェラーリらしい感情を揺さぶる走り」を追求
フェラーリ初EV「ルーチェ(Luce)」開発秘話「第二弾」が公開。LoveFromと挑む次世代デザインとは【動画】
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フェラーリが「ルーチェに込めた情熱」とは

「電気自動車(EV)になると、スーパーカーの魅力は失われてしまうのではないか?」 世界的なEVシフトが進む中、フェラーリスタならそんな不安を抱いたことがあるかと思います。

しかし、今回公開されたフェラーリの最新開発ドキュメンタリー動画「How we built the Ferrari Luce」を見ると、その不安が期待へと変わるかもしれません。

フェラーリの新型EV「ルーチェ(Luce)」は白紙の状態から設計された全く新しいクルマであり、今回の動画ではマイナス30度にも達するスウェーデンでの氷上テストの様子が収められています。

そしてこの動画では、テストドライバーが「ルーチェから降りて他の人に運転させるのが一番辛かった」と語るほどに、「その楽しさ、ドライバーとクルマとが深く繋がる感覚」が伝わってくる内容となっています。

「フェラーリとEV」は相反する存在か?

今回、動画から理解できるルーチェの驚異的なメカニズム、そしてフェラーリがEVに込めた「情熱」を紐解いてゆきたいと思いますが、まず「フェラーリとEV」と聞くと、それらは相反する世界の存在のように感じるかもしれません。

しかしフェラーリの電動化への歩みは突如始まったわけではなく、2009年のF1におけるKERS(運動エネルギー回生システム)導入を皮切りとし、ラ・フェラーリや8つのハイブリッドモデルを経て、長年培ってきた電動化技術の集大成としてのクルマがこの「ルーチェ」ということに。

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そして重要なのは、「ルーチェは既存のモデルを置き換えるものではなく、フェラーリに新たな特性をもたらす新ラインナップとして誕生する」ことで、マラネロのエンジニアたちが自社でモーターからカーボン部品までを設計・製造し、ピエロ・フェラーリ氏やテストドライバーたちと協力しながら、「EVにおける正しい走りの感情」を徹底的に追求して完成させたクルマです。

フェラーリ初EV「ルーチェ(Luce)」開発秘話「第二弾」が公開。LoveFromと挑む次世代デザインとは【動画】

Image:Ferrari

フェラーリ ルーチェのポジショニングとは

そしてこの「感情」という点もまた注目すべき要素であり、フェラーリは「EV的な画一的な加速を避けるため」、そしてより感情へと訴えかける加速を実現するためNASAと協力したということも報じられていますね。※EVの圧倒的なトルクを活かして「人々を驚かせる」のではなく「楽しませる」ことを考えている

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実際のところ、ルーチェが市場の他のハイスペックEVと明確に異なるのは「ただ速いだけのドラッグスター」を作ろうとしなかった点で、圧倒的な直進加速はEVの特権ではあるものの、フェラーリが求めたのはドライバーの感情を揺さぶり、「クルマに操られている」のではなく「自分がクルマをコントロールしている」という生々しい感覚。

フェラーリ「ルーチェ」が証明した「新時代の」脱ヒエラルキー・インテリア。どこが最初に模倣するかは見ものである

Image:Ferrari

まだまだ全容は明らかではないものの、徐々にわかってきた「現時点での」ルーチェのスペックや特徴をまとめてみると以下の通り。

  • モーター構成:4つの独立したモーターによる4輪駆動
  • モーター回転数:フロント 30,000rpm、リア 25,000rpm
  • 制御システム:1つの統合ECUが1秒間に500回各車輪を独立制御
  • バッテリー:F1マシンと全く同じセルを使用し、同等の出力を発揮
  • サスペンション:プロサングエやF80で培われたアクティブ・サスペンションの進化版
  • 空力開発:6,000回以上のシミュレーションと300時間以上の風洞テストを実施

特に注目すべきは4輪独立制御が生み出すコーナリング性能で、このシステムによって”フェラーリいわく”実際の重量よりも「450kgも軽く感じる」ほど機敏でダイナミックな動きを実現している、とのこと。

また、エレクトリックモーターのローターに取り付けられる”100gほど”の磁石は、超高回転時にはなんと”約3トン”もの遠心力を発揮するそうで、フェラーリはこれを安定させるべく、自社にて製造した特殊なカーボンリングで固定するといった技術についても紹介されています。

フェラーリ ルーチェの開発プロセス(寒冷地テスト)

フェラーリ ルーチェでは「独自の」インターフェースを採用

なお、ルーチェのステアリングホイールにはパドルシフトが装着されており、ギアのないEVにパドルシフトは不要と思われがち。

しかしルーチェではこのパドルシフトを「仮想ギアチェンジに使用する」というありきたりの手法ではなく、左のパドルを「コーナー進入時の荷重コントロール(内側への切れ込み)」に、右のパドルを「コーナー脱出時の立ち上がり」に活用するという、全く新しいドライビング・インターフェースを発明し採用しています(これは特許出願からも明らかになっていた)。

そしてこの新しいインターフェースにより、従来の内燃機関でギアを落としてコーナーに飛び込むあの「感情」を、「ガソリン車を模倣するのではなく、EVにしかできない方法で」見事に再現しているといい、ここは他のハイパフォーマンスEVとは全く異なる部分かもしれません。

フェラーリ ルーチェの開発プロセス(ステアリング)

さらに驚くべき関連情報として、ルーチェに搭載されているリアアクスル(車軸)は、現在フェラーリが開発を進めている競技用セーリングボート”ハイパーセイル”のプロペラ推進システムと「全く同じ部品」であることが明かされており、自動車と船という全く異なるジャンルで最新の電動技術を共有している点は現在のフェラーリの技術力の幅広さを物語る、非常に興味深い事実であるとも考えられます。

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結論

フェラーリ・ルーチェは、最先端のエレクトロニクスと伝統のメカニクスが美しく融合した、まさに「未来のフェラーリ」。

EVシフトという自動車業界の大きな波に対し、フェラーリはエコなクルマとしてでも、エレクトリックモーターのパワーとトルクにモノを言わせた直線番長を作るのでもなく、そしてガソリン車へのノスタルジーを感じさせる「ガソリン車の模倣」を行うのでもなく、F1由来の技術とEVにしかできないテクノロジー、そして何よりも圧倒的な熱量をもって「感情を揺さぶる新しいスーパーカーの形」を提示したということに。

そしてこれを可能にしたのは、自動車業界出身ではなく「エレクトロニクス業界出身の」ベネデット・ビーニャCEOであることは疑う余地はなく、文字通りフェラーリに新しい風を吹き込んだ人物として、その歴史に名を刻むこととなりそうですね。

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参照:Ferrari(YouTube)

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