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| フェラーリ「ルーチェ」はエレクトリックという新たなる翼で飛躍する |
フェラーリは新型EVの名称を「ルーチェ」とすると発表していますが、内装含む今回の発表はサンフランシスコにて行われています。
そしてこのサンフランシスコは、ルーチェの内装をデザインしたクリエイティブ集団「LoveFrom(ラブフロム)」の本拠地であり、これはフェラーリとLoveFromとの距離がどれだけ近いか、あるいはルーチェの重点がどこに置かれているかを示すひとつの事例なのかもしれません。
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完全に予想外の出た。フェラーリが初のEVの名称を「ルーチェ(LUCE)」に決定、マーク・ニューソン、ジョナサン・アイブとのコラボによる内装を公開
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記事の要約(ポイント3選)
- 新車名が判明: フェラーリ初の100%電気自動車の名は、イタリア語で「光」を意味する「Luce(ルーチェ)」に
- 最強の布陣: 元Appleの伝説的デザイナー、ジョナサン・アイブ氏率いる「LoveFrom」が5年前からデザインに全面参画
- 前代未聞の密着: 5月の正式発表を前に、工場内部やスウェーデンでの極秘テストに密着したドキュメンタリーが公開
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フェラーリの歴史が「光(ルーチェ)」によって塗り替えられる
この「LUCE(ルーチェ)」という名称は上述の通りイタリア語で「光」を意味しますが、同時に「新しい道筋(光明)」を意図しているといい、フェラーリにとっての新しい命名法則となっています。
そしてルーチェの発表は「段階的」に行われ、今回公開されたのは「内装とインターフェース」。
そしてこのインターフェースは「最新EV」らしからぬアナログ感あふれるもので、実際に「アナログの針」「物理ボタン」を組み合わせるなど、現在の「ガソリンエンジンを積むフェラーリのインターフェースがデジタル化している」のとは真逆の方向というのが非常に興味深い点であると考えています。※下の画像は296GTB
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こういったインターフェースはLoveFrom、さらには同社を率いるジョナサン・アイブ氏の意向によるところが大きいのだと考えられ、というのも同氏はかつて「iMac」にて「それまでのパーソナールコンピューターの常識」を覆してしまった人物であり、半透明の外観はもちろん、様々な「本来パソコンにあるべき」スイッチやボタン、ソケットを徹底的に排除した(あるいは隠した)革新的なデザインを実現したデザイナーでもあるわけですね。※つまり、表層だけを変えるのではなく、ものごとを根本から変えてしまう力を持っている
ただ、こうした人物を起用したとしても、自動車メーカー側の理解と強力がなければ「表層だけ”それっぽく”なって」終わりというのが通常のコラボレーションではあるものの、フェラーリの場合は「もっと奥深いところから」、つまりクルマを作る段階からLoveFromが関与しており、ある意味では「車両そのものをざろベースから共同にて開発した」と考えていいのかもしれません。
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実際のところ、LoveFromは「デザイン」のみではなく、コンセプトやブランディングといった、その製品やプロジェクトの方向性まであわせて考える”クリエイティブ集団”であって、よくある「デザイン事務所」とは一線を画する存在です。
参考までに、ジョナサン・アイブ氏は生粋のカーガイとしても知られ、ベントレー、アストンマーティン、ブガッティなどを乗り継ぎ、そしてもともとは「カーデザイナーを目指していた」という経歴も。
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もう一つ参考までに、彼がアップルに在籍していた時代、iPhone(世代は失念)の開発コードネームに「フェラーリ」と名付けられた時期があり(操作に関する速度の速さにおいて、フェラーリをイメージしたようだ)、もしかするとこの命名に一枚噛んでいたんじゃないかと思ったり。
そしてもちろん、アップルカー(あるいはiCar)のデザインにも関与していたことが報じられ、しかし残念ながらアップルカーはプロジェクト(タイタン)ごと破棄されたものの、今回のルーチェには、ジョナサン・アイブ氏がずっと「実現したかったこと」「アップル在籍時代を通じて学んだこと」が詰まっているのでは、と考えているわけですね。
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なお、LoveFromがこのルーチェの開発に加わったのは5年前(公式アナウンスがなされる数年前)だといい、LoveFrom設立の時期とも一致していますが、LoveFromにとっても「今後の成功を左右する」プロジェクトであると同時に、ジョナサン・アイブ氏、そして共同設立者であるマーク・ニューソン氏両名にとっても「本質的な興味の対象であり、没頭できる」プロジェクトなのだろうとも考えています。
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「フェラーリ ルーチェ」のコンセプト
現時点で公開された情報から読み取れる「ルーチェ」の特徴、そしてフェラーリが目指す方向性は以下の通り。
具体的な馬力や航続距離といった数値はまだ明かされていませんが、その「概念」自体が競合他社に対する大きな差別化要因となります。
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フェラーリ ルーチェ プロジェクト概要
| 項目 | 内容 |
| プロジェクト名 | Ferrari Luce(フェラーリ・ルーチェ) |
| コア技術 | 電動パワートレイン(Electric)と多種技術の融合 |
| 開発哲学 | テクノロジーよりも「感情(Emotion)」を優先 |
| キーパーソン | ジョナサン・アイブ、マーク・ニューソン(デザイン・コンセプトに関与) |
| 名称の由来 | 光(Light)。電磁気空間における道標、未来を示すもの |
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多くのエレクトリックスーパーカーが「0-100km/h加速」や「パワー / トルク」などのスペック競争に没頭する中、フェラーリは「ルーチェ」を通じて「電気自動車であってもフェラーリの魂(情熱や夢)を宿せるか」という課題に挑んでいますが、この課題は多くのスポーツカーメーカーが直面するもの。
しかし未だ有効な解はなく(ヒョンデが示した”疑似ガソリン車”はひとつの答えでもある)、しかしベネデット・ビーニャCEOによる、「エレクトリック(電動化)はルーチェの一部に過ぎない」という発言から、既存のEV市場の枠組みには収まらない、ラグジュアリーとアートが融合した全く新しい立ち位置(ポジショニング)を狙っていることを読み取るれるようにも思います(まずルーチェというコンセプトが存在し、それを実現するため、そしてガソリン車の限界を取り払うために電動化を選択した)。
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フェラーリは「ルーチェ」の開発ドキュメンタリーを公開
今回の発表に合わせ、イタリアの映画監督ジョバンニ・ファントーニ・モデナ氏によるドキュメンタリー映像が公開され、この映像は、演出やリテイクを一切排除した「リアルタイムの記録」。
これまでの自動車プロモーションとは一線を画していますが、これ(プロモーション手法)についてもLoveFromが関わっているのかもしれません。
「フェラーリのアプローチは、工場の門を完全に開くことでした。ピエロ・フェラーリがジョナサン・アイブ、マーク・ニューソンとエンジンの周りで深く議論しているシーンも、すべて台本なしの本物です」
ジョバンニ・ファントーニ・モデナ監督
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15年の歳月をかけた「最後の一歩」
この動画の中ではいくつかの注目すべきコメントが見られ、まずフェラーリCEO、ベネデット・ヴィーニャ氏はルーチェについて「過去15年間にわたる電動化の旅の、最後の一歩に過ぎない」と述べています。
これは、創業以来ガソリンエンジン(内燃機関)のパワーとエンジニアリングに深く根ざしてきたフェラーリというブランドが、電動化という全く新しい領域へ踏み出す歴史的な転換点を強調するもので、動画の中で語られるのは、技術スペックの羅列ではなく、「フェラーリとは何か」という根源的な問いかけそのもの。
「フェラーリは夢であり、これまでにないものを創造したいと願う人々による表現なのです」
つまるところ、フェラーリは過去の栄光に安住することなく、未知の領域(Unexplored path)を切り開くことを選んだというわけですね。
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• 電動化のアプローチ: フェラーリは電気技術(Electric technology)を採用するものの、それは単に動力を変えるだけではなく、「可能性の限界を再定義」するための手段として電動化を捉えており、技術よりも先に「人間の感情(Emotion)」があるべきだと強調
• デザイン界の巨匠との連携: 動画内ではジョナサン・アイブ(Jony Ive)とマーク・ニューソン(Marc Newson)との対話が「歴史を尊重しつつ未来へ向かうための重要な鍵になった」と言及され、彼らの関与は、単なる自動車デザインの枠を超えたプロダクトになることを予感さる
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「最高のフェラーリは、次に作られるフェラーリである」
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一部のファンからは「エンジン音のないフェラーリ」を懸念する声もありますが、ルーチェは「疑似サウンドを選択していない」ことも特筆すべき点。
この根本にあるのは「偽物はフェラーリにふさわしくない」という考え方で、さらにいえば、フェイクサウンドを搭載しないのは「ガソリン車の真似ではなく、ガソリン車を超える存在」という強いコミットメントなのかもしれません。
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フェラーリ「ルーチェ」の外観デザインに対する期待も高まる
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まだまだルーチェの全貌はわからないものの、ルーチェが「ガソリン車の代替」でないことだけは間違いなく、おそらくは「機械」から「高度なデジタル・インターフェースを備えた空間」へと変貌するのだと考えられます。
そしてジョナサン・アイブ氏が得意とする「複雑な技術を、人間に寄り添うシンプルな体験に落とし込む力」がフェラーリの伝統的なクラフトマンシップと融合し、その成果としてのルーチェは、自動車デザインの歴史において、まさに「iPhoneの登場」に匹敵する転換点となる可能性を秘めています。
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フェラーリ創業者、エンツォ・フェラーリは常に「最高のフェラーリは、次に作るフェラーリである」と語っていたように、フェラーリにとって伝統とは守るだけでなく、革新するための基盤です(それを証明するかのように、エンツォ・フェラーリはレースで負けたときのほうが機嫌が良く、それは「前に進む方法が見つかった」と考えていたから)。
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フェラーリは「クルマ」というよりも「フェラーリとしての姿勢」を形にしようとしている
内燃機関で培った情熱を電動化技術に注ぎ込み、ジョナサン・アイブら世界最高のクリエイターと共に作り上げるこのルーチェ。
自動車業界における「電動化=無機質」というイメージを覆すゲームチェンジャーになる可能性を秘めており、ぼくらファンにとっては、たとえエンジンがくなろうとも、その中心にある「人間の情熱」が変わらないことを確認できる、希望に満ちたプロジェクトと言えそうです。
そしてこのルーチェは、フェラーリの「クルマ」を作るプロジェクトではなく、フェラーリの根本にある「考え方」を形にするプロジェクトであると考えていいのかもしれません。
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つまるところ、フェラーリのこの「姿勢」がもっとも重要なのだとぼくは考えていて、「市場やファンが求めるものを作ろう」という現実主義的・商業的なものではなく、「誰もが見たことがない、体験したことがない新しい製品や価値観を想像し提示しよう」という理想こそがフェラーリの本質であり、フェラーリの魅力であるとも考えています。※実際のところ、フェラーリの歴史は挑戦と革新そのものである
そしてこれを実現するため、そのプロダクトの本質を理解し、その外観にとらわれることなく価値を最大化してきたジョナサン・アイブとマーク・ニューソンが全面的に、かつ深く関わっているだけに、今後の展開に対しては否が応でも期待が高まってしまいますね。
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フェラーリ ルーチェの旅路を記す動画”第一弾”、「From Concept to Reality: the Story of Ferrari Luce | Episode 1」はこちら
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参照:Ferrari


























