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【驚異のEV受注107%増】メルセデス・ベンツが2026年第1四半期の決算を発表、ドイツ勢ではいち早く「中国市場の不振」「中国依存」から脱出か

メルセデス・ベンツのボンネット(イエロー)とエンブレム

| 「40車種超」の新型ラッシュで攻勢、2026年第1四半期決算から見える衝撃の未来図とは |

メルセデス・ベンツの攻勢がここからはじまる

世界的な景気後退や中国市場での競争激化など、自動車業界にとって逆風が吹き荒れる2026年。

その中で、メルセデス・ベンツが「財務的な強靭さ」と「新型車への強い需要」を証明する第1四半期(Q1)決算を発表しており、特に注目すべきは、欧州における電気自動車(BEV)の受注が前年比で2倍以上(+107%)に急増している点。

また、2027年までに40車種以上の新型車を投入する「史上最大規模の製品計画」も本格的に始動しており、投資家にとっても自動車ファンにとっても見逃せない、メルセデス・ベンツの最新動向を見てみましょう。

この記事のポイント

  • 爆発的なEV需要: 欧州でのBEV受注が107%増加し、電動化シフトが加速
  • 史上最大の製品ラッシュ: 2027年までに40車種以上の新型車を導入予定
  • 財務の健全性: 1.86億ユーロのフリーキャッシュフローを確保し、盤石の経営基盤
  • 最新技術の投入: 新型EQSにドイツ車初の「ステア・バイ・ワイヤ」を搭載
  • 最高級車戦略: 中国市場の逆風下でも、100万元(約2,100万円)以上のセグメントで首位を堅持
メルセデス・ベンツG580のスペアタイヤカバー


メルセデス・ベンツ「2026年の第1四半期」はどうだったのか

メルセデス・ベンツ・グループAGの2026年Q1決算は、売上高316億ユーロ、金利・税引き前利益(EBIT)19億ユーロという結果。

激しい価格競争や地政学的なリスクがある中、通期見通しに沿った「堅実なパフォーマンス」を維持することに成功したと発表されていますが、特に好調なのは欧州市場(前年比+7%)と米国市場(前年比+20%)。

中国市場では激しい競争により苦戦を強いられているものの、超高級車セグメント(トップエンド)のシェアは世界販売の14.7%を占めており、「量より質(収益性)」を重視する戦略が功を奏しているなど、中国市場に依存しない体質へと変化しつつあるのかもしれません。※かつてメルセデス・ベンツは中国依存度が非常に高く、また中国を重視する姿勢でも知られていた


メルセデス・ベンツの車種構成:現在と未来

メルセデス・ベンツは現在、「エントリー」「コア」「トップエンド」の全セグメントにおいて、内燃機関(ICE)の電動化モデルとピュアEV(BEV)とを同時並行で刷新しており、とくに競争が厳しいエントリー層では過度な投資を避け、利益を出しやすい「コア」セグメントよりも上の層を分厚くすることで体質改善を図っています。

そしてこの「アッパークラス」はメルセデス・ベンツがもっとも得意とする分野でもあり、自社の強みを活かして戦う体制へと転換しつつあることもわかりますね。

注目の新型モデルと技術スペック

セグメント主要車種特徴・テクノロジー
トップエンド新型Sクラス, EQS, GLS, マイバッハSEQSにはドイツメーカー初のステア・バイ・ワイヤを採用
コア新型CクラスEV, GLE, GLEクーペ最新世代のMB.OS(独自OS)とAIを統合
エントリー新型CLA, GLB燃焼エンジンとEVの両バリアントを展開
商用(Vans)新型VLE (EV専用MPV)乗用車の快適性とMPVの広さを融合
メルセデス・ベンツEQBのフロント(レッド)

部門別パフォーマンス(2026年Q1)

  • 乗用車部門(Cars): 販売台数 419,400台。欧州でのBEV販売は前年比34%増と好調
  • 商用車部門(Vans): 調整後売上高利益率(RoS)10.1%と、通期目標を上回る非常に堅実なスタート
  • 金融サービス(Financial Services): 効率改善により、調整後自己資本利益率(RoE)が13.3%へ大幅上昇

市場での位置付けと今後の展望

メルセデス・ベンツの戦略は明確で、それは単に電気自動車を売るのではなく、「世界で最も魅力的なクルマ」を作り続けること。

中国市場においては現地パートナーとの協力による「中国フィット(現地最適化)」を加速させる一方、北京モーターショー2026で発表された「GLC L(ロングホイールベース)」などは”ワールドワイド”な車体へと中国専用のAIとMB.OSを搭載してローカライズを進めることに。※この手法はかなり異例であり、同社の設計技術がかなりな柔軟性を持つことを示している

さらに中期的には年間200万台の販売を目指し、そのうち40%を電動化モデル(xEV)、15%以上を最高級モデル(トップエンド)にするという野心的な目標を掲げていて、現在は「着実に」その達成に向けて動いているというわけですね。

中国 北京モーターショーにて展示されるメルセデス・ベンツGLC

Image:Mercedes-Benz

中国 北京モーターショーでのメルセデス・ベンツのカンファレンスの様子
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ステア・バイ・ワイヤの衝撃

そして今後の成否を大きく左右するのが新型EQSに搭載される「ステア・バイ・ワイヤ」。

これは自動車工学における大きな転換点で、ステアリングホイールと車輪を機械的(物理的)につなぐのではなく、電気信号で制御する技術を持ちますが、以下のようなメリットが存在し、これを最大限に活用することでメルセデス・ベンツはそのアドバンテージを構築しようとしています(将来的にはステアリングホイールを格納し広い空間を実現するなど、中国市場の嗜好にも対応できる)。

  • メリット1: 不要な路面からの微振動を遮断できるため快適性が飛躍的に向上
  • メリット2: ハンドルの取り回し(クイックさ)をソフトウェアで自由に変えられるため、駐車時は楽に、高速走行時は安定した操作が可能に
  • メリット3: 将来的な完全自動運転への移行に不可欠な技術であり、メルセデス・ベンツがその先陣を切った形に
メルセデス・ベンツEQSのインテリア(ダッシュボード)

Image:Mercedes-Benz

新型メルセデス・ベンツEQSに採用されるステア・バイ・ワイヤ(ステアリングホイール)
ステアリングホイールととタイヤとが物理的に繋がらない。メルセデス・ベンツ新型EQSが「ステア・バイ・ワイヤ」で起こす革命とは

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また、今年は自動車発明から140周年という記念すべき年。

メルセデス・ベンツはこれを祝し、新型Sクラス3台で世界140地点を巡る壮大な旅を行っていますが、こういった「歴史への敬意と、未来への革新を同時に進める姿勢」こそが、メルセデス・ベンツの強さの源泉なのかもしれません。

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結論

2026年Q1の決算は、メルセデス・ベンツが「変革期」をいかに賢く立ち回っているかを示しており、一時的な販売台数の増減に一喜一憂せず、高利益率のトップエンドモデル、そして需要が急増しているEVにリソースを集中させることで、不透明な世界情勢の中でも高い収益性を確保していることがわかります。

140年の伝統と最先端のAI・ソフトウェア。この両輪を持つメルセデス・ベンツが次にどのような「驚き」を届けてくれるのか。2026年後半に向けたさらなる製品ラッシュから目が離せない、といった状況でもありますね。

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参照:Mercedes-Benz

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