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| 伝統破壊か、それとも新時代の幕開けか?フェラーリ「Luce(ルーチェ)」登場の衝撃 |
多くの人がルーチェをクルマとして見ており「戦略」として見ていない
高級スーパーカーの頂点に君臨するフェラーリが「ブランド史上初」となる100%電気自動車(EV)として発表したLuce(ルーチェ:イタリア語で『光』の意)。
連日報道されるようにネット上では「酷評の嵐」が吹き荒れているという状況ではありますが、北米では「溶けたチャージャー」「テスラロッサ」「フィッシャープライス(玩具メーカー)がデザインしたフェラーリ」といった辛辣なジョークや批判が飛び交っているという状況です。
しかし、一部では「どれだけ見た目が批判されようとも、このクルマの大ヒットと商業的成功は100%約束されている」とも見られていて、なぜルーチェが「絶対に売れる」と言い切られているのか、その理由をフェラーリ独自のビジネスモデルと超富裕層の心理という観点から考えてみましょう。
この記事の要約
- フェラーリ初の100%電気自動車(EV)「Luce(ルーチェ)」が世界初公開
- 元Appleのジョニー・アイブ氏が率いる「LoveFrom」による革新的な5人乗りGTデザイン
- 4モーター駆動で最高出力1,050馬力、0-100km/h加速2.5秒の圧倒的スペック
- SNSでは「醜い」と大炎上するも、フェラーリの「意図的な品薄戦略」により大ヒットは確定

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フェラーリ初のEV「ルーチェ」のデザインに対して”元身内”、かつて同社CEOを努めたモンテゼーモロが「中国人もコピーしない」「跳ね馬のバッジを外すべき」と酷評
Image:Ferrari | ただしルーチェの発表によってフェラーリは一気に「これまでリーチしなかった層にその名を轟かせる」ことになる | さらにイタリア副首相までもがルーチェに対して批判的な発言を ...
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フェラーリ初のEV「ルーチェ(Luce)」の驚愕スペックと特徴
まず、ルーチェはEV専用にゼロから開発されたプラットフォームを採用する「フェラーリ史上初の4ドア・5人乗り」というパッケージングを採用するグランドツアラー(GT)。
驚異の「1,050馬力」を叩き出すクアッドモーター
その心臓部には各車輪に1基ずつ、計4基の永久磁石同期モーターを搭載しており、システムトータルで1,035hp(1,050PS)という、現行のどのロードゴーイング・フェラーリ(カタログモデル)をも凌駕するパワーを発揮するというハイスペックぶりをもっています。
そしてこの出力は約2.2トンの巨体をわずか2.5秒にて100km/hまで加速させ、その最高速度は310km/hにも達することに(ハイパフォーマンスEVの多くはバッテリー保護のため、その最高速が抑えられており、しかしこの時速310キロというのはかなり高い部類である)。
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フェラーリの株価は初のEV「ルーチェ」発表後に5.26%下落。それだけ変化を受け入れられる人が少ないということに。批判するのは簡単だが認めることを人はなかなかできない
Image:Ferrari | 何かを認めようとすると、その背景を理解しないとならない | 「ルーチェ」は様々な意味における転換点である フェラーリが長年温めてきたブランド初の100%電気自動車(BE ...
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元Appleの天才、ジョニー・アイブ氏によるデザイン
スタイリングは、iPhoneなどのデザインで知られる元Appleのチーフ・デザイナー、サー・ジョニー・アイブ氏とマーク・ニューソン氏が率いるクリエイティブ集団「LoveFrom(ラブフロム)」との共同開発。
従来のミッドシップ風プロポーションを捨て、ガラスを多用した滑らかでインダストリアルな造形に仕上げられていることが外観における最大の特徴で、そしてこのエクステリアが「ルーチェが批判される最大の要因」となっています。

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フェラーリ「ルーチェ・ショック」余波収まらず。CEOやデザイナーをパロディ化したディープフェイク動画も登場、著名評論家は「F430に追突されたジャガーI-PACE」
Image:Ferrari | 史上、ここまで酷評されたフェラーリは記憶にない | 良くも悪くも、それだけフェラーリに対する人々の期待が高く、愛情が強いということであろう 自動車界の頂点に君臨するフェ ...
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「エレキギター」と同じ仕組み?本物のメカニカルサウンド
フェラーリは競合他社の多くが採用する「擬似的な合成サウンド」を与えることを拒否しており、リアアクスルに設置された精密な加速度センサーが回転部品から「本物の機械的振動」を拾い、それをアンプで増幅して車内外に響かせるシステムを採用。
まるでエレキギターのように、EVでありながらエモーショナルな「本物の音」を演出するというわけですね。
車両スペック一覧
| 項目 | スペック・仕様 |
| パワートレイン | 4モーター(クアッドモーター)AWD |
| 最高出力 | 1,035 hp (1,050 PS) |
| 最大トルク | 990 Nm |
| 0-100 km/h 加速 | 2.5 秒 |
| 最高速度 | 310 km/h |
| バッテリー容量 | 122 kWh (総容量)/ 800Vアーキテクチャ |
| 航続距離 | 約530 km (WLTPサイクル) |
| 最大充電出力 | 350 kW DC急速充電対応(10-80%まで約23分) |
| 乗車定員 / ドア数 | 5名 / 4ドア(リアは観音開き仕様) |
| 欧州現地価格 | 7623万円(税込み) |

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「エンツォは草葉の陰で泣いている」という誤解
ネット上の「何にでも文句を言う人々」は「こんなのフェラーリじゃない」「創業者エンツォ・フェラーリが墓の中でひっくり返っている」と息巻いているものの、しかしそれはエンツォという人物の歴史を誤解しているのかもしれません。
実は、エンツォはかつて市販車(ロードカー)部門をそれほど愛しておらず、というのも彼にとって市販車は「F1のレース活動(スクーデリア・フェラーリ)の莫大な資金を稼ぐための手段」にしか過ぎなかったから。※ただしブランド価値を毀損するものや行為については徹底して許さなかった
実際のところ、エンツォ・フェラーリは晩年には市販車ビジネスにはかかわらなくなり、フィオラノ・サーキットの横に構えた邸宅にて余生を過ごすことになりますが、もし彼が存命なら、このルーチェが「レース活動のための巨万の富を運んでくる」という意味において大絶賛したのかもしれません。
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「北の教皇」とまで呼ばれ、その権力を絶対的なものとしたエンツォ・フェラーリ。どのような名言を残し、どのような哲学を持っていたのか?
| エンツォ・フェラーリは「時代の50年以上先を行く」ビジネスマンであった | その存在は「神」にも等しく、今もその教えが根付いている さて、フェラーリ創業者であるエンツォ・フェラーリはまことに不思議 ...
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ドイツの巨頭を凌ぐ、フェラーリの圧倒的企業価値
そしてフェラーリはもはや単なる「自動車メーカー」ではなく、エルメスやシャネルと同じ「超高級ブランド(ラグジュアリー)企業」です。
その証拠に、同社の時価総額は約567億ドルに達し、BMWやメルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲンといったドイツの自動車巨頭を上回っていて、注目すべきは、ポルシェが年間約28万台を販売して時価総額450億〜490億ドルを達成しているのに対し、フェラーリは年間わずか13,640台(2025年実績)しか売っていないという点。
さらには時価総額のみならず、利益効率(利益率25%)という点からもフェラーリはほかの自動車メーカーを圧倒的に引き離しているわけですね。
Image:Life in the FAST LANE.
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フェラーリの「現在のオーナー」は誰なのか?現在のフェラーリは「株主」によって所有されており、「フェラーリを買えずともフェラーリを所有できる」
| 「フェラーリという会社は誰のものか?」という問いの意外な答え | そう多くはない金額にてボクらはフェラーリを所有できる さて、フェラーリはエンツォ・フェラーリによって設立された自動車メーカーですが ...
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なぜ「醜い」と言われるルーチェが売れるのか?
どんなにデザインが不評でも、ルーチェが「確実に完売する」と言われる理由は、フェラーリが支配する「意図的な品薄(デリバート・スケアシティ)クラブ」の仕組みにあり・・・。
1. 「上顧客クラブ」の厳しい購入権チケット
フェラーリの限定車(例えば新型ハイパーカー、F80など)を購入するためには、所有するコレクションのランクが審査され、フェラーリ側がいかに「ルーチェの購入を限定車割り当ての条件にはしない」と言ったとしても、最後の1枠を争う段階になれば、「ルーチェを快く買ってくれた顧客」が優遇されるのは間違いないであろうと考えられていて、富豪たちはコレクションの“実績作り”のために、「1億円の」EVを迷わずガレージに加えるであろうと見られています。
そしてフェラーリのビジネスの根幹にあるのは、上述のように「モータースポーツの資金を獲得するために市販車を売る」というもので、より多く購入したほうが上位顧客にランクされる近道であることが知られているものの、「台数」「金額」よりも重要なのが「購入した車種」「保有している車種」であり、「自分が買いたい、所有したいと思うクルマ」よりも、「フェラーリが買ってほしいと考えるクルマ」を購入し所有しているオーナーの方が重要視されるとも言われていて(フェラーリがこの基準を公開しているわけではないので推測でしかない)、これはつまり「人気がなく売りにくいクルマを購入してくれる顧客=フェラーリを真に支えてくれる顧客」という判断へと繋がるというわけですね(これはフェラーリのみではなくとも、ロレックスなど他のブランドでも同じだと思われる。人間関係でも同じかもしれない。苦しいときに支えるのが真の愛というものである)。※加えて、ルーチェはフェラーリの歴史的転換点をあらわすクルマでもあり、短期的な評価を気にせず、「フェラーリの”歴史”をガレージに並べる」という関連からルーチェを買い求めるコレクターも少なくはないはずである

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2. SUV「プロサングエ」で証明された鉄壁のリセールバリュー
ポルシェやアストンマーティンのSUVは市場に出回ると価値が落ちやすく、しかしフェラーリ初の4ドアモデル「プロサングエ」だけは価値を維持(あるいは高騰)し続けているという現状もあり(ロールス・ロイス・カリナンもプロサングエほどではないにせよ高値を維持している)、その理由は簡単で、それはフェラーリが「市場の需要より必ず10%少なく作る」という独自の生産制限(プロサングエの場合は年間生産の20%以下に抑える)を徹底しているから。
ルーチェでもこの手法が採用されるであろうと考えられるため、購入したオーナーは値落ちのリスクを(さほど)恐れる必要がない、とも考えられています。
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【フェラーリの哲学】なぜ“需要より1台少なく”しか作らないのか?エンツォ・フェラーリの信念と成功の理由
はじめに:伝説の言葉「フェラーリは常に需要より1台少なく作る」 フェラーリは常に「ブランド価値の最大化」を優先させてきた エンツォ・フェラーリは数々の名言を残していますが、最も有名なのはこの一言かもし ...
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3. テスラなきハイエンドEV市場での「美徳のシグナル」
イーロン・マスクがテスラ「モデルS プラッド」の生産を終了した今、セレブリティやテック系の億万長者たちが「環境への配慮(美徳)」をアピールするための高級EVが存在しないというのが現在の状況で、しかしルーチェは彼らが「私は大富豪だが、地球のことも考えている」という社会的ステータス(シグナリング)を示すための完璧な選択肢としてガレージに収まるという可能性も指摘されています。
世の中の殆どの人は、それが大きなニュースにでもならない限り「フェラーリがEVを発売したとしても」それを知ることはないかと思いますが、今回のルーチェは「非常に大きく」自動車意外の様々なメディアでも報じられることになり、これによって「フェラーリにEVが存在すること」が世に広く知られるようになったわけですね。
そしてその特異なルックスはこれまでのフェラーリと容易に差別化が可能となり、街でルーチェを見かけ、フェラーリの跳ね馬をそこに確認したならば、人々はそれを「このクルマが話題になっていたフェラーリのEV」だと認識することになり、よって富裕層がシグナリングのためにルーチェをこぞって購入する可能性が非常に高いとも見られていますが、もしこの法則が現実のものとなるのであれば、皮肉にもルーチェの販売を加速させるのは「ルーチェを声高に非難し、多くの人の耳に届けた」アンチ層であったということになりそうです(彼らが騒げば騒ぐほど、ルーチェの成功は確率を増してゆく)。

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結論
フェラーリルーチェは、ぼくらが慣れ親しんだガソリンの匂いがするスポーツカーではなく、ある人にとっては「ただの奇抜なEV」に見えるかもしれません。
しかし、これはフェラーリというブランドが、次の100年も生き残り、モータースポーツへの情熱を燃やし続けるために、極めて冷徹かつ完璧に計算された「ラグジュアリービジネスの傑作」であるとも考えられ、画面の向こうでぼくらがデザインの良し悪しを議論している間にも「注文書が世界中のVIPたちのサインで埋め尽くされている」のだとも考えています。
なお、フェラーリのようなラグジュアリーブランドにおいて、最大の失敗は「無視されること」。
つまり本当の失敗は「ルーチェが話題にならなかった場合」であったのだと考えられ、しかしこれだけ話題になった今、ルーチェは「成功した」と言っていいのかもしれません。
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