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これぞフェラーリの思惑通り?タイの若い富裕層はルーチェを支持。「伝統的なフェラーリらしくない。だからこそ、買う価値があるのです」

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| フェラーリ初の最高峰EV「ルーチェ(Luce)」に富裕層が熱狂する全内幕とは |

ある意味では「フェラーリの狙い通り」だと考えていいだろう

「これは本当にフェラーリと呼べるのか?」

先月、イタリア・マラネッロの跳ね馬が「その歴史において最も大胆、かつ最も危険な一歩」を踏み出しており、それはもちろん同社初となる100%電気自動車(EV)「フェラーリ ルーチェ(Ferrari Luce、開発コード:Type F222)」のワールドプレミアです。

発表直後から世界の自動車メディアや伝統的なティフォシ(フェラーリファン)の間では「伝統的なスポーツカーの美学から逸脱している」「V12の咆哮、少なくともガソリンエンジンがないフェラーリなど認めない」といった猛烈なバッシングと賛否両論の嵐が巻き起こってるのも記憶に新しいかもしれません。

しかし、ところ変わって東南アジアのラグジュアリーカー大国、タイ王国では全く異なる「狂騒曲」が始まっているといい、2027年後半とされる現地デリバリーを前にして、すでに想定を遥かに超える予約と問い合わせが殺到していると報じられることに。

世界中からの批判をよそに、なぜタイの富裕層は1億円を優に超える「静かなる跳ね馬」にこれほどまで熱狂しているのか。その深層、そしてルーチェが持つ規格外のテクノロジーについて考えてみましょう。

この記事の要点

  • 世界的な賛否両論とタイでの大反響: 先月世界初公開されたフェラーリ初のピュアEV「ルーチェ(Luce)」は、その過激なデザインとブランドの電動化路線を巡り世界中で批判を浴びることに。しかし、タイ市場では2027年後半の納車開始を前に、驚異的な先行需要を記録している
  • 現地価格は「1億円超え」の衝撃: タイのフェラーリ正規インポーター「カヴァリーノ・モータース」による想定価格は約3,384万バーツ(約1億4,600万円)。欧州仕様のベース価格(55万ユーロ)の約2倍という超高額設定ながら、購入希望者の熱量はまったく衰えていない
  • 1000馬力を超える異次元のスペック: マラネッロで自社開発された122 kWhの大型NMCバッテリーを搭載。4基のモーターで4輪を独立制御し、システム最高出力はフェラーリのロードカー史上最強となる1,035馬力を発揮する
  • 元Apple重鎮が描く「引き算の美学」: デザインは、iPhoneなどを手がけた伝説的デザイナーのサー・ジョニー・アイブ氏率いる「LoveFrom」と共同開発。フェラーリ史上初の5人乗り(3人掛けリアベンチシート)という革新的なパッケージを採用
  • 伝統の否定こそが新たなステータス: 「V12エンジンの咆哮」「ガソリンエンジン」を持たないフェラーリという強烈な違和感こそが、逆にタイの次世代富裕層にとって「誰も持っていない究極の記号」として強烈な牽引力となっている

欧州価格の「2倍」でも揺るがない、タイ富裕層の圧倒的購買力

タイにおけるフェラーリの公式パートナーである「カヴァリーノ・モータース(Cavallino Motors)」のレポートによると、タイ国内におけるルーチェの予想販売価格は約3,384万バーツ。日本円に換算すると約1億4,600万円という、目も眩むようなプライスタグが付けられる見込みです。

欧州でのベース価格が55万ユーロ(約9,500万円)であること、日本での価格が7623万円であることを考えると、タイの関税・ラグジュアリー税制度によって実質的に(他の国に比較して)2倍近いプレミアム価格となっています。

フェラーリのEV、ルーチェのエクステリア〜フロント正面

Image:Ferrari

普通であれば買い控えが起きてもおかしくない状況ではありますが、現地の prospective buyers(見込み客)たちの興味は失われるどころか、むしろ「世界初のフェラーリEV」という唯一無二の肩書きが彼らの独占欲と知的好奇心を強烈に刺激しているといい、タイの超富裕層にとって価格の高さはハードルではなく、所有することのステータスを高める最大のスパイスに過ぎないのかもしれません。

ミニマリズムとクラシックの融合:ジョニー・アイブが仕掛けた内装の魔術

世界的な批判の多くはそのエクステリアデザインに集中していますが、一方でインテリアに関しては「自動車の未来のあり方を示している」と高く評価されています。

ルーチェのキャビン(室内空間)のスタイリングを手がけたのは、元Appleの最高デザイン責任者(CDO)であるサー・ジョニー・アイブ氏とマーク・ニューソン氏が率いる高名なクリエイティブ集団「LoveFrom」で、彼らは近年の新型車にありがちな「巨大液晶画面によるテクノロジーの過剰摂取」を徹底的に排除したことが評価されているわけですね。

フェラーリのEV、ルーチェのインテリア〜全景

Image:Ferrari

  • 3連のアナログ風デジタルメーター:ステアリングコラムと連動して動くOLEDディスプレイには金属製のリングで縁取られたクラシックな3連メーターの形状をあえて採用。デジタルでありながら、精密な機械式時計のような質感を表現している
  • 物理スイッチへの回帰:フェラーリの近年のモデル(プロサングエなど)で不評だったステアリング上の静電容量式タッチパッドを廃止し、カチッとした確実なクリック感を持つ本物の物理スイッチとダイヤル(マニエッティノ)を復活させる
  • ヘリコプターに着想を得たルーフコンソール:頭上にはアルミニウム製のトグルスイッチが並び、ローンチコントロールなどの重要な機能を操作する高揚感を演出

この「引き算の美学」によって構築されたミニマルかつ濃厚な空間は、ドライバーが運転そのものに深く没入(エンゲージ)できるよう緻密に計算されたものであり、まさにインダストリアルデザインを得意とするLoveFromといったところでもありますね。

フェラーリ ルーチェ:車種概要

フェラーリ ルーチェ(Ferrari Luce)主要諸元・スペック

項目詳細仕様
パワートレイン4基の独立した永久磁石同期モーター(クアッドモーター・AWD)
システム最高出力1,035 hp (1,050 PS) ※ブーストモード時
バッテリー種類/容量自社開発 NMC(ニッケル・マンガン・コバルト)リチウムイオン / 122 kWh(総容量)
高電圧アーキテクチャ880 V システム
0 - 100 km/h 加速2.5 秒
最高速度310 km/h 以上
WLTP航続距離530 km 以上 (目標値)
最大急速充電対応350 kW DC急速充電(約18分で10-80%充電可能)
乗車定員5名 (フェラーリ史上初のリア3人掛けベンチシート採用)
サスペンション第3世代アクティブサスペンションシステム(F80由来の技術)
ブルーのフェラーリ・ルーチェ(ブルー、リア、静止)

Image:Ferrari

市場での位置付け:超ハイエンドEVセグメントにおける「唯一無二の記号」

現在、ポルシェ・タイカンやルシード・エア・サファイアなど、1,000馬力を超える高性能EVがいくつか(あるいは多数)市場に存在しますが、しかしルーチェが属するのはそれらとは一線を画す「SPECULATIVE LUXURY(投機的・超高級ラグジュアリー)」の領域にいるということ。

これまでのフェラーリは、2シーターまたは2+2のクーペ、そしてSUVライクな「プロサングエ」が実用性の限界ではあったものの、ルーチェは全長5メートルを超える堂々たる体躯、そしてフェラーリの78年の歴史で初めて「後席に3人が快適に座れる5人乗り」のパッケージを採用しています。

つまり、最高峰のハイパーカーでありながら、お抱え運転手(ショーファードリブン)による送迎にも対応できるという、これまでのスーパーカーの枠組みを完全に破壊したキャラクターを与えられていおり、これが後席の快適性を極めて重視するタイ含むアジアのVIPたちのニーズに完璧に合致しているのだとも分析されているようですね。

なぜアジアの富裕層は「ガソリンエンジンの終焉」を恐れないのか?

欧米のコアなコレクターの間では、「エンジン音のないフェラーリなど、ブランドの正統性(レジティマシー)がない」という情緒的な批判が根強くあります。しかし、タイをはじめとするアジアの新興ラグジュアリー市場では、驚くほど合理的な解釈がなされているようです。

1. 内燃機関の歴史への「執着」の薄さ

欧州のように100年にわたるモータースポーツの伝統やグランツーリスモ文化が血肉化している地域とは異なり、アジアの若き富裕層やテック系セルフメイド(起業家)たちにとって、自動車は「自己の先進性と富を表現する最新のガジェット」にほかならず、彼らにとって、最高出力1035馬力という圧倒的なテクノロジー、そしてAppleのDNAを感じさせるジョニー・アイブのデザインこそが正義であり、過去の「12気筒の歴史」にしがみつく必要性を感じていない、ということに。

ちなみにですが、ぼくは「ポルシェは水冷になってから」「ランボルギーニはアウディ傘下に入ってから」「フェラーリはピニンファリーナデザインでなくなってから」購入していて(それまでにも前世代のモデルを購入する機会はあった)、今回のタイの顧客の動きはこれと多少なりとも通じる部分があるのかもしれません。

フェラーリ296GTBのミニカー(ブルー、ルックスマート)
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2. バンコクの深刻な渋滞と「静寂」のラグジュアリー

タイの首都バンコクは世界でも有数の大渋滞都市として知られていて、超高回転型のV12エンジンを積んだハイパフォーマンスカーで渋滞に捕まることは、ドライバーにとってもクルマ(熱マネジメント)にとっても極めてストレスフルな体験です。

一方で、ルーチェは専用のNVH(騒音・振動・ハーシュネス)対策により、EVならではの圧倒的な洗練性と静寂性を手に入れており、渋滞の中では最高峰のオーディオ(21スピーカー)に包まれた極上のラウンジとなり、ひとたびハイウェイやサーキットに持ち込めば4輪のトルクベクタリングとe-マネッティーノによる異次元の旋回性能を見せる。この「二面性」こそが都市部に生きるアジアのプレミアム層にとって、最もリアルで実用的なラグジュアリーとして映っているのかもしれません。

なお、タイは現在「もすごい勢いで」新世代の富裕層が誕生しているといい、ポルシェがバンコクに「超高級マンション」を建設していることからもその勢いがわかろうというものですね。

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結論

フェラーリ・ルーチェを巡る世界的な批判とタイでの熱狂的な需要という奇妙なコントラストは、高級車ブランドにおける「伝統」と「革新」の地政学的な受け入れ方の違いを鮮烈に浮き彫りにしています。

「伝統的なフェラーリらしくない。だからこそ、買う価値がある」

タイの目の肥えたバイヤーたちは、ルーチェの登場をフェラーリの衰退ではなく、新しいラグジュアリーの定義の始まりだと確信しているというのが現地での捉え方であり、爆発的な加速性能、122kWhの巨大バッテリーによる実用的な航続距離、そしてジョニー・アイブがもたらした次世代のコックピット思想。これらはすべて、未来の富裕層が求める「洗練」そのものです。

世界がどれだけ激しい議論を戦わせようとも、2027年後半、バンコクの美しい夜景の中にこの静かなるハイテクフェラーリが滑り込んでいく未来はすでに確定しており、ポルシェの成長を「水冷から入った世代」が牽引したのと同様、未来のフェラーリを成長させるのは「ルーチェから入った世代」なのかもしれません。

そして一定の段階でメディアや評論家の「手のひら返し」が始まったり、いち個人であっても「ルーチェを批判していたのが恥ずかしい」「ルーチェを理解できなかった自分のほうが波に乗れていなかった」と考えるようになる時期がやってくるのかもしれず、その意味でもルーチェは、乗る者を過去のノスタルジーから解放し、誰も見たことのない次のステージへと誘う、エポックメイキングな傑作となるのでは、とも考えています。

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参照:TheSupercarBlog

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