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BYDのプレミアムブランド「デンツァ(DENZA)」よりフラッグシップ「Z」三兄弟がデビュー。ポルシェ911ターボSの2倍パワーでGTSより安価な値付けに

BYD DENZA Z(クーペ、ブルー)のフロント

Image:DENZA

|  BYD最高峰「デンツァ Z」がグッドウッド2026で世界初公開 |

実際に消費者がどう反応するのかには興味が尽きない

ハイパフォーマンスEVの世界では、桁外れの馬力や加速スペックが見慣れたものになりつつありますが、それらは常に「億超え」の超高額なプライスタグとセットであったのもまた事実。

しかし、中国のEV巨人、BYDが展開するプレミアムブランド「Denza(デンツァ)」はその常識を根底から覆そうとしており、今回イギリスで開催された「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード 2026」にてワールドプレミアされた新型EVスーパーカー「デンツァ Z(Denza Z)」は、ポルシェ911ターボSを置き去りにするほどに加速力と2倍以上のパワーを誇りながら、価格はミドルグレードの「911カレラ4 GTS」よりも安価に設定されるという「既存の欧州スーパースポーツ勢にとって悪夢のような衝撃作」となっています。

BYD DENZA Z(クーペ、スパイダー、レーシング)

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記事の要約・ポイント

  • 圧倒的なパワーと加速性能: 新開発「e3プラットフォーム」によるトライモーターを搭載。最高出力1,582hp、最大トルク1,240Nmを誇り、0-100km/h加速は驚異の1.96秒(Racing)をマーク。
  • 常識を覆す価格破壊: 911ターボSの2倍以上の馬力を持ちながらイギリス市場での予定価格はポルシェ911のミドルレンジ(GTS)を下回る142,900ポンド(約2800万円〜)からという驚異のバーゲンプライス。
  • 異次元の「9分満充電」: 第2世代の「ブレードバッテリー(76kWh)」と1,500kW超急速充電技術(FLASH Charging)により10-97%の充電をわずか9分で完了。
  • ニュル最速へ挑む2,000馬力仕様も: 通常の「Coupe」「Spider」「Racing」に加え最高出力2,000馬力級でニュルブルクリンクEV最速記録を狙う「Special Edition」の存在も公表。
BYD DENZA Z(オレンジ、レーシング)のリアサイド

Image:DENZA

詳細:1,582馬力を解き放つ「e3」トライモーターと異次元のハイテクシャシー

デンツァ Zの核となるのはBYDグループの最先端技術を集約した新開発のスポーツカー専用プラットフォーム「e3(イーキューブ)」。

その心臓部にはフロントに1基、リアに2基を独立配置した「トライモーター(3基の電気モーター)」システムを採用し、システム合計出力は1,582 hp(1,604 PS / 1,180 kW)、最大トルクは1,240 Nmという、ガソリン車の基準では測定不能なほどの極大パワーを発生させます。

しかしデンツァZは単に直線が速いだけのクルマではなく、リアに搭載される2基のエレクトリックモーターは左右それぞれの車輪を独立して超高速にトルク制御(トルクベクタリング)できるため、コーナーでの旋回性能を劇的に高めることに成功し、さらに前輪側のハードウェアから物理的なリンクを排除した「ステア・バイ・ワイヤ」、そして最高峰モデル「仰望(Yangwang)U9」から譲り受けたミリ秒単位で減衰力を調整する「DiSus-M」磁性流体アクティブサスペンションも標準装備。

極めつけはフロントアクスル(前車軸)を中心に車両をその場でクルリと旋回させる「コンパスターン(360度超信地旋回)」機能まで搭載していることで、巨躯でありながら路地やサーキットのヘアピンでの圧倒的な取り回し性能を実現しています(実際にこの機能をどれくらいの人が使うのかはわからないが、中国市場にとっては「装備していること」が重要である)。

BYD DENZA Z(グリーン、スパイダー)のフロント

Image:DENZA

車種概要・性能・デザイン・スペックの特徴

デンツァ Zは、グッドウッド2026の会場において3つの市販バリエーションと、1つの記録挑戦用限定モデルの存在を明らかにしており・・・。

1. 主要諸元・モデル別スペック比較

項目Coupe(クーペ)Spider(スパイダー)Racing(レーシング)Special Edition(限定)
ボディ形状2+2クーペオープントップ(ロードスター)サーキット走行重視(固定式ウイング付)ニュル記録挑戦仕様
最高出力1,582 hp(1,604 PS)← 左に同じ← 左に同じ1,973 hp(2,000 PS)以上
0-100 km/h 加速2.25秒約2.3秒1.96秒(セミスリック装着)1.7秒未満
最高速度300 km/h300 km/h350 km/h不明(350 km/h以上)
車両重量2,230 kg2,300 kg2,250 kg不明
WLTP航続距離最大 409 km最大 399 km最大 380 km不明
英国予定価格£142,900(約3100万円)£159,900(約3490万円)£172,900(約3770万円)未発表

2. 給油より早い!? 「9分で97%」を可能にする新世代バッテリー

本車両のゲームチェンジャーとも言えるのが、シャシー一体型のCTB(セル・トゥ・ボディ)構造を採用した「第2世代ブレードバッテリー(LFP:リン酸鉄リチウムイオン)」。

容量こそ76kWhとハイパーカーとしてはやや小ぶり(軽量化のため)ではありますが、BYD独自の最新急速充電技術「FLASH Charging」に対応しており、今後ヨーロッパや中国で展開される1,500 kW(マルチメガワット)級の超急速充電器を使用した場合、10%から70%までの充電がわずか5分、10%から97%満タン近くまでの充電がわずか9分で完了する、とのこと。

これはガソリン車がスタンドで給油して会計を済ませる時間とほぼ同等であり、「EVは充電待ちが長い」というこれまでの最大の弱点を過去のものにしようとしているわけですね。

BYD DENZA Z(クーペ、ブルー)のサイド

Image:DENZA

3. 高級テックサロンと化したインテリア

元ランボルギーニやアウディのチーフデザイナーを務めた名匠ヴォルフガング・エッガー氏が手掛けた流麗なエクステリアのドアを開けると、そこは中国製プレミアムEVらしい「快適性とガジェットのパラダイス」。

スーパーカーらしいタイトなバケット風シートでありながら、なんとフロントには12way電動調整・ベンチレーション・ヒーター・マッサージ機能を標準装備し、さらにはフランスの高級オーディオブランド「デビアレ(Devialet)」のサウンドシステムやGoogle連携の12.8インチインフォテインメントディスプレイ、デジタルルームミラーなどの快適装備が「満載」。

リアシートはコンパクトな「2+2」レイアウトではありますが、いざという時に4名が乗車できる実用性も確保されています。

BYDの高級ブランド、デンツァ「Z(グリーン)」のインテリア

Image:DENZA

市場での位置付けと今後の展望:既存の欧州プレミアムブランドの牙城を崩せるか?

デンツァ Zの市場における最大の武器は、その「狂ったようなコストパフォーマンス」にあります。

現在、イギリス市場におけるポルシェ911の頂点「911ターボS(701馬力)」の価格は199,500ポンドに設定され、一方でその2倍以上のパワー(1,582馬力)を持ち、0-100km/h加速でもターボS(公称2.5秒)を大きく突き放す「デンツァ Z レーシング」が172,900ポンド、ベースのクーペに至ってはミドルグレードの「911カレラ4 GTS(145,900ポンド)」を下回る価格で手に入ります。

これまで、ポルシェやフェラーリ、マセラティ(グラントゥーリズモ・フォルゴーレ)といった西欧の伝統的ラグジュアリーブランドを好む層は、新興の中国製EVに対して冷ややかな視線を送る傾向があり、実際、ポルシェ自身も「高価格帯のユーザーは内燃機関(ICE)特有のエモーションやサウンドを求めている」として、911の完全電動化計画を当面の間見送る判断を下しています。

しかし、デンツァ Zが提示した「圧倒的なテクノロジーの差」「給油並みの超高速充電」、そして「半額近いバーゲンプライス」というパッケージは、ブランドのバッジ(徽章)だけにこだわらない合理的な新世代の富裕層やガジェット好きのコレクターの心を動かすのに十分な破壊力を持っていて、さらに今秋には2,000馬力級のSpecial Editionによる「ニュルブルクリンクEV最速記録」への挑戦も控えており、ここでポルシェやシャオミ(Xiaomi)らの記録を塗り替えるようなことがあれば、ブランドのステータスそのものが一気に変革する可能性も見えてくる、というわけですね。

BYD DENZA Z(スパイダー、グリーン)のサイド

Image:DENZA

結論:電動化を躊躇する欧州ブランドへ突きつけられた「最終宣告」

デンツァ Zの登場は、単に「また一つ速い中国製EVが生まれた」というレベルの話ではなく、それは欧州のスポーツカーメーカーたちが「EVスポーツはまだ時期尚早」「顧客が求めていない」と言い訳している間に、中国のEV技術がすでに「給油時間と同等の利便性」と「異次元の運動制御」を、圧倒的な低価格で量産化できるフェーズに達したことを意味しています。

確かに、ガソリンエンジンの咆哮やメカニカルなギミックを愛するエンスージアストにとって、擬似的なエンジンサウンドや重量級の車体にはまだ心理的障壁があるかもしれません。

しかし、スマートフォンがかつての高級時計とは異なる価値基準で市場を席巻したように、デンツァ Zのような「走るスーパーコンピューター」が、次世代のハイパフォーマンスカーの定義を完全に書き換えてしまう未来がすぐそこまで来ていることも事実であり、欧州の老舗ブランドたちがこの猛追にどう答えるのか、そして消費者がどういった反応を示すのかなど「興味は尽きない」といったところでもありますね。

EVスポーツカーの「バッテリー容量ダウンサイジング」がもたらす自動車設計のコペルニクス的転換

今回のデンツァ Zのスペックシートを見て一つの「違和感」に気づくかもしれず、それは「1,500馬力超のモンスターEVでありながら、バッテリー容量が76kWhと意外に小さい」という点です。

例えば、競合となるポルシェ・タイカン(ターボGT)や、噂される次世代EVハイパーカーたちは、航続距離を確保するために100kWh〜120kWh前後の巨大で重いバッテリーパックを床下に敷き詰めるのが一般的で、バッテリーを大きくすれば航続距離は伸びますが車両重量が2.5トンを超えてしまい、スポーツカーとしての軽快なハンドリング(コーナリング性能)が犠牲になるというジレンマがあるのもまた事実。

BYD DENZA Z(オレンジ、レーシング)のサイド

Image:DENZA

しかしBYD(デンツァ)が今回下した決断は、その逆を行くアプローチであり・・・。

  1. 「FLASH Charging」による超急速充電の担保: 「どうせ5分〜9分でガソリンスタンド並みに満タンになるなら、1回の航続距離は380km〜400km程度で十分である」という割り切り。
  2. バッテリー重量の軽量化: 容量を76kWhに抑えることで、頑丈なカーボンモノコックや3基のモーター、豪華なマッサージシートをフル装備しながらも、クーペの車重を2,230kgに留めることに成功(このクラスのEVとしては異例の軽さ)。
  3. 持続可能なスポーツ性能: 重量が軽くなれば、当然コーナリング時のタイヤへの負担やブレーキの熱フェードを抑えられ、サーキットでの本格的なスポーツ走行に耐えうる時間が長くなる。

つまり、これまでのEV開発の主流だった「航続距離の長さ競争(=バッテリーの巨大化競争)」は終わりを告げ、これからは「超高速充電インフラを前提とした、適切なバッテリーサイズによる軽量化と運動性能の追求」へとトレンドがシフトしていくことをこのデンツァ Zは見事に示しています。

そしてこれはインフラ(充電器)の出力が1,500kWという異次元の領域に達したからこそ可能になった、自動車設計の新しいパラダイムシフトであるとも考えられ、EVの進化は「クルマそのもの」に加え、「インフラにも左右される」ということを改めて思い知らされるかのような出来事だとも捉えています。

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参照:DENZA

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