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| ニュル最速SUVに君臨したシャオミ「YU7 GT」の衝撃 |
これでポルシェは「SUVにもマンタイキット」を用意せねばなるまい
スマートフォンメーカーから世界的自動車メーカーへと驚異的なスピードで進化を遂げているシャオミ(Xiaomi)。
同社が2026年5月21日19時の正式発表を目前に、新型ハイパフォーマンス電動SUV「YU7 GT」がドイツのニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(北コース)で7分34秒931のラップタイムを記録したと発表することに。
これにより、これまで伝統的な欧州の高性能スポーツSUVが競い合っていた聖地の王座が、中国発の最新鋭EVによって塗り替えられることになり、ニュルブルクリンクにおける勢力図が大きく書き換えられることとなっています。
まずは、今回のアナウンスで判明した重要ポイントを3つの要約でチェックしてみましょう。
この記事の要約
- ニュルSUV最速記録を更新: 「7分34秒931」のタイムを叩き出し、従来のアウディRS Q8 performanceの記録を1.7秒以上短縮
- 初の中国人ドライバー公認: シャオミのチーフテストドライバーである任万燦(Ren Zhoucan)氏が、中国人として初めてニュルブルクリンクの公式ラップ認定を取得
- 5月21日に正式ローンチ: 最高出力990馬力、最高速度300km/hを誇る「純血のGT」パフォーマンスSUVが、まもなく中国で正式発売
ニュルブルクリンク(Nürburgring Nordschleife)とは:
自動車メーカーが新型車の走行性能や耐久性を証明するための「聖地」として知られる世界で最も過酷なサーキット。ここでのラップタイムは、スポーツカーの性能を測る世界共通のベンチマークとなっています。
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伝統の欧州勢を圧倒した「7分34秒931」という驚異的タイム
今回のYU7 GTによる「7分34秒931」という記録は、これまでのSUVの常識を覆すもので、2024年にアウディの高性能SUV「RS Q8 performance」が記録した7分36秒698を1.767秒上回り、2021年にポルシェ「カイエン ターボGT クーペ」が記録した7分38秒925をも大きく引き離すタイムです。
| 車種名 | ラップタイム | 記録年 | 動力源 |
| シャオミ YU7 GT | 7分34秒931(歴代最速) | 2026年 | 電気(BEV) |
| アウディ RS Q8 performance | 7分36秒698 | 2024年 | ガソリン(V8ツインターボ) |
| ポルシェ カイエン ターボGT クーペ | 7分38秒925 | 2021年 | ガソリン(V8ツインターボ) |
車高が高く、重量がかさむSUVにとって、コーナリング時のロール(傾き)や慣性との戦いになるニュルでのタイムアタックは極めて不利とされていますが、シャオミCEO、雷軍(Lei Jun)氏が「純血のGT」と自信をのぞかせる通り、YU7 GTはSUVの皮を被った本格スーパースポーツのDNAを備えていると言えるのかもしれません。
すでにシャオミはセダンモデルの「SU7 Ultra」にてニュルブルクリンクのEV市販車最速クラスとなる6分22秒091を記録しており、その過酷なテストで得られたデータやノウハウがこの新型SUVにも惜しみなくフィードバックされていることは間違いなく、そしてこのタイムの更新には「(専門家によれば)従来の車両制御技術の枠にとらわれない」技術が用いられているというので、シャオミはまさに「新世代の王者」ということになりそうですね。
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最高出力990馬力!「YU7 GT」のモンスター級スペックと異次元のシャシー技術
そこでこのYU7 GTについて詳しく見てみると、これほどのタイムを叩き出すことができた理由は、シャオミが独自に開発した次世代のパワートレインとシャシー技術にあるとされ・・・。
28,000回転を誇る「HyperEngine V8S EVO」
YU7 GTには、従来のV8Sモーターを大幅に進化させた「HyperEngine V8S EVO」が搭載されています。
このモーターは最高回転数28,000rpmという超高回転型で、自社開発のシリコンカーバイド(SiC)パワーモジュールを採用することで出力を5.9%向上させ、さらには0.15mm厚という超極薄ケイ素鋼板を使用することで効率98.38%という驚異的な数値を達成しています。
そしてフロントには288kW(386hp)、リアには450kW(604hp)というツインモーターAWDシステムにより、システム総合出力は738kW(990馬力)に達するというわけですね。

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ニュルで鍛え上げられた「Jialong Chassis Master Edition」
パワーを路面に伝える足回りには、ニュルブルクリンクで徹底的にチューニングされた「Jialong Chassis(ジアロン・シャシー)Master Edition」を採用。
独立した伸び/縮み減衰力制御が可能なデュアルバルブCDCダンパー、車高と剛性を自動調整できる密閉型デュアルチャンバー・エアスプリング、そして後輪左右のトルク配分を瞬時に最適化する電子制御リミテッドスリップデフ(eLSD)を統合し、巨体ながら路面に吸い付くような異次元のコーナリング性能を実現している、とのこと。
これらの技術を、そしてその成果を見るに、もはやニュルブルクリンクのタイムはそのクルマの「基本性能」というよりも、「サスペンションと駆動システム」に依存するようになっており、そしてこれらの制御には多大な電力を要するため、「PHEVあるいはEVでないと実現できない」と考えることも可能です。
かつてEVが「エコな乗り物」から「ガソリン車では勝てないほどの加速を実現する乗り物」へとその印象を変えたように、今後は「EVは重くサーキットでは遅い」という認識から、やがてて「サーキットを速く走るにはEVしかない」という時代へと移り変わってゆくのかもしれません。
シャオミ YU7 GT 主要スペック表
| スペック詳細 | |
| ボディサイズ | 全長 5,015 mm × 全幅 2,007 mm × 全高 1,597 mm |
| ホイールベース | 3,000 mm |
| パワートレイン | 前後ツインモーター(AWD) |
| 最高出力 | 総合 738 kW (990馬力)/ フロント: 288kW、リア: 450kW |
| 最高速度 | 300 km/h |
| バッテリー容量 | 101.7 kWh(三元系NMC) |
| 航続距離 | 705 km(CLTCモード) |
| ブレーキ | カーボンセラミック製ブレーキディスク |
サイズ感としては、超高級スポーツSUVであるフェラーリ・プロサングエ(Ferrari Purosangue)と比較して全長が42mm長く、全幅が21mm狭く、全高が8mm高いという伸びやかなプロポーションを持っています。

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ここで注目したいのが、シャオミの「プレミアム市場へのシフト」と「モータースポーツマーケティング」の巧みさで、シャオミといえば、かつては「コスパの高いスマートフォン」のイメージが強かったブランドではありますが(その前はイヤホン)、自動車業界への参入にあたっては完全に「ポルシェやフェラーリ、独御三家(ジャーマンスリー)と真っ向勝負するハイパフォーマンスブランド」としての地位を築きにかかっています。※今回の「GT」というネーミングはポルシェを意識したものであるとも考えられ、しかしそれは”こちらのほうが本物のGTである”という、ある意味で自信のあらわれなのかもしれない
実際のところその車体デザイン、オプション構成、ネーミングなどは欧州勢を強く意識しつつも自社の製品を連想させるという仕掛けを持っており、「家電製品でシャオミに馴染みがある」層へとアピールし、それら客層を将来的に「シャオミのEVを購入するよう」誘導しているのだとも考えられ、これは家電で構築した「エコシステム」の拡大活用ともいえるもの(他社の模倣ではなく、参考にしつつも自社の強みを最大限に盛り込んでいる)。
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The new-gen #XiaomiSU7 looks familiar at first glance, but the new details make a big difference. Which upgrade do you like most?#XiaomiEV pic.twitter.com/h1x3YEpDjF
— Xu Fei (@XuFei_Xiaomi) April 22, 2026
さらには伝統的な欧州ブランドが数十年かけて築いてきた「ニュルブルクリンクの聖地」という舞台を利用して新興EVブランドが一気にそのヒエラルキーの頂点へ駆け上がるというプロモーション手法は今後のEV市場の勢力図を大きく変える可能性を秘めており、「最短かつ最速ルートにて」シャオミが既存自動車メーカーを追い上げ、そして追い詰めていることもわかりますね。
5月21日の正式発表でベールを脱ぐ「純血GT」の全貌に注目
中国国内の82都市・268箇所のショールームには、すでに情熱的な「クリムゾン・レッド(Crimson Red)」や「ボルカニック・アッシュ・グレー(Volcanic Ash Grey)」に身を包んだYU7 GTの展示車が到着しているといい、市場の期待感は最高潮に達しているというのが現在地。
ニュル最速SUVという、これ以上ない強力な肩書きを手に入れたシャオミ YU7 GTではありますが、5月21日19:00(中国時間)の正式ローンチイベントでは、未公開となっている0-100km/h加速タイムや、より詳細な価格、そしてインテリアの全貌が明かされる予定だとされ、欧州の老舗スポーツカーメーカーをも震え上がらせるこのデジタル・モンスターが日本の道を走る日が来るのかどうか、今後のグローバル展開からも目が離せないといった状況です。
なお、さらに気になるのがポルシェの展開で、ポルシェは「ニュル最速EV」の座をシャオミから奪還するため、タイカン ターボGTに「マンタイキット」を投入しているものの、ポルシェのこれまでの行動を鑑みるに、カイエン用としても「マンタイキット」を開発してシャオミ YU7 GTへと対抗するんじゃないかとも考えています。
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参照:Xiaomi(Weibo)











