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| 「5人乗りでもスポーツカー」とフェラーリが誇る理由とは |
ルーチェは「思想的にはフェラーリ」であり、しかしメカニズム的には「これまでにはないフェラーリ」である
2026年に発表されたクルマの中でもっとも物議を醸しているのがフェラーリ初のEVである「ルーチェ(Luce)」。
V12やV8といった官能的なエキゾーストノートを轟かせてきたマラネッロの名門がEVへ舵を切ったこと、そしてブランド史上初となる「5人乗り(5シーター)」を採用したことに対し、SNS等では「フェラーリらしさが損なわれた」「跳ね馬バッジにふさわしくない」といった批判的な声が上がっているというわけですね。
しかし、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの会場でメディアの取材に応じたフェラーリの幹部は、「あらゆる観点から見ても、ルーチェは紛れもない本物のフェラーリだ」と真っ向からこれに反論。
なぜフェラーリはルーチェが“真のスポーツカー”であると断言できるのか、その理由と秘められた技術に迫ります。
【この記事の要約】
- フェラーリ初となるEV「ルーチェ(Luce)」:ブランド初のEVであり、史上初の5人乗りモデルとして登場した「ルーチェ」に対し、ネット上やファンの間で「フェラーリの魂が失われた」と物議。
- フェラーリ幹部が反論:グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(Goodwood FoS)において、グローバル・マーケティング・マネージャーのピエトロ・ヴィルゴリン氏が「あらゆる観点から見ても、これは本物のフェラーリだ」と主張。
- F1&ル・マン直系のモータースポーツDNA:4輪独立モーターやアクティブサスペンションを制御し、0–193km/h(0–120mph)加速6.7秒というハイパーカーと同等の動力性能を実現。
- バッテリー交換可能で一生乗り続けられる設計:過去の生産車両の90%以上が現在も走行可能という伝統を維持し、将来新しいバッテリー技術が登場した際にはユニットの交換更新が可能。

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「ボンネットではなく巨大なウイング」レースから持ち込まれたエアロダイナミクス
フェラーリの創業者エンツォ・フェラーリは、かつてレース活動の資金を稼ぐために市販車を売っていたことで知られており、しかし時代が変わった現代でも「レースが市販車技術を育てる」という同社の理念に揺らぎはありません。
フェラーリのグローバル・マーケティング・マネージャーであるピエトロ・ヴィルゴリン(Pietro Virgolin)氏は、次のように語っています。
「どの角度から見ても、これは紛れもない本物のフェラーリです。エレクトリックモーターの開発はモータースポーツ部門の知見から生まれており、空力性能に関しても同様です。ボディ同色のフロント部分は単なるボンネットではなく、ひとつの巨大なウイングなのです。」
実際のところ、ルーチェのフロントにあるボディカラー部分は「(いわゆる)ボディ」ではなく「エアロパーツ」ということが明かされていて・・・。

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実際のボディはこう。

そしてフェラーリはこの「車体のコア部分」に被せられたボディ同色エリアを、黒いボディ本体が身にまとう「スーツ」と表現しています。
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さらに4輪それぞれに配置された独立エレクトリックモーターとアクティブサスペンションの組み合わせについて、ヴィルゴリン氏は「エンジニアにとっての夢」とまで述べていて、つまりエンジンフード下に高回転型V12が鎮座していなくとも、F1やル・マン24時間レースのハイブリッド技術で培われたモータースポーツのDNAはエアロダイナミクス、そして各モーターのトルクベクタリング制御や足回りのロジックにしっかりと受け継がれている、というわけですね。
「友人とともに楽しめる」ハイパーカー級の5シーターベルリネッタ
ルーチェにおけるもうひとつの議論の的が、フェラーリ史上初となる「5人乗り」のキャビンレイアウト。
実用性を高めたことで「これまでのスポーツカーよりも扱いやすい乗用車寄りになったのではないか」という問いに対し、ヴィルゴリン氏はきっぱりとこれを否定。
「フェラーリが作る車は、すべてスポーツカーです。ただ、この車は『友人たちと一緒に楽しむこともできる』スポーツカーなのです。数値を見れば、それがお分かりいただけるでしょう。」
たしかにフェラーリの公式サイトでは、ルーチェが「スポーツカー」に分類されているということがわかり、フェラーリがけして「ファミリーカー」を作ろうとしたわけではないことがわかります。
なお、現時点ではフィオラノ・サーキットのラップタイムは「非公開」ではりますが、正直このラップタイムについても気になるところでもあり、タイム次第では「批判を一気に覆すことができる」かもしれませんね。
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フェラーリ・ルーチェ(Ferrari Luce)主要スペック
| 項目 | スペック・仕様 |
| パワートレイン | 4輪独立アイソレーテッド・電動モーター(Quad-Motor AWD) |
| 最高出力 | 1,035 hp(ブーストモード時 1,050 PS相当) |
| 0–100 km/h 加速 | 2.5 秒 |
| 0–193 km/h(0–120 mph)加速 | 6.7 秒 |
| 最高速度 | 310 km/h |
| 駆動用バッテリー容量 | 122 kWh(800Vアーキテクチャ) |
| 乗車定員 | 5 名 |
| 航続距離 | 500 km 以上(WLTP) |
0–120mph(約193km/h)加速6.7秒という数値はまさに現代のハイパーカーに匹敵するパフォーマンスでもあり、ショートホイールベース化と極限まで下げられた低重心地(Purosangue比で95mm低い)により、5人乗りでありながら、従来の伝統的なフェラーリ・ベルリネッタ(2ドアクーペ)と同等の運動性能を発揮する、とされています。
なお、この「ショートホイールベース」というのも注目すべき点であり、ルーチェの全長は5,026ミリ、それに対してホイールベースは2,961ミリ。
この2,961ミリというのはこれまでのフェラーリ製2ドアクーペに対してはかなり長いものの、プロサングエの3,018ミリ(全長は4,973ミリ)よりも短く、ほか多くの「5メートル超え」のEVに比較すれば「けっこう短い」部類です。
一般にEVは「フロントにエンジンを積まない」という構成上、フロントタイヤを前に出してレッグスペースや室内長を稼ぐことができ、よって電気自動車専用の設計を持つクルマのホイールベースは非常に長くなることが多いのですが、ルーチェは「EVとして設計された」独自プラットフォームを持つにもかかわらずホイールベースが長くはなく、ここを見ても「フェラーリが広い室内を持つ快適なEV」というよりも「機敏に走る、フェラーリらしいEV」を優先して作ろうとしたことがわかろうというものですね。

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「一生乗り続けられるEV」を目指すバッテリー換装設計
フェラーリの大きな誇りのひとつが、これまでに製造された全車両の90%以上が現在も走行可能な状態(オン・ザ・ロード)で維持されているということ。
EV化に伴い懸念されるバッテリーの経年劣化や技術的陳腐化に対しても、フェラーリは独自の解決策を用意しており、将来的に新しいバッテリー技術が開発・実用化された際、ルーチェのオーナーは既存の古いバッテリーを最新の高性能ユニットへと「交換・アップデート」できるよう設計されているといい、ここはバッテリーやエレクトリックモーター、インバーターなどを自社で設計・製造する「フェラーリならでは」。※それらエレクトリックコンポーネントをサプライヤーからの供給に頼ってしまうとこうはゆかない
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「すべてのフェラーリがそうであるように、このクルマも永久に走り続けられるべきなのです」とヴィルゴリン氏が語る通り、使い捨ての家電的EVではなく、何十年も受け継がれる「資産としてのフェラーリ」という思想が貫かれているというわけですね。
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しかし、一部の電動スポーツカーで見られるような「疑似ギアチェンジ(擬似MT風の変速制御)」や「偽のエンジンV8サウンド」の演出について、フェラーリはあえて不採用とし、フェラーリが追求したのは、ガソリン車の真似事(疑似体験)ではなく、エレクトリックモーターだからこそ可能になる圧倒的なレスポンスやダイナミクス、そしてステアリングを通して伝わる繊細なフィーリングです。
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こういった様々な例を見る限り、ルーチェはやはり「まぎれもないフェラーリの思想の則って作られた」スポーツカーであり、しかしルーチェで用いられた手法が「電動パワートーレン」「5人乗り」「ジョナサン・アイブによるデザイン」という、これまでのフェラーリとは全く異なったものであり、さらにフェラーリが提示した手法が「斬新すぎた」たために批判を招いただけのかもしれません。
結論
「V12エンジンやV8エンジンのサウンドがないフェラーリなど、本物ではない」という往年のファンの声に対し、フェラーリは「レーシングテクノロジーの踏襲」「ハイパーカー級の圧倒的パフォーマンス」、そして「永年乗り続けられる持続性」という回答を提示しており、「ルーチェ(イタリア語で“光”)」と名付けられたこのマシンは、単にパワートレインを電気に変えただけのSUVやセダンではなく、電動化時代においても跳ね馬のバッジを冠するにふさわしい、まったく新しい形をもって未来を照らす「真のスポーツカー」として新しい時代を切り拓こうとしています。
1,000馬力オーバーの4輪独立制御モーター、1mm単位で調整されたエアロダイナミクス、そして友人や家族とともに異次元の加速を共有できる5人乗りのキャビン。
ネット上では賛否両論が巻き起こったルーチェではありますが、フェラーリ側によれば初年度の生産分はすでに完売しているとのことで、スペックやマーケティングの言葉だけでなく、実際に納車を受けたオーナーがステアリングホイールをを握った時に「紛れもないフェラーリだ」とドライバーに感じさせられるかどうかが、この革新的な5シーターEVの真の評価を決定づけることになりそうですね。
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参照:CARBUZZ











