
| ボクとしては強硬姿勢ではなく「みんな仲良く」してほしいものではあるが |
トランプ大統領の「最終的には譲歩」はいつもどおりの流れでもある
米中間の貿易・産業政策をめぐる緊張が続くなか、自動車業界の将来を左右する重要な発言が飛び出しており、ドナルド・トランプ大統領が条件付きで「中国自動車メーカーによる米国内での工場建設」を容認する意向を示したと報じられています。
習近平国家主席の訪米を間近に控えたタイミングでのこの発言は、単なる政治的コメントにとどまらず、今後の米中自動車政策の新たなルール作りを示唆するものとして業界内に大きな波紋を広げていて、ここでトランプ大統領の発言の真意、そして自動車メーカーや市場に与える影響について考えてみましょう。
この記事の要約
- トランプ氏がフォックス・ニュースの番組にて「米国人の雇用創出を条件に、中国自動車メーカーが米国内に工場を建設することを容認する」旨を発言
- 一方で、中国本土からの完成車輸入やメキシコ経由での輸出規制は維持し、米国内市場の保護を改めて強調
- ショーン・ダフィ運輸長官がフォードと中国企業(CATLやBYDなど)との提携に懸念を示す中、習近平国家主席の訪米を目前に控えて発言の意図に注目が集まる

トランプ氏による「中国車米国内生産」容認発言の概要
トランプ大統領はFox Newsのニュース番組「The Ingraham Angle」に出演した際、司会のローラ・イングラハム氏に対し「中国がここ(米国)に工場を開設してクルマを製造したいというのであれば、私はそれを歓迎する」と語っており、ただし、その条件として「米国人労働者の雇用」を強く提示しています。※トランプ大統領は中国メーカーの製品をアメリカで販売すること自体を阻止しようとしているわけではなく、中国含む他の国のメーカーの製品であっても「メイド・イン USA」であればOKというスタンスを崩していない
トランプ氏は数十年前の日本の自動車メーカーの進出例を引き合いに出し、「かつて日本企業が米国内に工場を建て、米国人を雇ったのと同じ構図だ」と言及し、「最も重要なのは米国人が仕事を得ることであり、ボンネットのエンブレムがどこ発祥であるかではない」と主張したといいますが、これは「もっとも」なことだと思います。
特徴・スペック・デザイン(政策と規制の境界線)
今回トランプ大統領が示した方針は一見すると”対中軟化姿勢”に見えますが、実際には明確な「境界線」が引かれています。
| 区分 | トランプ氏の方針・扱い | 影響と背景 |
| 米国現地生産(中国ブランド) | 条件付きで容認 | 米国人労働者の雇用創出が絶対条件。過去の日本車の米国進出モデルを踏襲。 |
| 中国からの完成車輸入 | 厳しくブロック(禁止維持) | 米国市場が中国製低価格車で埋め尽くされるのを防ぐための防壁を維持。 |
| メキシコ経由の輸入 | 厳しくブロック(禁止維持) | USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の抜け穴を利用した迂回ルートを遮断。 |
| 米メーカーと中国企業の技術提携 | 厳しい監視・制限の対象 | フォードとCATLのバッテリーライセンス契約などを国家安全保障上のリスクとみなす。 |
このように、「米国内での雇用を生む現地生産」と「完成車の輸入」を明確に区別する姿勢を崩しておらず、これによって「雇用の創出」、そして「現地自動車メーカーの競争力」を担保しようとしているわけですね(中国の自動車メーカーは「中国からパーツを輸入すると」関税によってコスト高となり、よってパーツも米国内から調達することとなるはずで、米国としてはそうとうな利益を生むこととなりそうだ)。

競合比較・市場での位置付け
この発言が出された背景には、米国の現政権がフォード(Ford)と中国企業との提携関係に対して強める厳しい圧力があり、ショーン・ダフィ(Sean Duffy)運輸長官は、フォードのジム・ファーレイCEO宛ての書簡の中で、同社と中国企業との結びつきを「深刻な懸念事項」と指摘することに。
具体的には以下の点が挙げられています。
- ミシガン州マーシャル工場におけるCATL製バッテリー技術のライセンス利用
- スペインにおける吉利汽車(Geely)とのジョイントベンチャー
- BYDとのハイブリッドコンポーネントに関する協議
- リンカーン・ノーティラスの中国工場生産継続(2030年まで)
フォード側は「CATLとの契約はライセンス供与であり、中国資本による(向上の)所有ではない」と反論していますが、現在でも批判は収まっておらず、米大手(フォード、GM、ステランティス)にとっては安い(中国で生産された)中国車がそのまま輸入される恐怖は免れるものの、自国の土俵で「米国人労働者を雇う中国バッテリーの製造工場」という新たなライバルと競合させられるリスクを生む可能性が出ているわけですね。

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なお、現在のところ各自動車メーカーは「中国車に対抗するのは不可能」と判断し、中国の自動車メーカーと「手を組む」傾向にありますが、場合によってはこれが「自国産業にとって(様々な、ときには予想外の)ネガティブな効果」を与える可能性があり、よって各国上層部がこれを警戒することにも納得がゆきますね。
補足情報
今回のトランプ氏の発言は、習近平国家主席のワシントン訪問を直前に控えた非常にセンシティブなタイミングでなされたもので、米中の貿易交渉担当者にとって、この自動車政策および技術移転の問題が大きな議題になることは間違いありません。
自動車業界の専門家からは、今回の発言によって争点が「どこで製造されたか(中国かどうか)」から「誰が工場や技術を所有しているか(中国資本の工場であったり、中国人労働者が出稼ぎに来ていないか)」へとシフトしたという見方が出ていて、今後、自動車メーカーは政治的なリスクを避けるため、提携関係やジョイントベンチャーのあり方を再検討せざるを得なくなるのかもしれません。
実際のところ法律家や労働組合、ディーラー関係者もバッテリー工場のライセンス契約や投資が「自国への投資」として認められるのか、あるいは「外資の支配」とみなされるのか、明確なルールの提示を求めているのが実情で、「一歩間違えば」すべての努力が水の泡となってしまう可能性もあり、それを事前に避けたいと考えているのだと思われます。

結論
トランプ氏の「米国人を雇うなら中国メーカーの米国内工場を認める」という発言は、完成車輸入の阻止という従来の保護主義を維持しつつも、雇用創出という実利を取るアプローチを示したもの。
習近平国家主席の訪米やフォードなど既存米系メーカーへの規制の動きと相まって、米中の自動車産業をめぐるルールは新たなフェーズに突入しつつあるのが現在の状況で、今後、現地生産の具体化やライセンス契約の扱いがどのように規定されていくのかに世界中の自動車業界が注視しており、成り行き次第では米国と中国との自動車産業における「流れ」が変わるのかもしれません。
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