
| ここ最近、各自動車メーカーが「英字ロゴ」をリアの車体中央へと配置する傾向が顕著に |
さらにはモデル名も「センタリング」されるケースが増えている
長年にわたり自動車のアイデンティティを証明する主役はフロントやリアに輝くクロームメッキのエンブレムであったことに異論はないかと思います。
ライオン、フラッグ、ウイング、あるいはオーバルといった象徴的なマークさえあれば、一目でどのブランドかを見分けることができたというわけですね。
しかし今、多くの自動車メーカーが伝統的なアイコンの表示を控えめにとどめ、車体にアルファベットで大きくブランド名を記すデザインへと舵を切っていて、単なるグラフィック上の変更にとどまらない、この最新のデザイン構造と背景について考えてみたいと思います。
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この記事の要約
- 従来の中央マーク(エンブレム)から、車体幅いっぱいに英字を配置する「レタリング(文字表記)」へ切り替えるブランドが増加
- 単なるブランド識別を超えて、テールランプやLEDライトバーと一体化し、リアデザインの視覚的バランスを整える構成要素として機能
- 文字の間隔やフォントデザイン(タイポグラフィ)自体が、ヘッドライトやホイールと同様の重要な意匠要素として設計されている

エンブレムから「言葉」へと変化する自動車デザインの概要
このトレンドを象徴する好例は「マツダ」そして「レクサス」。
両者とも最新モデルでは「MAZDA」「LEXUS」という洗練されたフォントを「幅広の文字間隔で」リアに配置していますが、レクサスはこれまでリア中央にこんな感じでレクサスの「楕円+L」エンブレムを配置しており・・・。

しかし最新世代では「LEXUS」へ(おそらくは従来型NXから)。

マツダはこれまで中央に「カモメマーク」を配置していたものの・・・

最新のCX-5では中央に「MAZDA」。※ワールドワイドでは中国のEZシリーズが最初に導入したのだと思われる

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これは単にロゴを置き換えただけではなく、車体上で文字が占める面積が広がることでボディラインやライト類の水平方向の広がりと調和し、車体全体の視覚的な立体感やバランスを整えるグラフィック要素として機能しているわけですが、近年の光源がLEDへと移行し、ここで「薄型の」ランプデザインが可能となったことと無縁ではないかもしれません。
事実、ポルシェは「LEDライトバー」の導入とほぼ時を同じくして(これまで911にはなかった)「PORSCHE」文字を911シリーズのライトバーへと組み込んでいます。※以降、このPORSCHE文字はエレクトリックモデルを中心に、ポルシェの重要なデザイン要素となっている

特徴・スペック・デザイン
車体表記における文字(タイポグラフィ)の採用は、過去にもボルボなどがリアパネル全体を使ってブランド名を配置してきた歴史があり(やはりボルボはデザイン面において非常に先進的であったということに)、しかし現代のアプローチでは文字を単に貼り付けるのではなく「車体構造の一部」として融合させている点が異なっていて、文字表記が持つデザイン上の主な特徴は以下の通りだと考えられています。
| 項目 | デザイン上の役割と特徴 |
| 水平方向の強調 | 文字が横方向に広がることで、リアデザインの幅広感・安定感を強調する |
| ライティングとの融合 | リアのLEDライトバーやテールランプユニットと一体化させ、夜間の視認性を向上 |
| ブランドの一貫性 | 国や地域を問わず、一目でブランド名と意匠を正しく認識させることができる |
| 造形の一体化 | プレスラインやライトのグラフィックとフォントの角・角度を同調させて配置 |
たとえばコルベットはC8世代で「CORVETTE」文字を大型化させており(それまでの世代にもCORVETTE文字は存在した)、これは明らかに「文字をデザインの要素として」捉えている証左だともいえるもの。

トヨタは一部モデル(とくにヘビーデューティー系)において楕円エンブレムではなく「TOYOTA」文字を採用していますね(これもやはり、文字が車両デザインの一部となっている例である)。

このほか、ブガッティなどはリアのライトバー内に文字を組み込んで文字自体を発光させる演出を取り入れるなど、ブランドごとに意匠を凝らしているのが現状で、光源の進化、そして他ブランドとの差別化という理由がこのトレンドに大きく関係しているのかもしれません。
この流れに追随しないブランドも
一方、このトレンドに迎合しないブランドも存在しその筆頭はメルセデス・ベンツ。
最新モデルにおいてもリア中央には「スリーポインテッドスター」が燦然と(LEDライトバーとは分離して)輝き・・・。

さらにはテールランプの内部構造でもスリーポインテッドスターを強調するところを見るに、同社は「文字よりも図形(スリーポインテッドスター)にてブランドをアピールするという意図なのかもしれません。※いま見るとかなりレトロにも感じる。逆に「伝統と重厚感」を演出するのには最適か

そしてBMWも同様にプロペラマークを維持しています。

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アウディもやはりフォーリングスを用いているものの、中国専用ブランド「AUDI」ではもちろん「AUDI」文字を使用していますね。

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各社によるアプローチの違い
こういった例を見るに「各社各様」ではあるものの、「エンブレム」「レタリング」では以下のような差異があると考えることも可能です。
- 伝統的なエンブレム: 車体中央のワンポイントとして機能するが、横方向へのデザイン的広がりをつくりにくい
- レタリング(文字表記): テールランプやLEDライトバーなどの横長パーツと相互作用し、リア全体のビジュアルリズムを作り出しやすい
特にアジアンブランドをはじめとする新しい自動車メーカーが世界市場へ台頭するなか、単なる記号よりもダイレクトにブランド名を訴求しつつ、先進的なスタイルを演出できる”レタリング手法”が市場で急速に支持を広げていることは間違いなく、そして何より「なにかが変わった」ということをアピールするのには格好の手段ではないか、とも考えています。
参考までにマセラティは以前から「エンブレムではなくレター」を使用しており、「時代に先駆けていた」と考えることも可能です(ただしフォントはクラシカル)。

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参考までに、アルファロメオも「(トナーレまで使用されていた)伝統のセンターエンブレム」がジュニアでは廃止され、ジュニアでは「Alfaromeo」という文字が記されていますが、こちらは従来のフォントを使用したもので、かつマセラティ同様にテールランプと統合されたものではなく、しかしこれらについても「これ以降のモデル」ではなんらかのデザイン的変化があるのかも。

なお日産は「車種によって」デザインを使い分けているのか、同じ最新モデルでも「キックス」ではこれまでの日産エンブレムが存在し・・・

しかしエルグランドでは「NISSAN」レターのみ。

ホンダもこれまでの「H」マークから・・・

単独の「Honda」へ。
プレリュードの場合、テールランプとマッチしたデザインとなっているものの、Super ONEではテールランプが左右連結されておらず、よってテールランプの間に「Honda」ロゴが配置されています(この場合、従来のHマークのほうが似合うようにも思われ、日産のように車種で使い分けたほうがいいのかもしれない)。
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アストンマーティンは「エンブレムとレター」を併用するという非常にレアなケースだったのですが・・・。

ヴァンキッシュ、そしてヴァレンでは単独の「ASTONMARTIN」へ。※文字が大型化している

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補足情報
自動車のマーケティングにおいて、「これまでの」文字やグラフィックはパンフレットやWebサイトにて使用されるたぐいのもので、しかし現代ではフォントそのものがヘッドライトやホイールと同様、ミリ単位で専用設計される「カーデザインの一部」へと進化しているのだとも考えられます。
シンボルマークとしてのエンブレムが姿を消すわけではありませんが、引き締まったシンプルなボディ表面とテールランプとの相性の良い文字表記は、これからの電気自動車(EV)や次世代モビリティのデザインを定義する重要な要素となってくるのかもしれません。

「新トレンド」センタリング
そして「これから」のトレンドとなりそうなのが「センタリング」。
たとえばフォルクスワーゲンだと、これまでリアハッチの「端」にあった車名を中央に配置するようになっており、これは同社の最新モデルだと「基本的にすべて」適用される新しい法則です。

そしてBMWでも「センタリング」の例が見られ、M3を示唆する「Mコンセプト ノイエクラッセ」ではリアの「M」文字が大きくなってセンターへ。
フォルクスワーゲン、BMWともに従来のエンブレムを使用してはいるものの(BMWはそのデザインがリニューアル)、やはりリアの「文字」については気にかけていることがわかりますね(ホンダ プレリュードもモデル名がセンタリングされている)。

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ちなみに新生アルピナもやはり「センタリング」。

結論
車体にブランド名を刻むというデザイン手法は単なるマーケティング施策ではなく、車両全体の造形を美しく見せるための緻密なプロダクトデザインの一環ということがわかるのが直近のトレンド。
街を行き交うクルマのリアデザインに注目してみると、文字の並びやライティングとの組み合わせから、各メーカーの先進的なデザイン思想を感じ取ることができるようにも思われ、注意を凝らして見てみるのもいいかもしれませんね。
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参照:Motor1











