
| この20年、SUVは自動車メーカーのドル箱であり、そのため「過密市場」に |
よって各社が「最も注力し、もっとも差別化を図る」セグメントに
かつて「SUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)」の「スポーツ」とは、アウトドアアクティビティやレジャーに対応する多目的性を指す言葉でしたが、しかし、ここ20年の間に自動車メーカーはその意味合いを大きく変化させています。
現代のパフォーマンス系SUVや上質なロード性能を備えたモデルはスポーツセダンや純粋なスポーツカーのメカニズムやノウハウを貪欲に取り入れていて、外観は家族や荷物を載せる実用的なファミリーカーでありながら、その骨格には本物のモータースポーツDNAが息づいているSUVさえも。
今回は、一見すると扱いやすい日常使いのSUVでありながら、エンジニアリングの秘密によって驚くほどの走行パフォーマンスを発揮する7モデルをピックアップしてみます。※ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニ、アストンマーティンはもともとスポーツカーメーカーであり、そのSUVも元来スポーツ志向なのでここでは除外

この記事の要約
- 実用性や快適性を備えた日常使い向けSUVの中には、本格的なスポーツカーやスポーツセダン直系の技術が投入されたモデルが存在する
- アルミ製プラットフォームやダブルウィッシュボーン式サスペンション、後輪駆動(RWD)ベースのレイアウトなど、本格的な足回りが走りの質を高めている
- EVモデルでも補強や制御技術を駆使し、ガソリン車以上のドライビングプレジャーを実現する先進事例が登場している
普段使いSUVの皮をかぶった「走りの本気組」たち:スポーツカー直系のメカニズムを秘めた注目SUV 7選
1. アルファロメオ・ステルヴィオ(Alfa Romeo Stelvio)
スポーツセダン「ジュリア」と同じ後輪駆動プラットフォーム「Giorgio(ジョルジョ)」を採用したコンパクトラグジュアリーSUV。
前後重量配分は理想的な約50:50を実現し、フロントには一般的なマクファーソンストラット式ではなくダブルウィッシュボーン式サスペンションを装着し、非常にクイックなステアリングレスポンスと相まって背の高いSUVであることを忘れさせる”ホットハッチのような”俊敏なハンドリングを提供します。
実際にニュルブルクリンク「最速SUV」の座に輝いたことでも知られていますね。

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2. アウディ Q7(Audi Q7)
ファミリー層に根強い人気を誇る3列シートSUVですが、その基本骨格には「MLB Evo」プラットフォームが採用されていて、この骨格はポルシェ・カイエンやランボルギーニ・ウルスといったハイパフォーマンスモデルと共有されているのが最大の特徴です。
軽量素材の多用やリア寄りのトルク配分を行う四輪駆動システム、適応型エアサスペンション、四輪操舵(リアホイールステアリング)など、運動性能を向上させる技術が凝縮されており、これらを「ポルシェやランボルギーニよりもずっと手頃な価格で」手に入れることができるのはある意味で奇跡かも。

3. ヒョンデ・アイオニック 5(Hyundai Ioniq 5)
電気自動車(EV)ならではの低重心と理想的な重量配分を活かしたクロスオーバー。
特にハイパフォーマンスモデルの「Ioniq 5 N」では、ボディの溶接ポイントを42箇所追加し構造用接着剤を増量することで剛性を約11%向上させており、大型のアダプティブダンパーや擬似ギアシフト制御、サウンドジェネレーターを組み合わせることでEVの枠を超えたドライビングプレジャーを実現しています。

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4. ジャガー Fペイス(Jaguar F-Pace)
ジャガー初のSUVとして登場したFペイスは、スポーツセダンXEやXFと共有する軽量アルミニウムプラットフォームをベースに開発されており、サスペンション形式にはスポーツカー「Fタイプ」のノウハウが惜しみなく投入され、フロントのダブルウィッシュボーンとリアのインテグラルリンクが横剛性と縦方向の柔軟性を高度に両立することに。
トップモデルの「SVR」に搭載されるV8スーパーチャージドエンジンとともに、クラス屈指の運動性能を誇ります。
印象的には、下のレヴァンテと同じく「スポーツカー」として設計され、しかし実用性を考慮して「5ドアハッチバックボディが与えられた」というクルマですね。

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5. マセラティ レヴァンテ(Maserati Levante)
フェラーリが製造を手掛けたエンジンを搭載するマセラティ初のSUVで、後輪駆動ベースのAWDシステムやダイレクト感あふれるステアリング特性を備え、単に強力なパワートレインを載せるだけでなく、シャーシやパワートレイン全体のチューニングによってドライバーと車の一体感を重視した設計が施されています。
そしてこれも「背が高いスポーツカー」ともいうべき存在であり、設計時のプライオリティが「運動性能」にあることが明確なクルマです。

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6. マツダ CX-60(Mazda CX-60)
マツダの新世代「ラージ商品群」プラットフォームを採用するファミリー向け大型SUVでありながら縦置き直列6気筒エンジンと後輪駆動ベースのAWDシステムを組み合わせ、フロントにはダブルウィッシュボーン式サスペンションを搭載するという「異色のSUV」。
マツダの掲げる「人馬一体」の哲学が凝縮されており、ドライバー志向の足回りとスムーズな加速感が魅力となっており、「直4横置き」ラインアップとは完全に異なるクルマです。

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7. MINI カントリーマン(MINI Countryman)
MINIラインアップの中で最も大柄なSUVではありますが、ゴーカートフィーリングで知られるガソリン版クーパーやBMWのコンパクトモデルとプラットフォームを共有する1台(ドイツで製造される最初のミニでもある)。
可変トルク配分を持つAWDシステムやクイックなステアリング比、アダプティブダンパーが組み合わされ、最上級の「John Cooper Works(JCW)」モデルでは最高出力312馬力を発揮。軽快でスポーティな走りを維持しています。

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スペック・走りのメカニズム比較
今回紹介した主要モデルの構造的特徴を一覧表にまとめてみると以下の通り。
| 車種名 | プラットフォーム / 駆動方式 | フロントサスペンション | 主な走りのテクノロジー |
| アルファロメオ・ステルヴィオ | Giorgio(RWDベース) | ダブルウィッシュボーン | 約50:50重量配分、超クイックステアリング |
| アウディ Q7 | MLB Evo(4WD) | マルチリンク | エアサスペンション、四輪操舵、軽量アルミ構造 |
| マツダ CX-60 | ラージプラットフォーム(RWDベース) | ダブルウィッシュボーン | 縦置き直列6気筒エンジン、後輪寄りAWD |
| ヒョンデ Ioniq 5 N | E-GMP(EV専用 4WD) | マクファーソンストラット(強化型) | ボディ剛性11%向上、擬似シフト制御 |
| ジャガー Fペイス | iQ[Al](RWDベース) | ダブルウィッシュボーン | Fタイプ譲りの足回り、スーパーチャージドV8 |
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高級スポーツカーメーカーとプラットフォームを共有する強み
スポーツSUVの運動性能が飛躍的に向上した背景には、自動車グループ内におけるプラットフォーム共有化技術の進化があり、例えば、アウディQ7が採用する「MLB Evo」プラットフォームは(上述の通り)高級SUVであるポルシェ・カイエンやスーパーSUVとして知られるランボルギーニ・ウルスにも利用されています。
基本骨格の段階で高い剛性と優れたサスペンション幾何学(ジオメトリ)が設計されているため、ベースモデルであっても素性の良いハンドリング性能を享受できるというわけですね。

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一方、マツダのCX-60のように、量産ブランドでありながら後輪駆動ベースの縦置きパワーユニットとダブルウィッシュボーンサスペンションを選択するアプローチは「プレミアムセダンやスポーツカーと同じ思想」ともいえるもの。
いずれにせよ、近代のSUVはプラットフォーム技術の共有によって高いポテンシャルを持つにいたり、高度に発達した車体制御技術のおかげで「車高の高さを感じさせない」挙動を実現しており、実際のところ「スポーツカー顔負け」の運動性能を持つSUVも。
そして近い将来、もはや重さや重心といった「物理の法則」を完全に無効化してしまう技術が誕生するかもしれず、そうなるともはや「SUVだからどうのこうの」という議論すら無意味となってしまいそうですね。
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補足情報・SUV選びの新しい気付き
普段使いの利便性を重視してSUVを選ぶ際、シートの広さやラゲッジスペース容量だけでなく、「どのようなプラットフォームで作られているか」に着目してみると新しい発見があるのかも。
とくにマツダの「FFベース(CX-5)」と「FRベース(CX-60)」との間には想像以上の大きな差異があり、両者の試乗はぼくにとっても「新しい」発見の連続であったことを思い出します。

- サスペンション形式のチェック: フロントが「ダブルウィッシュボーン式」や「マルチリンク式」の場合、コーナリング時のタイヤ接地性が高く、ロールを抑えたスムーズな旋回が可能に
- 駆動方式のベース: FF(前輪駆動)ベースのAWDか、RWD(後輪駆動)ベースのAWDかによって、アクセルを踏み込んだ際の頭の入りやすさや加速時のトラクション感が大きく異なる
- EVモデルの進化: 重いバッテリーを搭載するEVではあるが、「Ioniq 5 N」のように補強材や専用の制御を入れることで従来のガソリンスポーツカー以上のコントロール性能を持たせることが可能になっている
日常の買い物や家族でのドライブに対応しながらも、山道や高速道路ではドライバーに走りの歓びを与えてくれるという点がこれらスポーツDNAを持つSUVの最大の魅力でもあり、ぼくらのカーライフを豊かにしてくれるクルマたちということになりそうですね。

結論
SUVはもはや「人とモノがいっぱい載る、背の高い実用車」ではなく、各メーカーのエンジニアたちはスポーツセダンやスポーツカーで培ったシャーシ技術、サスペンション構造、パワートレインを緻密に組み込むことにより日常の使いやすさと本格的な走行性能を兼ね備えた魅力的なモデルを作り出しています(SUV市場が過密になり、それぞれの個性をより明確かつ強力に打ち出す必要が生じたからだと思われる)。
実用性をあきらめずに走りの楽しさも追求したいと考える場合、こうした「走りの遺伝子」が隠されたSUVに注目してみても面白く、とくにマセラティ・レヴァンテやジャガー Fペイスは中古市場だと「かなり割安な」選択肢が存在し、非常に魅力的なクルマたちであるとも考えています。

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参照:CARBUZZ, Audi











