ちょっと気になっていたジープ・レネゲードに試乗。
ぼくの住む地域は冬期に雪が降ることもあり、とりあえず「4WD」はいつも購入対象となるわけですね。
現在4WDとして購入対象となっているのはジャガーFペース、ポルシェ・マカン、トヨタC-HRですが、新型ミニ・クロスオーバー、フィアット500X、レネゲードもちょっと気になる車です。
レネゲードはフィアット500Xの兄弟車(フィアットとクライスラーは現在同じグループ)で、そのためにジープの他の車種のようにヘビーデューティーな4WDではありませんが、そのぶんコンパクトで軽量。
全長4255、全幅1805、全高1695ミリ、重量は1400キロという、非常に手頃なサイズですね。
駆動方式はFFと4WDがあり、今回試乗したのは4WDの「トレイルホーク」。
エンジンは175馬力の自然吸気、トランスミッションはなんと9速。
外観についてはレトロフューチャーというかポップな感じで、ボディカラーもオレンジやイエロー、レッドという明るい色がラインナップされ、滑らかなボディライン、特徴的な「X(ジェリ缶の凹みをイメージ)」文字があしらわれるテールランプが特徴的。
ただしフロントはおなじみのジープといった感じで、伝統を活かしながらも新しい客層を取り込もうという試みが理解できますね。
ドアを開けて乗り込みますが、シートの位置が低く乗降性が良好。
室内も近代的になっており、電気式パーキングブレーキやメーターパネルの中には7インチ液晶ディスプレイ、各部のカラートリムなどずいぶん華やかな印象も。
メーターのレッドゾーンはスプラッシュ(ペイントが飛び散ったような)調グラフィックとなり、フロントウインドウの右下にはジープ・ウィリスのシルエットがプリントされるなど、随所に楽しくなるような仕掛けがありますね。
各種スイッチの質感やタッチも良好で、まさに「新世代ジープ」という感じ。
キーは非接触式となっており、本来キーシリンダーの位置にあるスタートボタンを押してエンジンを始動すると心地よい振動とともにエンジンが目覚めますが、振動や音もかなり抑えられており、かなり快適と言えます。
とりあえず走り出しますが、ちょっと走っただけでもけっこうボディ剛性が高いのではと思わせる身のこなし。
最小回転半径は5.5mとアメ車とは思えない(生産はフィアット500Xと同じイタリアですが)小ささで、高いアイポイントと相まって狭い路地も楽に通り抜けることができます。
比較的大きなタイヤを装着していますが、ちょっと荒れた道路を走った際にも不快な突き上げがなく乗り心地は上々。”しなやか”と表現しても良いでしょうね。
シートは硬くもなく柔らかくもなく、しかしちゃんと体を支えてくれ、なかなかに優秀。
少し速度の出る道に入りますが、9速ATはけっこう良い仕事をしてくれ、馬力以上の走行性能を感じさせてくれます。
坂道でもそれは同じで、ターボエンジンのような湧き上がるトルクを感じながらも気持ち良く走り、正直言って「楽しい」と言えますね。
カーブにおいても最低地上高20センチという腰高パッケージングにもかかわらず、さほどロールすることなく機敏に曲がるのはちょっと驚き。
なおほとんどロールはなく、SUVとは思えないそうだ感覚です(サスペンションは前後マクファーソン・ストラット)。
ぼくはジープというとけっこう直接的かつ古典的な乗り味を想像していたのですが、良い意味で完全に裏切られ(ちなみに”レネゲード”とは裏切り者という意味)、思っていたよりもずっと快適に走ることができ、事前に抱いていた印象が180度(良い方向へ)変わった、と言えます。
ドアミラーは大きく視野角が広いので後方確認が容易で、スクエアなボディ、広いウインドウのおかげで見切りも上々。
車線変更においてもまず不安なく周囲を把握できます(サウドウインドウをした方向に抉ったデザインとなっており、これは視界を確保するためと思われる)。
装備面に関しても上述のように電気式パーキングブレーキ、パークアシスト、グレードによっては衝突軽減ブレーキ、車線逸脱警報、ブラインドスポットモニター、バックカメラが備わり、かなり充実している部類。
そこにジープブランドのネームバリュー。伝統的なデザイン要素が加わって最上位グレードで340万円という価格はなかなかに魅力的と考えられます。
これまでジープというと質実剛健かつヘビーデューティーな印象があり、「好きな人は好きだが、そのほかの人には別世界の乗り物と思われている」フシがあり、しかしレネゲードはそういった垣根を取っ払うに十分な突破力があるモデル。
ボディカラーも鮮やかで、この車の納車が追いつき街にあふれるようになると街の風景も変わりそうです(現在大人気のために納車待ちが発生。納期は4カ月くらい)。
ワイルドしかしポップなルックスを持ち、高い走破性を持ちながらもフツーに街中も走れる。
高い静粛性と快適性を持つ魅力的な車であり、納車待ちが発生するのも納得ですね。
気になるところはほとんどありませんが、低速で走行している時に1速→2速、2速→3速へシフトアップする時に若干の空白があること(踏み込んでの加速は問題ない。前が詰まっていてゆっくり走り出したり、交差点で右折のためにゆっくり発進するときなど)、カーナビが標準装備でないこと。
カーナビについては設置する場所がなく、どこかへ「貼り付ける」ことになりそうです。
試乗記について
ランボルギーニ、AMG、アルファロメオ、VW、ジャガー、ベントレー、ルノー、ミニ、フェラーリ、マクラーレン、テスラ、レンジローバー、スズキ、トヨタ、マツダ、スバル、ホンダ、レクサス、メルセデス・ベンツ、BMWなどこれまで試乗してきた車のインプレッション、評価はこちらにまとめています。