Newsweekによると、腕時計の「グレーマーケット」が存在感を強めている、とのこと。
グレーマーケットとは正規販売店ではない販売店がブランド腕時計を安価販売する市場のことですが(日本だと並行輸入がこれに該当)、偽物ではなくれっきとした本物を販売しているのが特徴。
グレーマーケットで製品が流通するようになると正規販売店で腕時計が売れず、ブランド価値自体も崩れるのでメーカーとしてはこれを敬遠するはずですが、腕時計市場が縮小する中で、このグレーマーケットは「必要悪」になりつつある、ということについて述べています。
記事によると中国人の爆買い需要がなくなったことで行き場を失った多くの腕時計がグレーマーケットに流入しているとしており、中にはメーカーそのものがグレーマーケットと手を組むケースも出てきている模様。
確かに数年前までは中国でよく高級腕時計が売れ、そのため日本に入ってくるタマがなかったほどで、特にパテックフィリップ、オーデマ・ピゲあたりはその傾向が強かったように思います。
パテックフィリップはかつて「東洋と中東には売らない」としていたものの、あまりに中国で売れるので中国にサービスセンターとアジアにおけるフラッグシップストアを作ってしまったほど(それと前後して中国で売れなくなったのは皮肉ですが)。
オーデマピゲも同様で、これまでは日本市場を軽視していたのですが中国で思うように売れなくなり、日本へ注力する姿勢を見せていますね。
通常、腕時計メーカーの利益は20%、販売店の利益は45%とされますが、在庫がだぶついたとしても腕時計メーカーは正規販売店が値下げしてまで製品を売ることを許さず、資金繰りに困ってグレーマーケットに正規販売店がこっそり製品を流すケースが増えてきている模様。
加えてそんな状態では正規販売店も仕入れができず、となると今度はメーカー側の在庫も余ってくるので、今度はメーカーが直接グレーマーケットに製品を流す場合もある、としています。
ただ、そうやって新製品グレーマーケットに流すと「安売り」されてしまうので、「密約」によってグレーマーケットでは新製品の割引率を抑えるようにメーカーが要請し、グレーマーケットがこれに応えるという事例もあるようですね(持ちつ持たれつ)。
なお、グレーマーケットによると「仕入れが容易なメーカー(ブランド)」とそうでないメーカーがあり、仕入れ困難なのはパテックフィリップ、オーデマピゲ、リシャール・ミル。
これらは厳密に生産数と販路を管理している、としています。
反面「安価で仕入れが容易」なのはオメガ、タグ・ホイヤー、ジャガー・ルクルト、ヴァシュロン・コンスタンタン、ブレゲ。
これにぼくの経験を加えるならばブライトリング、ルイ・ヴィトンはグレーマーケットに流出しにくく、ブルガリ、カルティエはグレーマーケットに流出しやすいようです。
もちろん「売却」を考えるとグレーマーケットに出にくい製品の方は有利で、かつ人気のあるブランドの方がより有利、ということになりますね(グレーマーケットに流通しやすいブランドは商品がだぶついている、ということになる)。
VIA:Newsweek