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フェラーリCEO「V12のターボ化は愚策」→ではなぜV8はターボ化されたのかを考える

2017/05/09

フェラーリCEO、セルジオ・マルキオンネ氏がオートカーに語ったところによると「フェラーリのV12にはターボを使用しない」とのこと。
同じくマルキオンネCEOによると「我々のエンジニアはV12エンジンのターボ化について”完全に馬鹿げていると”言っている。よってターボ化はノーだ。V12はNAでなくてはならない」とのこと。

なおほかメーカー含めV12自然吸気エンジンは今後排ガス規制のため「生き残り」が難しいと思われ、アストンマーティンはこれをターボ化で解決。
ランボルギーニはおそらく「ハイブリッド化」でこれをクリアすると推測できますが、フェラーリもやはりハイブリッド化でこれを乗りきろうとしているようですね。

現在のフェラーリ製V12エンジンでは来年施行のEU6C基準を到底クリアできるものではありませんが、マルキオンネCEOはこれについて「解決策がある」としており、2021年の「ウルトラ・ローエミッション法」についてはハイブリッドで対応する、と語っています。
加えてフェラーリは「サーキットでのパフォーマンスが第一義」としており、そのためにはターボ化はベストではない、という結論を出したようですね。

自然吸気エンジンのメリットと言えば、高回転時の「アクセルのツキ」で、そこからアクセルを踏むとガツンと瞬時に出て来るパワー。
ターボだと排気をタービンに送り、そこからまた吸気側に戻すので、どうしても「ターボラグ」が生じます。
これについては各メーカーとも「ツインスクロール」「シーケンシャルターボ」「電動ターボ」ほか、フェラーリでは「ギアごとに加給圧を変える」ことで対応。
ターボは排気が循環するので排気ガスが多少クリーンになるものの上述の「ターボラグ」が懸念となり、スーパーチャージャーは駆動軸からコンプレッサーを作動させる動力を取るので「リアルタイム」での加給が可能ですが、駆動ロスが大きいことがデメリット(加えて排気は綺麗にならない)。

そこへゆくと「ハイブリッド」はエレクトリックモーターというクリーンな動力源を用い、燃焼効率の悪い回転域ではモーターによるアシストで排ガスをクリーンにするなどの対策が取れ、かつ「瞬時に最大トルクが出る」ためにパワーアシストの「ラグ」もなく、自然吸気エンジンとの相性が非常に良い、と考えられます。

そういった意味でランボルギーニやフェラーリが「ターボ化」を避けることも合点がゆきますが、そうなると不思議なのが「なぜV8フェラーリはターボ化したのか」ということ。
マルキオンネCEOは「V12のターボ化は愚策」と言いますが、V12がダメでV8がOKな理由は何なのか、ということですね。

もちろんここには排ガス対策もあると思いますが、ぼくとしては「中国の税制に対応するために4リッター以下の排気量にしたかったんじゃないか」と推測(中国では4リッターを超えると急激に税金が高くなる)。

つまりは「背に腹を変えられず」V8をターボ化したんじゃないかと考えていますが(ターボラグ対策も施されており、”妥協の産物”ではないことは十分理解できる)、これには「本当はハイブリッド化したかったが、間に合わなかった」という事情もあるかもしれない、と思うのですね。

もしそうだとすると、V12エンジン+ハイブリッドというパワートレーンが完成する頃には、「V8フェラーリも自然吸気エンジンに戻り、ハイブリッド化」するのでは、と考えています。

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