| アメリカンマッスルで知られるフォードだが、今では女性エンジニアが多く活躍している |
もはや自動車は女性抜きでは作ることができない
さて、3月8日は「国際女性デー」だったわけですが、フォードがこれを記念してなんと「フォード・エクスプローラー・メンズ・オンリー・エディション」を発表。
「オイオイそんなことをして大丈夫か」と思ったりするものの、もちろんこれは女性を排除することが目的ではなく、むしろ女性の功績をたたえるためのキャンペーンであり、もしも女性がエクスプローラーの開発に参加していなかったら、エクスプローラーはこんなクルマになってしまうだろうということを示すための「架空の特別仕様車」です。
フォード・エクスプローラー・メンズ・オンリー・エディションとは?
そこでこのフォード・エクスプローラー・メンズ・オンリー・エディションを見てみると、これは「ワイパーもヒーターもウインカーもバックミラーもGPSカーナビゲーションシステムもついていない」という不便極まりないクルマ(というか合法ですらない)。
フォードがここで言いたかったのは、ワイパー、ヒーター、ウインカー、バックミラーやGPSカーナビゲーションシステムといった、我々が日常的に「当たり前のもの」としてその利便性を享受しているパーツや機能について、「それらは(エクスプローラーでは)女性によって開発されたものであり、そういった女性がいなければ、クルマとしては安全でも快適でもないものができがってしまうという」ということで、フォードは自動車業界における女性の貢献をたたえているわけですね。
さらにフォードは、3月中に実施するキャンペーンの一環として、フォードにおいて女性が貢献してきたこと、そして現在も貢献していることに焦点を当て、自社のウェブサイトやソーシャルメディア・チャンネルにてこれらの功績を称え、過去の重要な女性エンジニアを紹介するとともに、トレンドセット、エクステリアデザイン、ハードウェア統合など、さまざまな役割で活躍している現在の革新者たちを紹介しています。
加えて、フォードのアーカイブ(ヘリテージ・ボールド)では、女性の歴史月間を記念して、1994年型フォード・マスタング、1975年型フォード・グラナダ、1999年型フォード・ウィンドスターなど、女性によって設計・デザインされた製品を紹介しており、これまでに語られなかった側面にもスポットライトを当てています。
一方、自動車業界は女性が活躍しにくい業界だった
いまでこそフォードはこういった「女性の地位向上」に取り組む企業ではありますが、かつては必ずしもそうではなく、例えば1968年、イギリスのフォード・ダゲナム工場で車のシートを作るために雇われていた女性ミシンオペレーターが、工場の他のエリアで働く男性よりも賃金が低いことに抗議してストライキを起こしたことがあり、その様子は2010年に公開された映画「メイド・イン・ダゲナム」の題材ともなったことも。※このストライキは、1970年にイギリスの「同一賃金法」の成立に貢献することとなった
そのほか、テスラ、リビアンでもセクハラや女性の地位向上を妨げているという内容の訴訟がいくつか報じられており、まだまだ自動車業界は男性優位であることも伺えますが、今後自動車が「機械」としてよりも「デジタル機器」「ファッションアイテム」として捉えられる機会が多くなるとも考えられ、そうなると新しい領域において女性の活躍の場が拡がり、これまでの男性優位社会では作り得なかったような製品が登場することになるのかもしれませんね。
-
ランボルギーニが自動車メーカーではじめて「男女格差の解消に取り組んでいる」としてIDEM認定企業に!ホワイト企業、グリーン企業など多数の認定を得る
| ランボルギーニはイタリアを代表する「優良企業」としてその歩を進めている | やはりスーパーカーを作る上ではある種の免罪符が必要なのかもしれない さて、ランボルギーニは世界トップクラスの性能を誇るス ...
続きを見る
フォード・エクスプローラー・メンズ・オンリー・エディションのプロモーション動画はこちら
https://youtu.be/XrjKDG8gGHI合わせて読みたい、関連投稿
-
今度はエジプト!シトロエンのCMが「セクハラ」だとして大きな批判が巻き起こり、撤回と謝罪に追い込まれる
| たしかにこれはちょっとキモい | シトロエン自慢の機能が「アダ」となったようだ さて、世界中で様々な広告に対する批判が展開されていますが、今回はエジプトにて、シトロエンが「女性蔑視とも受け取ること ...
続きを見る
-
納車が開始されたばかりの米新興EVメーカー「リヴィアン」に暗雲!テスラのライバルと目されるも、解雇した女性幹部から「男性優位のマッチョ文化」だと訴えられる
| リヴィアンは唯一、テスラに対抗できる可能性を指摘されていた自動車メーカーだったが | 女性役員が車内の問題を指摘したところ、報復のために解雇したと訴えられている さて、米国ウォール・ストリート・ジ ...
続きを見る
-
高卒でGMの作業員からスタートし、同社初の女性CEOにまで上り詰めたメアリー・バーラ!EV増産計画を公表し「2025年にはテスラを捉える」と自信を見せる
| ちなみに親子二代でGMの工員を務める。現場からの叩き上げの実力は侮れない | ただしGMのEV躍進のきっかけとなったGMCハマーEVはアメリカ以外では売りにくいだろう さて、EV重視政策に転換した ...
続きを見る