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フォード「もはやニッチはニッチでなくなりました。これからは退屈なクルマづくりをやめ、かつてのフォードらしい、アイコニックな楽しいクルマを作るビジネスに移行します」

フォード「もはやニッチはニッチでなくなりました。これからは退屈なクルマづくりをやめ、かつてのフォードらしい、アイコニックな楽しいクルマを作るビジネスに移行します」

Image:Ford

| さすがにフォードが少量生産ビジネスに移行できるとは思えないが、トヨタのようにアイコンを生かしたポートフォリオの展開は可能なはずである |

実際、フォードには「人気モデル」も多く、デザイン的・モデル的資産においても困ることはないだろう

さて、フォードCEO、ジム・ファーリー氏が「今後は退屈なクルマ、平凡なクルマではなく、マニアに愛される製品を作ってゆく」とコメントして話題に。

これは新型(ピュアエレクトリック版)エクスプローラーを発表するためにヨーロッパを訪れた際、今後の方針について語った内容だとされ、大枠としては以下の通り。

「フォードの熱心なファン向けの製品はもはやサイドビジネスではありません。我々は退屈な車のビジネスから抜け出て、アイコニックな車のビジネスに移行しています。我々は常に乗用車市場の中心で競争していましたが、モンデオ、フォーカス、フィエスタにとってはあまりうまくいきませんでした。これらのクルマは多くの顧客に愛されましたが、商用車とは異なり、資本投資を正当化できませんでした。よってフォードは、すべての消費者に対応する車両の提供を止め、よりターゲットを絞った車両に移行することにしました。」

これはいったいどういうことかというと、「よく売れるクルマは味気ないコンパクトカーやセダンであり、それらのクルマは面白くはなく、競争も厳しいために利益が薄く、であればフォードしか作ることができないような個性的なクルマを発売し、ファンに喜んでもらうとともに厚い利益を確保する」ということで、ある意味では「退屈なクルマは作らない」と宣言した少し前のトヨタ自動車会長、豊田章男氏と同じ考え方なのだと思われます。

具体的に今後フォードはどこへ向かうのか?

そこで気になるのが「フォードは今後具体的にどうするのか」ということですが、ジム・ファーリーCEOによれば「マスタング、ラプター、ブロンコがブランドの未来を担う」。

たしかに少し前にはマスタングの「セダンやSUVを登場させる」という話が出ていて、つまりフォードはマスタングをサブブランド化し、マスタングが大好きな人に「クーペ、オープン、セダン、SUV」バージョンのマスタングを揃えてほしいのかもしれません。

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そしてブロンコはすでに登場し人気を博していますが、さらにこのハイパフォーマンスバージョン、よりモータースポーツに近い「ラプター」を追加することでフォードの強み、そして歴史を活かすのだと思われ、これによって新興勢力、そして価格をウリにした自動車メーカーに対抗する意向であると考えられます。

「我々は速いフォードやブロンコ、オーセンティックなオフローダーを得意としています。フォードのブランド認識はかつて世界中で同じでした。私たちはあらゆる場所に存在する企業でしたが、世界中には素晴らしい車を集めたヘリテージセンターがありました。しかし、それらはメインストリームではありませんでした。しかしラプターを考えてみてください。それはメキシコの砂漠レースから生まれ、私たちはそれをグローバルでメインストリームにしました。ラプターのストーリーは、私が考える乗用車の未来の良い例です。」

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こういった方向性のシフトについては様々な理由が考えられるものの、トヨタの成功が大きな要因であることは間違いなく、かつ世界中で激化する価格競争を考慮すると、「価格で選ばれるクルマ」に依存していては会社が成り立たないようになり、よって価格に関係なく顧客が選んでくれるクルマを作る必要があるという認識に基づいているのかもしれません。

そして消費者側としても「自分が気に入ったものであれば、金額に関係なくお金を支払う」という傾向が近年強くなっており、様々な理由から「今が”アイコニックビジネス”に移行するには最適な時期であり、フォードが生き残るにはそれしかない」と判断したのだと思われます。

よって、今後フォードからはたくさんの「面白いクルマ」が登場することが期待できますが、それらに加え「少量生産限定モデル」が多数展開される可能性もありそうですね。

「フォードは今まで、決してエンスージアスト、ファン向けの製品に資金とリソースを割いていませんでした。それらは常にサイドビジネスだったのです。しかし今、”サイド”が”メイン”として機能する環境となり、マスタング、ラプター、ブロンコこそが我々のビジネスです。」

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