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日産の北米ディーラーの利益が70%減、中国では販売が24%減。広告や値引きにも消費者がついてこずに在庫が積み上がり、今年2度目の「業績下方修正」が行われる可能性も

日産

| いったいどうして日産はこういった「負のスパイラル」に陥ったのか 」

それはやはり「消費者の求めるクルマ」ではなく、自分たちの都合による新車展開を行ってきたからだと考えられる

さて、現在様々な自動車メーカーが販売減少に苦しみ、相次ぎ目標を引き下げていますが、今回は日産が「さらに利益目標を引き下げるのでは」と報じられています(すでに7月に引き下げられたばかりではある)。

8月の数字を見てみると、日産の世界販売は5.5%減少し、これはなんと「5ヶ月連続の減少」。

特に問題となっているのは中国とアメリカで、これらの国に日産は全体の約半分の販売を依存しており、日産のアメリカのディーラーは昨年同時期に比べて約70%の売上減を経験してる、とのこと。

なぜ日産は販売を落とし続けているのか?

そこでこれらの国々で何が起きているのか、そしてなぜ全く異なる問題が日産の財政的苦境を引き起こしているのかを見てみましょう。

まず中国では、2024年8月の販売が24%減少していて、これは悪い数字ではあるものの、「日産が工場を閉鎖し、生産能力を絞っている」ことを考えると納得できる範囲かと思います(高性能な電気自動車を提供する地元メーカーに販売を侵食されているため、この背景自体は良くない事実である)。

ただしアメリカでは全く事情が異なっていて、これだけ「ハイブリッドが売れている」と報じられる中で日産は(アメリカ市場では)ハイブリッドを持たないといい、よって8月では4月以降初めての販売台数減少に転じています。

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しかもこの減少は在庫を整理するためのインセンティブ(販売奨励金)を増加させたにもかかわらず発生していて、つまり在庫処分が進んでいない、ということに。※カーブックの調査によると、日産は主要自動車メーカーの中でも在庫水準が非常に高いとされている

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そして北米の日産ディーラーはこの在庫処分のために多額の広告費やインセンティブを投じており、「費用ばかりがかさみ、クルマが売れない」ために利益が前年比で70%も利益を失うこととなっているわけですね。

そして欧州市場とは異なって北米では現在徐々にEVの販売が伸びており、しかし日産が提供するEV「アリア」は(北米生産ではないため)最大7,500ドルの連邦税控除を受けられず、しかし日産はリース用のクレジットを活用し、アリアのリースを月額199ドルから提供しているそうですが、これもまた「利益を引き下げてしまう一つの要因」となっていて、日産としては”痛し痒し”といったところなのかもしれません。

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ただし日産は「起死回生の策」を持っている

しかしながら日産もこの状況を「手をこまねいて」見ているだけではなく、2028年までにアメリカ市場に7つの新しいハイブリッドおよびEVモデルを投入する計画を発表していますが、その時まで自動車市場がどう変わっているかは誰にも分からず、人々が日産のEVやハイブリッドを待つか、すでに市場にある他の素晴らしい車を選ぶかは未知数です(少なくとも日産が直近での販売を失い続ける可能性は非常に高い)。

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日産の営業利益は先期に99%減少していることがすでに報じられ、日産は来年3月までの見通しを12%引き下げて5,000億円へと修正し、これにあわせて年間販売目標も365万台へと減らしていますが、投資家は明らかに日産の将来に対して懸念を抱いており、日産の株価は今年に入ってからすでに27%下落しています。※S&Pグローバルは昨年3月に日産の信用格付けをジャンクへと引き下げている

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日産
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なお、日産は11日に四半期決算を発表する予定ではあるものの、主要市場であるアメリカと中国での販売が改善しない限り、大きな失望を招く可能性があり、当面(新しいEVやハイブリッドが登場するまでは)人気モデルのフリート販売、そしてほかモデルの値引き販売に頼る以外の道はなく、もしかすると「かつての危機的状況に陥った」頃の日産に逆戻りしてしまう可能性もありそうです。

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参照:Jalopnik

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