| 年内に発表される「ルシード・エアー」もまた400キロを達成すると言われている |
テスラがモデルSのアップデートを行い、2020年モデルの「モデルSロングレンジ」において、一回の充電あたり航続可能距離をEPA計測にて402マイル(約647キロ)にまで伸ばしたと発表。
なお、400マイルを突破したのは「市販EVとしては初」だそうで、これまた話題を呼ぶことになりそうです。※日本のサイトにはまだ反映されていない
ちなみに、今回「400マイル」を突破させたのには理由があると報じられており、それはルシード・モータースが年末に発売を予定しているEV、「エアー」の航続距離が400キロを超える、と言われているため。※発売までに5年ほどの歳月を要している
つまり、イーロン・マスクCEOは「ルシードには負けたくない」ために航続距離を伸ばしてきたのだと報じられています。
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テスラは現在、圧倒的優位性を持っている
下記は現在北米にて販売されているEVの走行距離ランキング。
これを見るとやはりテスラの航続可能距離が他者を引き離しているということがわかります。
なお、他社がこれに勝つには単にバッテリーの容量を増やせばいいだけですが、そうなると今度は価格競争力を失ってしまい、結果的に「売れない」EVに。
こういった状況を鑑みるに、テスラの車は多くの自動車メーカーにとって「頭痛の種」でしかないのだと思われ、「テスラさえいなければ(利益を確保しながら他社と競争できたのに)・・・」と考えているのかも。
テスラ・モデルS | 402マイル |
テスラ・モデルX | 351マイル |
テスラ・モデル3ロングレンジ | 330マイル |
テスラ・モデルY | 316マイル |
シボレー・ボルト | 259マイル |
ヒュンダイ・コナ | 258マイル |
ただ、テスラとてバッテリー性能の向上や容量増加といった単純な方法だけで航続可能距離を伸ばしたわけではなく、たゆまぬ企業努力によってここまでの性能を実現しており、たとえば2012年に登場した際の航続可能距離はわずかに265マイル。
この状態から高いパフォーマンスを維持しつつ最新モデルでは「402マイル」にまで距離を改善してきたということになりますが、もちろんこれは容易ではなかったと思われます。
今回の「402マイル」達成にあたってテスラはいくつかの(2019年モデルからの)改良を掲げており、主だったものを見てみましょう。
テスラはこうやって走行距離を稼いだ
まずテスラが掲げるのは「軽量化」。
実際に何キロそしてどうやって軽量化を行ったのかは公開されていないものの、モデルYでは「光ファイバー」を用いた情報転送を行っており、これは「従来のケーブルを使用するのに比較して1/3の重量で済む」とも伝えられているので、同様の技術をモデルSにも投入したのかもしれませんね。
そして次は「テンペスト」エアロホイールとタイヤ。
この新デザインホイールによって空気抵抗を引き下げ、テスラ用に開発されたタイヤとあわせて2%ぶんの走行距離を伸ばした、と述べています。
3つ目は「ドライブユニットの効率化」だとされ、オイルポンプを機械式から電気式に変更したことで抵抗を下げて効率化を図り、フロントに搭載されるモーターの改良にて、高速道路走行時の電費を2%改善しているようですね。
4つ目には「回生ブレーキの強化」が挙げられ、低速域においてもこれを動作するようにすることで、バッテリーへの充電をより多く行えるようにした、とのこと。
いずれも「数%」といったレベルだとは思いますが、こういった積み重ねを、しかも毎年行うことで、テスラはその優位性を築いてきたのだと考えられます。
テスラのクルマが人気化してから数年が経ち、既存自動車メーカーは「テスラに追いつけ追い越せ」状態ではあるものの、テスラは「他が追ってくる速度よりも速く」他者を引き離しにかかっているということなのかもしれませんね。
VIA:TESLA