
| この「火災」問題は数年前から指摘されており、ようやく原因が究明される |
BMWとそのエンジンを搭載するトヨタ車において火災のリスクを伴う大規模なリコールが発表されることに。
世界規模で57万台超が対象となる深刻な事態となっており、ここでその詳細を見てみたいと思います。
この記事の要約
- 火災リスク: スターターモーターの過度な摩耗により始動時や走行中に火災が発生する恐れ
- 対象範囲: 世界で約575,000台。BMW主要モデル(3/4/5シリーズ、X3/X4等)に加え、トヨタ・スープラも含まれる
- 原因部品: 仏Valeo(ヴァレオ)社製のスターター。電気リレー室内に摩耗した金属粒子が蓄積し、ショートを引き起こす
- 対応: 2026年3月24日より通知開始。対象車両はスターターモーターを無償交換
なぜ火が出る?原因は「目に見えない金属の粉」
今回のリコールは”エンジンがかからない”というレベルの話ではなく、BMWの調査によると、スターター内部の部品が想定よりも早く摩耗し、その際に出る「金属の削りカス」が電気回路内に溜まってしまうことが判明しています。
このカスが原因で電気的な短絡(ショート)が起き、最悪の場合、車両火災に至るとされていますが、実際に米国では、この不具合に関連すると見られる3件の火災事故が報告されており、さらには韓国でも大きな話題となったため、事態を重く見た当局とBMWが強制リコールに踏み切ったというわけですね。
リコール対象は「2021年モデルから2024年モデルまで」
今回のリコールの対象は2021年モデルから2024年モデルまで多岐にわたり、特にBMW製エンジンを積む「GRスープラ」のオーナーも対象となっている点に注意が必要です。
リコール対象車種・製造期間一覧
| モデル(型式) | 対象モデルイヤー(MY) | 製造期間(目安) |
| BMW 3シリーズ | 2021 - 2024 | 2020/11/26 〜 2024/05/07 |
| BMW 4シリーズ (クーペ/コンバーチブル) | 2021 - 2024 | 2021/06/24 〜 2023/12/04 |
| BMW 5シリーズ | 2021 - 2024 | 2021/06/24 〜 2023/03/27 |
| BMW 2シリーズ クーペ | 2022 - 2023 | 2020/12/15 〜 2023/07/13 |
| BMW X3 / X4 | 2021 - 2024 | 2020/12/14 〜 2022/12/14 |
| BMW Z4 | 2021 - 2022 | 2021/06/24 〜 2022/08/29 |
| トヨタ スープラ | 2021 - 2023 | 2021/06/24 〜 2022/09/01 |
発生確率と兆候
BMWによれば、実際にこの不具合が発生している割合は「0.1%未満」と非常に低いものの、火災という重大事故に直結するため全数交換が行われることとなり・・・。
- 注意すべき兆候: エンジン始動時の異音、始動がもたつく、または計器盤に異常警告が出た場合は、速やかにディーラーへ連絡すべし
市場への影響:サプライヤー問題と「共通プラットフォーム」の影
今回の問題の根底には、自動車業界の「共通化」という課題が見え隠れしており・・・。
- Valeo社製スターター: 世界的な大手サプライヤーであるValeo社の部品が原因であったため影響範囲がこれほどまでに拡大しており、同型モーターを使用している他社も注意が必要だと思われる
- トヨタへの波及: スープラとZ4は兄弟車であり、エンジンや補機類を共有しているため、BMWの設計・部品選定がそのままトヨタ車のリスクに直結した形となっている
今後、自動車メーカー各社は1社のサプライヤーに依存しすぎることのリスクを再考せざるを得ないというのが今回の状況で、「タカタ製エアバッグ」同様に、自動車メーカーが抱える潜在的なリスクが表面化した事例だといえるのかもしれません。
今のところ日本ではリコール未公表
今回のリコールは北米だと2026年3月24日から正式に通知が始まるそうですが、我が日本においてはまだ国土交通省からの発表はないようで、しかしことの重大さを考慮すると日本でもなんらかのアナウンスがなされる可能性が大。
部品の準備状況によっては修理まで時間がかかる可能性もあるものの、いざ発表となれば、火災リスクを避けるためにも対象車のオーナーは即座に最寄りのディーラーに状況を確認することが望まれます。
参考:リコールと「外注部品」の関係
現代の車は約3万点の部品で構成されていますが、その大半はメーカー自社製ではなく、今回のような「メガ・サプライヤー(Valeo, Bosch, Denso等)」からの供給です。
1つの部品の設計ミスや不具合が海を越えて複数のブランド(BMWとトヨタなど)を同時にストップさせてしまうのが「現代の自動車産業の複雑な構造」というわけですね。
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