| 加えて、ほかメーカーの既存EVがシェアを失い、販売は新発売のEVへと集中 |
この傾向を見るに、まだまだEV市場のモデル別構成は安定しなさそう
さて、2022年上半期の新車販売状況が公開され、前年比14%減であったこと、欧州27カ国で554万台にとどまったことが報じられています。
この数値は3.4%ながら増加となって中国とは正反の状況となっており、しかし18.2%減少となった米国に比較すると「まだマシな」状況だとも言えそうですね。
ただ、欧州市場について14%減といえどもセグメントごとによって明暗が別れていて、前年比で減少幅が小さかったのはSUVだとされ、こちらはマイナス4%に踏みとどまっています(それでも減少しているのは間違いない)。
EVの好調は変わらない
そして逆に好調だったのはEVセグメントで、こちらはなんと前年比+31%となっており、市場シェアは4ポイント増えて11.4%へと増加することに(SUVとあわせると市場シェアは50%になる)。
ただ、EV全体が伸びたといえどもその構成には注目する必要があり、ひとつはテスラのシェアが13.75%から13.33%に減少したこと(それでも依然トップであり、販売を伸ばしたことには変わりはない。ただ、他社のほうが成長著しい)。
ちなみにシェアを失ったのはVWグループが5.7%でトップ、次いで日産の1.4%、そしてテスラの0.42%と続きますが、テスラの場合は6月の販売が前年比76%へと落ち込んだことが大きく響いており、これは上海工場のロックダウンが影響したと見ていいのかもしれません。
逆に成長したほうだとBMWの市場シェアは5.76から8.37へと上昇し、ヒョンデグループ、そしてステランティスも結構な伸びを記録していますが、BMWだとiX、iX3、i4の販売が好調で、ヒョンデグループだともちろんアイオニック5そしてEV6、ステランティスではフィアット500Eの販売が伸びています。
BMWのEVはこれまでの流れから見て「間違いない」と見てよく、しかしアイオニック5、EV6,そしてフィアット500Eについては、購入した消費者が「こんなはずじゃなかった・・・」と感じる可能性もあり、もしそれらが期待はずれであれば、(VW ID.シリーズのように)販売がズルズルと下がってゆく可能性もありそうですね。
欧州市場におけるEVの車種別販売はこうなっている
なお、モデル別販売台数は下記のとおりですが、テスラが1−2フィニッシュを決めているものの、モデル3は今後モデルYに取って代わられる可能性が高く、テスラが市場シェアを伸ばすには、相当なペースにてモデルYをデリバリーしなくてはならないのは間違いなさそう。
加えて、「以前から存在する」EVが比較的新しいEVにシェアを奪われる傾向も顕著であり、EVを選ぶ消費者は「新しいもの好き」なのか、性能を比較すると自然と新しいEVに行きつくのか、このあたりは今後注視すべき部分だとも考えています。
- テスラ・モデルY・・・44,472台(初登場)
- テスラ・モデル3・・・39,896台(前年比−40%)
- フィアット500E・・・32,777(前年比+70%)
- プジョーE-208・・・22,899台(前年比+13%)
- フォルクスワーゲンID.4・・・22,619台(前年比−6%)
- KIA NIRO・・・22,538台(前年比+8%)
- SKODA ENYAQ・・・21,492台(前年比;53%)
- ルノーZOE・・・20,903(前年比−32%)
- ヒョンデ・コナ・・・19,954台(前年比−9%)
- ダチア・スプリング19,678台(前年比+591%)
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参照:JATO Dynamics, Motor1