放火や略奪は何の解決にもならない
さて、フランス・パリで起きている反政府暴動、「黄色いベスト」運動。
マクロン政権の発表した燃料増税(による生活の困窮懸念)がきっかけだとされていますが、とにかくパリ市街では大規模な破壊活動が行われ、シャンゼリゼ通りにあるブランドショップのショーウインドウが叩き割られて略奪が横行したり、あちこちで放火が頻発する始末。
フランスでは「50年ぶりの大規模デモ」と報じられる
なお、今回のデモは数週間に渡って行われ、初期には無関係のポルシェ911カブリオレがひっくり返されたりという報道がなされたのは記憶に新しいところ。
このデモは収まる気配を見せず、さすがのマクロン大統領も「増税を見送る」と発表する異常事態になっていますが、それでも破壊活動は続けられているようですね。
フランスからアップされる動画を見ると、次々に高級車を破壊して中にあるものを盗む様子を見ることができ、しかしここまで来るとデモというよりは完全な無差別破壊活動や略奪であり(ただし”持てる者からのみ)”、何の抗議にもなってない、という感じ。
ちなみに欧州では中東への富の集中に抗議してSUVを爆破したり、やはり富裕層への抗議としてスーパーカーを燃やすという行為が一時期(とくにリーマンショック直後)見られ、とくにフランスでは「なんでも燃やす」のが得意技。
-
とりあえず燃やして抗議。今年は650台が燃えた、フランスの大晦日には「車を燃やす」という奇妙な習慣
| なぜフランス人はすぐになんでも燃やすのか | フランスは一種独特な習慣がある国ですが、「大晦日に車を燃やす」という伝統がある模様。これは貧困層が住む地域において、1990年代から抗議の一環として行 ...
続きを見る
パリでは毎年大晦日に、手当たり次第にクルマを燃やすという習慣があって、昨年は「650台が燃やされ」新記録を更新。
このままゆくと、今年は更に多くのクルマが燃やされることになりそうですね。
なお、欧州では2017年7月にG20の開催に反対してデモが勃発し、ポルシェセンターが「富の象徴」として放火されたりという事件がありましたが、欧州でスーパーカーに乗るのは楽じゃなさそうだと感じさせられる社会現象ではありますね。
ちなみにフランスは過去に「フランス革命」があったことでもわかるとおり、デモは”お国柄”。
そして無差別とは言えども「仲間」には暴力を振るわないようで、動画を撮影している人々もとくに身の危険は感じていないようです。
さらに報道関係者に対しても危害を加えておらず(報道してもらい、幅広くこの事実を知らしめることも目的)、したがって報道陣もデモに参加する群衆の味方だという雰囲気も漂ってきますね。
日本ではこういった「生活に困窮」「富裕層への抗議」といった形でのデモは見られず、むしろ「目立ちたい」という理由での(ハロウィーンなどで)大騒ぎが報じられており、これはこれでまた問題なのかもしれません。