| テスラのチューンに成功したチューナーもまだ存在しない |
”ヘネシー・ヴェノムGT”にて世界最速記録を樹立したこともあるヘネシーが、 ポルシェ初のエレクトリックカー「タイカン」を チューンする、と発表。
ヘネシーはテキサスを拠点とするチューニングショップで、主にフォード車のカスタム/チューンを得意としますが、ヴェノムGTやヴェノムF4など「自前のクルマを製造する」技術も持ち合わせる”メーカー”でもあります。
エレクトリックカーは簡単にはカスタムできない
なお、改造し甲斐のあるEVというと「テスラ・モデルS」やモデルX、モデル3もあるものの、ヘネシーはそれらに興味を示さず、代表のジョン・ヘネシー氏は「ポルシェ・タイカンこそが、我々が改造すべき最初のEVだ」とコメント。
ただし現段階ではその改造の内容は比較的小さくなるであろうとも述べており、タイヤやホイール、前後バンパーに装着するエアロパーツ程度になる、と述べています(ちょうど公開されたレンダリングの内容と同じ)。
ただ、ヘネシーはそこにとどまるつもりはなく、将来的にはパワートレインにも手を出し、「パワーアップも行う」と意欲を見せていますが、これまでエレクトリックカーのパワーアップに成功したチューナーはなく、ヘネシーがどこまで踏み込めるかはちょっとした見ものです。
なお、テスラのカスタムについては老舗のノヴィテック、ヴォルシュタイナー、Revozport等が参入しているものの、これらはガソリン車では普通に行っている「パワーアップ」を(テスラに対しては)行っておらず、それだけEVのパワートレインを弄るのが難しいということなのでしょうね。
唯一の例外としては、アウディのチューンを中心に手掛けるABTがエレクトリックユニットのチューンを手掛けていますが、ABTはフォーミュラEにアウディとともに参戦しているほどなので、これは「特別」だと言えそうです。
エレクトリックカーの何がカスタムを妨げているのか?
そしてなぜEVカスタムが難しいのかということですが、これはひとえに「バッテリー制御」。
発熱やそれに伴う冷却、残量や放電スピードに応じた適切な制御などが必要となるわけですが、これは一朝一夕にできるものではなく、ポルシェがタイカンの発売時にもっとも「ウリ」にしていた部分ですね(ポルシェは、テスラですら制御に問題があると指摘している)。
よって、多数のサンプルを持ち、様々な環境でテストを行うだけの資金力や設備がないとEVに用いられる制御プログラムを変更することには危険が伴い、かつ変更すればメーカー保証も効かなくなるため、消費者としても「信頼性の担保がなければ」とうてい手を出せるところではない、と思います。
なお、ポルシェ・タイカンに用意されているグレードは「ターボ」と「ターボS」。
タイカン・ターボSはブースト機能使用時に761PSにまで出力が向上し0-100キロ加速を2.8秒で走るとされますが、これは相当な「安全マージンを取った」上での数字だとされ、そのポテンシャルはあらゆるスポーツカーを凌ぐ、とも。
ヘネシーがこの「ポルシェ・タイカンの秘めたる性能」を引き出せるかどうかは興味の尽きないところですが、ヘネシーにポルシェ・タイカンが納車されるのは2020年。
来年にはなんらかの「EVチューニング市場における革命」が見られるかもしれませんね。