| もうガソリン車は生き残ることが難しそうだ |
さて、現在いくつかの国が「ガソリン車の販売」を将来的に禁じる動きに出ていますが、今回は高級車やエキゾチックカーの大きな市場であるカリフォルニア州が「2035年からガソリンエンジン搭載車の販売を禁じる」決定を下しています。
これまで禁止に動いてたのは「さほど大きくない市場」だったものの、今回はカリフォルニアがこういった決定を下したということもあり(しかも期限が短い)、自動車メーカーにとっては大きな衝撃かもしれません。
なお、現時点でガソリン車販売を禁止すると報じられている国とスケジュールは下記の通り(この他にも検討中の国がいくつかある。加えて、禁止を掲げている国の中でも、ハイブリッドは例外的に認めるケースもある)。
・オランダ→2020年に禁止
・ノルウェー→2025年に禁止
・インド→2030年に禁止
・フランス→2040年に禁止
・イギリス→2040年に禁止
・ドイツ→2050年に禁止(検討中)
カリフォルニアでは「ゼロ・エミッション車」の販売しか許されなくなる
今回カリフォルニア州が決定した内容によれば、プラグインハイブリッド(PHEV)、ハイブリッドも2035年には販売禁止対象となり、販売が許されるのはピュアEVつまり「ゼロ・エミッション・ビークル」のみ。
そして自動車メーカーにとってもこれは無視できる話ではなく、2035年に販売できなくなるということは、そのクルマのライフサイクルが10年だとして「2025年に発売する新車が最後」といったイメージ。
そして2025年に発売するとなれば、開発に(短くとも)2~3年を要することを考慮するに、2022~2023年あたりには開発を開始しておかなければならず、となるとカリフォルニアをメインターゲットとするクルマは「今から開発にかかるクルマが最後のガソリン車」ということになりそうです。
そしてカリフォルニアでよく売れるクルマとなると、ベントレー、ロールスロイス、ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンといったところで、これらについては「次の次の世代はピュアEV」となる可能性が大。
ガソリン車の所有が禁じられるわけではない
ただ、幸いなのは2035年以降であってもガソリン車の所有や、中古市場でのガソリン車の売買を禁止する意向はもっておらず、つまりこの影響を受けるのは「新車のみ」。
その頃になるとおそらくはEVの価格も下がっているかとは思うものの、EVが現在のガソリン車同様に売れるとは考えにくく、かつ「モデルチェンジ」もガゾリン車とは異なる意味合いを持つことになると思われるため、現在とはいろいろな意味で自動車業界が変わることになりそうです。
なお、デジタル音源が主流になった後の「レコード」、スマートフォンやデジタル腕時計が普及した後の「機械式腕時計」のように、いつの世も、そしてどんな製品であっても「失われゆくもの」を愛する人々がおり、よってガソリン車についても、中古市場にて高い人気と支持を(一部から)集めるものとは思われます。
自動車メーカー側はその準備ができているとは思えない
そして気になるのは自動車メーカー側の対応で、「EV化に向けて対応せねばならない」のは間違いないものの、現時点ではバッテリー性能が思うように進化せず、かつソリッドステートバッテリーのような次世代技術が登場する可能性が高い今、現在の技術をベースにした新型車を開発するのは将来的な無駄につながり、思うように動けないであろうこともまた事実。
そしておそらく、今回の決定がさらに「追随する都市」を生み、また自動車業界の再編を促すであろうことになるのは間違いなく、各社とも時代の波に翻弄されることになりそうですね。