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最近の国産自動車ディーラーに関して思うこと。「以前ほど押してこず、待ちの姿勢になったな」

2020/10/07

| 情報の均一化、密度向上によって自動車販売の現場は大きく変わりつつある |

さて、最近感じるのが「自動車ディーラーの営業が”待ち”になった」ということ。

ちょっと前までよく言われたのが、「自動車ディーラー(国産)を訪問すると、家にまで押しかけてこられる」「その後の電話攻撃が凄まじい」というものですが、最近ではそういったことがすっかりなくなってしまい、国産ディーラーを訪問し、試乗して見積もりをとった後にも「なんら音沙汰がない」ということも多々あります。

これはいささか拍子抜けとも言え、もっとプッシュしてきたら買うのにな(ぼくは自分のクルマ以外にも、家族のクルマや営業車を購入することがあるので、国産車も比較的よく入れ替える)、と思うことがあるわけですね。

もはや「押し」ではモノは売れない

ただ、これは自動車のみではなく、社会全般的な傾向と言えるのかも。

たとえば、現在はディーラーのセールス担当よりも消費者の方が商品についての知識を持っている場合があり、とくに競合商品まで含めると消費者のほうが多くの情報を有している、と言っていいかもしれません。

そういった状況において、セールス側が「押す」、つまり判断を迫るような行為は逆効果だとも考えられ、であれば「消費者が積極的に買いたくなるような環境を整える」、それ以前に「消費者との接点を持つ」ということが重要なのだとも思われます。

たとえば、ぼくの住む地域では、トヨタディーラーに新人が配属されると、数年前までは「この地域の担当になりました」と毎年飛び込み営業(新人)がやってきたものですが、ここ数年はそういった飛び込み営業はなくなり、かわりに「イベントのお誘い」「試乗のお誘い」がポストに投函されるようになっています。

これはいわゆる「コンタクトポイント」というもので、その製品と顧客との接点を作ることで購入検討の俎上へとその商品を加えさせるということになりますが、このコンタクトポイントが多ければ多いほど、そのメーカーやブランド、製品に対して消費者は帰属意識を持つことに。※最近輸入車で増えつつある、「売らない」ショールームは顕著な例

これは「買ってください」という刹那的な営業とは対極にあるもので、情報の均一化、密度の向上によってもたらされたことによる営業手法、プロモーション手法の変化だと考えることもできますね(保険の営業と顧客獲得手法についても、最近大きく変わったビジネススタイルのひとつだと思う)。

ただし現場はその変化に対応できていない?

そしてもう一つ思うのが、「押さない」=「待ち」ではないということで、というのも現在の国産ディーラーの多くは、イベント等によって顧客を呼び込み、接点を作るものの、そこからの行動がうまくできていないようにも思われます。

つまりはイベント後に「放置」状態が多く、見込み客に対して「買いたくなる」ような情報そして機会の提供をうまくできておらず、よってせっかく興味をもってそのディーラーやイベントを訪問した顧客が持つ「潜在購入意欲」をうまく引き出すことができないままに終わり、結局はその顧客は何もクルマを買わない、もしくは他に「うまく購入意欲を引き出せた」ディーラーに流れてしまうのかもしれません。

いずれにせよ、自動車の販売方法はちょっと前とは大きく変わっていて、情報そして商品があふれかえる今だからこそ、「1.ブランドや商品を知ってもらう機会をつくること」「2.そして自社のブランドや商品がライバルに比べて優れていると知ってもらうこと」、その上で「3.自社ブランドの商品を消費者に選んでもらう/選びたくなる」ための行動が必要となってくるのだと思われますが、ちょうど業界が変革中ということもあり、「1」もしくは「2」で止まってしまっているブランドも多いのではないか、というのが最近の思うところでもあります。

ちなみに輸入車ブランドはしばらく前からこの戦略を採用しているのでノウハウの勝るようですが、国産車に関してはまだまだノウハウが構築されておらず、現場にも少なからず混乱があるようですね。

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