| 加えて最近のクルマのモデルサイクルは非常に早く、納車待ちの間に「旧型に」なる恐れも |
ロールスロイスの中古車販売比率はここ最近で「倍」に
さて、コロナウイルスのパンデミックによって様々な変化が市場にもたらされていますが、そのひとつが「高級品市場が活況になった」ということ。
緊急事態宣言、海外ではロックダウンによって外出の機会が減少し、そのぶん減った支出が高額商品の購入に回されていると言われ、日本でもJR名古屋高島屋に日本最大級の品揃を誇る「ジェイアール名古屋タカシマヤ ウオッチメゾン」がオープンしたと伝えられたばかり(この20年で高級腕時計の売上が5倍になったらしいが、この1年での伸びが最も大きいと思われる)。
アメリカでは高級中古車が大人気
そして今回はアメリカでもいくつかの調査結果が発表されており、「現在、高級車の中古車市場が未だ無い賑わいを見せている」とのこと。
これにはいくつかの理由があるようで、最大の理由は(上述のとおり)コロナウイルスのパンデミックによってお金の使い所がなくなったこと、そしてよく報道されるチップ不足による生産台数の減少(これはそんなに大きく影響していないと思う。もともと高級車は生産台数が少ないので)、さらにぼくが思うには現在の高級車では新車注文時の「納車待ち時間が長くなった」こと。
この最後の「納車待ちが長い」ことについては、新車の受注が好調であることに加え、「カスタムオーダー」が基本という状況へと変化しており、これによって(1台あたりの)生産にかかる時間が長くなっているものと思われます。
そして「ほぼ100%がカスタム(オーダー)メイド」とされるロールスロイスにおいて、納車待ちは早くとも6ヶ月だとされていますが、この待ち時間すら嫌う人も多く、北米市場におけるロールスロイスの売上の75%が「中古車部門」によるものだそう(コロナ以前は33%)。
つまり多くの人が納車待ちを嫌って即納車を購入しているということになりますが、パンデミックによって先行きが不透明になり、自身ですらいつ死ぬかわからないと考えた人が増えたとも報じられており、「先のことよりも、今の楽しみ」を重視する人が増えたのかもしれません。
あるいは、新車を購入すると「売却時に価値が下がる」と考え、これまで以上に支出に際して慎重になり、新車に比較すると売却時の損失が少ない中古車を選んでいる可能性もありそうです(レイスの場合、登録した時点で20%、5年後には40%の価値を失うとされる)。
よって、「高級中古車が活況」とひとくちにいえど、様々な要因が複雑に絡んでいるのではと考えていますが、とにかく先が見えない状況が続く以上、こういった傾向が加速するのかもしれませんね。
とくにハイパフォーマンスカーは今後どうなるのかわからない
そしてスーパーカーに限っていうと、今は「かなり買いにくい」状況であるのもまた事実。
この「買いにくい」というのは時期的なものであって、現在はちょうどガソリンからハイブリッド、そしてピュアエレクトリックへと移行している途中です。
こういった状況の中で、「納車待ちが1年~2年」というランボルギーニを注文するのはちょっとリスクがある、とも考えています。
たとえば、ちょっと前までは「ハイブリッドスポーツはイマイチ」だという風潮が強く、しかし直近ではマクラーレン・アルトゥーラ、フェラーリSF90ストラダーレ/SF90スパイダー、296GTBのような、ガソリンエンジンモデルよりも高いパフォーマンスを持つモデル(しかもハイブリッド化によって失われる部分が極めて小さい)が登場しており、現在では「ハイブリッドスポーツもアリなんじゃないか」という雰囲気へとやや変化しているように思います。
よって、ガソリン車を注文したものの、「やっぱりハイブリッドにすべきだったか・・・」と途中で思い直す可能性がないとは言えません。
そして過渡期特有の現象でもありますが、各モデルとも「モデルライフが短く」なっており、こういった状況では「注文した頃には新型車だったのに、納車される頃にはさらに新型が登場して型落ちになってしまう」という現象も。
よって、長い納車待ちの間に「次々優れる」モデルがその自動車メーカーや競合他社からどんどん登場することに不安を覚える人も少なくはないものと思われ(とくにスーパースポーツはスペックが重要でもある)、そこで「ひとまず中古車を買って様子を見るか。値落ちも小さいしな・・・」と考える人が多いのかもしれませんね。
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参照:Edmunds, Automotive News Europe, Cox Automotive