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EUがロシアに対し5万ユーロ(650万円)以上の車両を輸出禁止という制裁措置を決定!自動車メーカーはロシア分をキャンセルせざるを得ず、ほか市場の「納車待ち組」にとっては朗報か

2022/03/17

BMW

| 今回のロシアによるウクライナ侵攻はあまりに自動車業界への打撃が大きかった |

ロシアへの依存度が高かった自動車メーカーは相当なダメージを受けることに

EU(欧州連合)がロシアへの制裁措置として「5万ユーロ(日本円で約650万円)以上の車両の輸出」を禁止するという措置を発表し、欧州の自動車メーカーは一部で打撃を受けるのでは、という報道。

この措置自体はロシアの高官や富裕層、オリガルヒを直接の対象としたもので、欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長によれば「これによって、ウクライナの罪のない人々に爆弾を落とすことを支持している人々は、贅沢なライフスタイルを楽しむことができなくなるはずだ」とコメントしています。

多くのプレミアムカーメーカーが影響を受ける?

なお、今回のロシア・ウクライナ問題については多くの影響が出ており、先日フェラーリとランボルギーニはロシアとの取引を停止すると発表し、ウクライナへの金銭的・人道的支援を発表したばかり。

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そのほか、ロシアやその周辺に工場を持つ自動車メーカーは操業停止を余儀なくされるなどその影響が拡大しつつある状況ですが、今回の制裁措置によってパガーニ、ケーニグセグといったハイパーカーのほか、マクラーレンやアストンマーティン、ロールスロイス、アウディ、メルセデス・ベンツ、BMW、アルファロメオといったプレミアムカーメーカーなどもロシアへの販売によって得られるはずだった利益を失うということになり、これはけっこうなダメージかもしれません。※パガーニはロシアに太客を持っている

ただ、一方では「もともとチップ不足によって、需要を満たすだけの生産ができなかった」状況ということもあり、ロシアで販売できなくなった分は他の市場に振り分けられるだけの話なので問題はないという見方もあるもよう。

実際のところ、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、マイケル・ディーン氏は、「すべてのプレミアム・ブランドの強力な受注残を考えると、ロシアへの輸出の損失は他の市場に振り向けられると予想されます」と述べており、実際は影響がないのかもしれません。

メルセデス・ベンツ

ただし現場では大きな混乱も予想される

ただ、大局を見ると「バックオーダーを解消するいい機会」ではあるものの、現地のインポーターにとっては死活問題であり、当然ながら利益を失うことになるばかりか、顧客からは猛烈な突き上げを食らうことになりそう。

もちろん顧客は注文時にデポジットなりなんらかのお金を支払っているはずなので「納車できなくなった以上」その返却も必要だと思われ(戦争による損害は保証しないという文言が契約書にあるかもしれない)、現場としては大混乱なのかもしれません。

加えて、顧客の指定したスペックにて「すでに」作ってしまったクルマをどうするのかという問題もあり、そういった車両は(戦争が終わり、顧客に引き渡しができるようになるまで)保管しておくのか、それとも受注そのものをなかったことにし、キャンセル車としてどこか別の市場にて販売するのかも。

これについては、「大量生産メーカー」であればまだ影響は小さく、しかしフェラーリやランボルギーニ、ロールスロイスあたりだと処理に苦慮することになり、さらにケーニグセグやパガーニのレベルだと経営に影響が出そうです。

なお、受注済みであってもまだ生産していない車両であれば問題はなく、そのぶんの「生産予定」をほか市場向けに振り分けるだけとなるので、現在「納車待ち」の人にとってははやく順番が回ってくることになりそうですね。

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