| V12ヴァンテージは思ったよりもずっとスゴいデザインでやってきた |
これでV12エンジン搭載モデルが「終了」となるのは残念だ
さて、アストンマーティンが長らく予告していたV12エンジンを搭載する最後のモデル「V12ヴァンテージ」を公式発表。
搭載されるのは5.2リッターV12ツインターボエンジンで、最高出力700馬力(515kW)、最大トルク555lb-ft(753Nm)という驚異的なパワーを生み出します。
これはベースとなるV8ヴァンテージよりもそれぞれ187ps(140kW/190PS)、50lb-ft(68Nm)高い出力となり、0-60mph(0-96km/h)を3.4秒で駆け抜け、最高速度は実に322mph(200km/h)にも達します。
なお、トランスミッションは残念ながら「8速オートマチックトランスミッションのみ」で(V12最後の記念限定モデルであれば、やはりマニュアル・トランスミッションを用意してほしかったが)、しかしアストンマーティンはこの8速ATにつき応答性を向上させるべく専用のキャリブレーション与えており、その動作もデュアルクラッチよりも洗練されている、と自信を見せています。
V12ヴァンテージは細部に至るまで手が入る
そしてこのV12ヴァンテージには「パワーアップ」のみではなく「軽量化」もほどこされ、これによって1トンあたりの出力はV8ヴァンテージ比で20%改善して385PSへ。
この数値を達成するため、ボンネット、フロントバンパー、フロントフェンダー、サイドシル等にはカーボンファイバー製のパーツが採用されており、さらにはコンポジット製リアバンパーとデッキリッド、軽量バッテリー、センターマウント・デュアルエグゾーストシステム(ステンレス製で、V8ヴァンテージよりも7.2kg軽い)が採用されています。
V12ヴァンテージの外観の印象としては「思ったよりもスゴいの出してきたな」という印象で、これは先日発表された「最強SUV」、DBX707同様もしくはそれ以上のアグレッシブさかもしれません。
こういった過激さは以前のアストンマーティンに見られなかったものですが、これが「経営者が変わった」ことによるものかどうかは不明です。
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フロントグリルは強大なパワーに対応した冷却能力を獲得すべく面積が25%拡大され、ホースシューデザインを持つフード、巨大なリアウイング(最大で204kgのダウンフォースを発生)が採用されていますが、このリアウイングはある意味ではアストンマーティンらしくなく、そのためかこのウイングは”レス”オプションにも対応しているようですね。
ホイールはサテンブラックもしくはサテンブラックダイヤモンドターン仕上げの21インチサイズ、そしてオプションにて8kg軽量化されたホイールも注文できる、とのこと。
なお、車高はギリギリまで落ちており、ホイールとタイヤが車体サイズに比較してかなり大きく見え、リアウイングやサイドブレードなどのエアロパーツもかなり「強調」された作りを持っていて、あらゆる意味でこれまでのアストンマーティンとは異なるように思います。
外装関連のオプションとしては、カラードブレキーキキャリパー、スモーク仕上げのテールランプ、ダーク仕上げのテールパイプがラインアップされており、これらに満足できなければアストンマーティンのパーソナリゼーションプログラム「Q」にて「印象的なエクステリアグラフィックとリバリー」「エクスポーズドカーボンファイバーにクリアグリーン、ブルー、レッド」といった仕上げも可能だとされています。
V12ヴァンテージはパフォーマンス面でも「最高」を目指す
そしてもちろんV12ヴァンテージの足回りについても大幅にアップデートされており、新しいブッシュ(たぶん硬い)が組み込まれるほか、フロントで50%、リアで40%レートを高めた専用スプリングが採用され、アンチロールバーはフロントで5%、リアで41%強化されることに。
リアサスペンションにはセカンダリーテンダースプリングを採用し「メインスプリングよりも低いスプリングレートで、動力性能に影響を与えることなく乗り心地を向上させて」いるそうですが、これは市販車にしては非常に珍しい仕様でもあり(社外品だと珍しくはない)、つまりはそれだけ「とんでもなく足回りが硬い」ということになりそうですね。
さらにV12ヴァンテージでは車体そのものに手が入り、ボディ剛性は全体で8%、横方向の剛性は6.7%向上していて、これはシアーパネル、リアサスペンションのストラットタワーバー、燃料タンクブレースなどの追加によって実現されているもよう。
加えてリミテッドスリップディファレンシャルやステアリングシステムの再調整により、コーナリング時のフィーリングと応答性が向上しており、カーボンセラミック・ブレーキシステムを搭載して800度の高熱環境下でも制動力を発揮させるとともに23kgの軽量化を実現しています(フロントディスクに6ピストンキャリパー、リアディスクに4ピストンキャリパーを採用)。
アストン・マーティンV12ヴァンテージのインテリアは細部が特別仕様に
そしてV12ヴァンテージのインテリアも多くの専用パーツを持っており、センターコンソールにはV12のバッジが装着され、シートはセミアニリンレザーのスポーツプラス(ヒーター、16ウェイパワー調整機能付き)仕様。
さらにはスポーツステアリングホイール、グロスブラックトリム、軽量カーペット、アルカンターラヘッドライナー、8インチインフォテイメントシステムが追加されています。
オプションとしてはプレミアムオーディオシステム、カーボンファイバートリム、カーボンファイバー製パフォーマンスシート(カーボンファイバー製シェル、6ウェイマニュアル調節機能付)が用意され、カーボンファイバーシート(おそらくは画像のシート)を装着すれば7.3kgのダイエットが可能になり、しかしアストンマーティンらしく快適性を確保している、と紹介されています。
インテリアにおいても「Q」プログラムを活用することができ、たとえばカーボンファイバーステアリングホイール、ペイントトリム、カラーアルマイトのアクセントといったこだわりの仕様も実現可能。
このアストンマーティンV12ヴァンテージの生産台数は全世界で333台に限定され、昨年12月に発売がアナウンスされてからというもの「かつてないほどの需要」があったといい、すでに「すべての台数が予約で埋まり、キャンセル待ち」状態なのだそう。
アストンマーティンCEOのトビアス・メアース氏は「偉大なスポーツカーブランドには、必ずヒーローカーが存在する。アストンマーティンにとってはV12 ヴァンテージがそれに該当し、世界中の顧客とファンが、我々の最も小さく最もスポーツ性の高いモデルに、最も大きなエンジンを搭載するというアイデアに惚れ込んでくれたことは誠に喜ばしい。我々は長年にわたってレシピを改良し、大きな成功を収めてきたが、本質は変わっていない。今まさに、このV12の血統に終止符が打たれることになるが、その最後にふさわしい、史上最速、最もパワフル、最もダイナミックなクルマとしてV12ヴァンテージを送り出すことができたことを誇りに思う」と述べています。
アストンマーティンV12ヴァンテージを紹介する動画はこちら
参照:AstonMartin