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EVは環境のみならず健康にもいい?EV普及率が1%上昇すると、緊急外来の受診が3.2%減少するらしい

2023/02/15

メルセデス・ベンツ

| ただしこの外来受診は呼吸器系に限っており、すべての面での健康に良好な結果をもたらすわけではない |

そしてEVはすべての人々が購入できる「環境対策」ではなく、他に解決すべき問題も非常に多い

さて、当然のことながら「EV(電気自動車)は環境に優しい乗りものである」と言われており、その認識は世界中でおおよそ一致していることかと思います。

そして今回は米国カリフォルニア大学ケック医学部の新しい研究によって、「電気自動車と健康増進との関連性」が示されており、一般的に排出ガスの削減、つまり気候変動対策に関連している電気自動車の存在が、遠因として個人の健康改善に関連することが数値とともに公開されることに。

なお、この研究はアメリカではもっとも大きな電気自動車の市場であるカリフォルニア州にて行われているので、研究結果そのものは「信頼に足る」と考えてよいかと思います。

電気自動車が増えると緊急治療室へ運ばれる患者が減少する

この研究は2013年から2019年にかけ、カリフォルニア州内のいくつかの地域に分けて調査が行われ、大気汚染レベルや喘息関連の緊急外来受診率と電気自動車の登録台数を比較したもので、その地域のゼロエミッション車を購入する人が増えると、大気汚染レベルとともに緊急治療室への訪問が減少することが報告されています。

カリフォルニア大学ケック医学部のエリカ・ガルシア博士によると、「気候変動に関連する行動について考えるとき、多くの場合、それはグローバルなレベルです。しかし、ローカルレベルで行われている変化が、あなたのコミュニティの健康を改善できるという考えは、国民と政策立案者に対する強力なメッセージになりえます」。

つまり同博士は、「地球の環境を改善する」という大きな目的に加え、「自分が住んでいるその場所の環境を改善できる」ということを自動車に乗る人々に知ってほしいというメッセージを送っているのだと思われ、あまりに壮大過ぎてイメージできないことよりも、今自分ができることに着目すべきだと主張したいのかもしれません。

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電気自動車の普及は地域コミュニティの環境改善にも貢献

この研究では、電気自動車が普及すれば、その地域の環境のみならず、そこに住む人々の健康状態も改善されることを示しており、人口1,000人あたりの(EVなどの)ゼロエミッション車が20台増えるごとに、喘息関連の救急外来受診が3.2%減少することがわかっています。

ちなみに2013年から2019年の間に、こうしたゼロエミッション車つまりエコカーの採用台数は(平均して)1,000人あたり1.4台から14.6台に増加したそうですが、地域別に見てみると、"教育達成度 "が低い地域ではゼロエミッション車の普及率が低く、また、低資源地域とされるエリアでも普及が遅れていことも明らかになっており、つまりこれらの地域が今後も排気ガスや公害病の影響を不当に受け続けることを意味しています。

なお、主に電気自動車にて構成されるゼロエミッション車の普及については、経済的な地域格差のほか、他の領域にも関連性が及んでおり、たとえば充電インフラにアクセスできない地域に住む人々はEVを購入できる資金力があったとしても電気自動車を購入しにくく(密集した都市部や高層マンションが立ち並ぶエリアだと充電しにくい。逆に人口が少ない郊外も同様である)、EV普及を促進するため地方自治体によって多くの充電ステーションを提供すべきだという問題も見えてきます。

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いずれにせよ、低所得者層が住む地域、EVの充電が難しい地域に住む人々は、悲しいことに、裕福な地域、もしくは豊富に充電ポイントがある地域に比較して、「より高いレベルの公害」と戦わなければならないことを示唆しているのかもしれません。

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ただ、今回の研究結果については、「人々の健康」といえども呼吸器系の疾患に特化した調査を行ったにすぎず、呼吸器系の問題については「タイヤやブレーキのダスト」など、EVやガソリンといった、パワートレインに関係なく発生する問題も少なからず絡んでいるはずで(現在走っているクルマの数を考えると、こちらの対応のほうが急務かも)今回の結果をもってすなわち「EVは健康にいい」「EV普及をさらに加速させるべき」と短絡的に考えるべきではないのかも。

そしてもちろん、EVの普及によって電力が逼迫し、電力不足が人々の生活や健康に与える問題も無視できず、今回の調査結果を起点として、様々な観点から議論がなされるべきだとも考えています。

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参照:Keck School of Medicine of USC

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