| 人は、自分が持っていないものを持っている人を容易に憎む |
環境団体は人々の心理を操作することに(非常に)長けている
さて、現在世界中で人気なのがSUVではありますが、欧州に関しては少し雰囲気が異なっており、「大きなSUVは環境負荷が高すぎる」ということから敬遠される傾向が強く、同じSUVでもコンパクトクラスが選ばれる傾向が強いと言われます。
実際のところ、ガソリン車だけではなくEVであっても大型SUVを狙ってタイヤの空気を抜くという過激な環境団体も存在し、とにかく「不要に大きなモノ」が嫌われるのが昨今の欧州なのかもしれません。
-
今度はSUVのタイヤの空気を抜く迷惑な環境団体が登場。今年だけで1万台以上、2日間で900台の空気を抜いたと宣言し、広く「SUVのエア抜き」を呼びかける
| 対象となるのはガソリン、ディーゼル、EVにかかわらず「SUVのみ」 | アメリカでこれをやると銃で撃たれても文句は言えなさそう さて、ここ最近報じられるのが過激な環境団体による自動車や芸術品の破壊 ...
続きを見る
最新のガソリン車よりも、10年前のガソリン車のほうが環境汚染度が低い
そこで今回「最新のガソリン車よりも、10年前のガソリン車のほうが環境汚染度が低い」という持論を展開しているのは環境団体「ポッシブル」。
その理論について解説してみると、まずイングランドにおいては、「所得上位20%の層は、他の80%の層の自動車所有者よりも、汚染度の高い車を所有している可能性が81%高い」としています。
この「汚染度の高いクルマ」とは、車両が大きく、製造時や走行時に環境負荷が大きなクルマを指しており、つまりお金持ちは大きなクルマを持っていると指摘しているわけですね。
この統計についてはおおよそ現実を表している可能性が高く、実際に「欧州では、AMGの4台に1台がG63」であるという統計もあるので、お金持ちが大型SUVを好むことは間違いなさそうです。
-
メルセデス・ベンツ「AMG」、BMW「M」の販売が世界的に好調。AMG一番人気はG63、欧州だとメルセデスAMGの4台に1台がG63という構成に
| どうりでいずれのブランドも「高価格帯」「ラグジュアリー」「スポーツ」を目指すわけである 高価格モデルは「売上高が伸び」「利益単価も高い」ために自動車メーカーにとって非常に有用である さて、現在は ...
続きを見る
そしてこれは上で挙げた「欧州では小型SUVが好まれる」というのとは相反する結果となってしまいますが、実際にお金持ちも大型SUVやスポーツカーに乗っていながらも、「周囲の目が気になる」と考える人が多いという統計もあるようで、大型SUVに乗る人々も実際には「小型SUVに乗るべきである」と考えているのかもしれません(他人に配慮せねばならない時は小型SUVに乗っているのかも知れない)。
要は感情捜査による支持集めだとも考えられる
さらに今回の調査では「英国において、新車のSUVの75%が都市部に住む人々によって登録されている」ことが明らかになっていて、つまりはSUVを必要としない人々がSUVを購入していることについても言及しており、ポッシブルが言うには「2013年にはセダンやハッチバック、ステーションワゴンを購入していた人々が、今や大型SUVを購入している」。
これがつまり「10年前のクルマよりも今のクルマのほうが環境汚染度が高い」としている根拠であり、ポッシブルが「環境に悪い」と断じているのは単にクルマの大きさを指していて(10年前のクルマと現代のクルマとのCO2排出量の差には言及していないようだ)、「お金持ちが必要もないのに大型SUVを乗り回し、環境を汚染している」というイメージ操作を行っているようにも思えます。
もちろんこれは、そう思わせることで(お金持ちに対する怒りを喚起し)多くの人々の支持を集めることを意図しての行動だとは思われますが、多くの環境団体がそうであるように、ちょっとお粗末な理論なのかも知れません。
ただ、ポッシブルはじめいくつかの環境団体の言う「SUV=悪」が根付きつつあることもまた事実であり、実際に環境に対して好ましくない影響を及ぼすSUVも少なくはなく、世の中の認識として大型SUV乗ることが「あまりよろしくない」ということになりつつあるのは間違いのないことだと思われます。
合わせて読みたい、関連投稿
-
ハマーEVは「環境に優しい」クルマとなるはずだったが・・・。実際はガソリンエンジン搭載セダンよりも多くのCO2を排出し、環境に負荷をかけるという試算結果
| ハマーEVはあまりに大量の電力を消費し、その分の電力の発電に際して発生するCO2はガソリン車よりも多い | このまま「パワフルで重い」EVを多くの自動車メーカーが作り続ければ、CO2削減からは大き ...
続きを見る
-
今度は環境団体が欧州の「広告をジャック」。トヨタとBMWを対象に400枚のネガキャン広告を貼りまくる。とくにトヨタに対しては「二枚舌だ」と厳しく非難
| それぞれの広告を見ていると、風刺が効いていてなかなかに面白い | もっと正当な手段にて、誰にも迷惑をかけない抗議活動を行えば耳を貸す人も増えそうだ さて、このところ何かと派手な抗議活動が報じられる ...
続きを見る
-
パリにて「SUVの駐車料金割増規制」が導入決定。ただし車両のサイズ、重量、パワートレーン、家族構成によっても金額が変わり、複雑怪奇な料金システムとなりそうだ
| SUVの販売を抑制したいのであれば、販売時の課税を強化すればいいようにも思えるが | ここまで来ると何が公平で何が不公平なのかはわからなくなる さて、欧州は何にでも税金を課すことがあり、古くは「窓 ...
続きを見る