| ただしそのコレクションの「実際」については誰も把握していない |
もしかすると国王自身も自分のコレクションを把握していないのかも
さて、カーコレクターの間でよく話題に登るのが「ブルネイ国王(ハッサナル・ボルキア)の個人カーコレクション」。
このコレクションについては公式に明かされておらず、しかし一般には「7,000台程度を所有している」と言われていて、これは毎日同じクルマに乗っても19年以上かかり、その価値は50億ドル(現在の為替レートにて7100億円くらい)、投じた費用は300億ドル(4兆3000億円くらい)だとも言われています。※2,400台くらいという推測もあるようだが、当然ながら誰も事実を把握できない
これはおそらく世界で最も大規模な個人カーコレクションであり、たとえ2,400台であってもラルフローレンやジェイ・レノを遥かに凌ぐ物量であるのは間違いなく、そこで今回、わかっている範囲でのコレクションに焦点を当てた動画が公開に。
なお、このコレクションは「個人」とされるものの、実際には国王の弟であるジェフリ・ボルキア、そして王室の他のメンバーの所有物も含まれているとされ、しかしそれでも「国王一家」の持ち物であることには変わりはなさそうですね。
ブルネイ国王のコレクションにはこんなベントレーが含まれている
そしてまずはベントレーからですが、ベントレーだけで380台(価値にして8000万ドル)ほどを所有しているとされ、その多くは現在のベントレー(フォルクスワーゲングループ傘下)ではなく前時代のものであるようで、1980年代から 1990年代のものが中心となっており、アズールまたはコンチネンタル、およびそれらをベースにしたコーチビルド車両が多いとされています。
なお、ブルネイ王室はSUVやワゴンを好む傾向があり、ピニンファリーナなどのコーチビルダーに依頼して車両をカスタムすることも多く、しかし自動車メーカーが直接カスタムしたものも少なくはないものと思われます。
ちなみにこちらは「ドミネーター」と命名されたベントレーのSUVですが、ベンテイガの登場するはるか前にこのクルマを作っていたということになり、先見の明があったと言っていいのかも。
参考までに、ブルネイ王室は同じクルマを「複数台」注文することでも知られ、そしてもちろんこのドミネーターも数台まとめて注文されたそうで、1台あたり460万ドル(当時)のコストが掛かり、しかしこのドミネーターの支払い(現金)は困難な状況にあったベントレーをおおいに助けることになったのだそう。
そのほか、コレクションに収蔵されるベントレーとしてはコンチネンタル R スーパーファスト、バッカニアGT クーペ、ツインターボV8を搭載したジャワ(複数ボディ形状あり)、フェニックス・コンバーチブル、キャメロットクーペ、ハイランダー 4ドア GTといったクルマもあるもよう。
ブルネイ国王のコレクションにはこんなフェラーリが含まれている
そしてブルネイ国王のコレクションとしてよく知られるのが「様々なフェラーリ」。
ブルネイ王室はフェラーリにとって非常に重要な顧客であり、限定台数の枠を超えて車両をオーダーすることができるとも報じられていますが、F50についても349台という「公式に」作られた台数の他に数台のF50を「別に」注文していることが明らかになっています。
そしてその「数台」の中には通常の仕様を持つF50に加え、完全に新しいボディワークを持つ「F50ボリード」といったクルマもあるもよう。
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さらにはたった1台しか存在しない「マットブラックの」エンツォフェラーリを所有していたこともあり、こちらは少し前にオークション経由にて売りに出されていますね。
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超上位顧客にのみ許された特別色「マットブラック」のエンツォフェラーリが競売に!存在するのはもちろん1台、注文したのはブルネイ王室
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いずれのフェラーリも高度にカスタムされており、(フェラーリが直接手を加えた車両のほか)その多くの製作を担当したのはピニンファリーナだとされ、最近になって「F90」なるフェラーリが明らかになったほか・・・。
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フェラーリ「SF90」ではなく「F90」。過去にブルネイ王族のために作られた、歴史上もっとも謎に満ちたフェラーリを見てみよう
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「FX」なるフェラーリも。
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こんなフェラーリ見たことある?ブルネイ王室が所有していた「フェラーリFX(FXXではない)」「456スパイダー」など超レアカーを納めるガレージが存在した【動画】
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ぼくの大好きな「ミトス」もブルネイ王室によって所蔵され・・・。
11台すべてカラー違いのF40に加え・・・。
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7台も発注されたという458GTのワゴン”ヴェニス”、そして456スパイダーは有名どころ。
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超希少、フェラーリ456GTワゴン「ヴェニス」が目撃される!ブルネイ王室がオーダーした特別仕様で価格は1台1.75億、なんと7台同時に発注した模様
| ただし目撃されたフェラーリ456GTヴェニスはこのシルバーの個体1台のみ | さて、フェラーリ456GT「ワゴン」がロンドンの路上にて目撃。このフェラーリ456GTワゴンはブルネイの王族(スルタン ...
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こちらは456GTの「4ドア」版。※この存在はあまり知られていない
そしてフェラーリが公式では1台しかつくらなかったテスタロッサ・スパイダーがなんと7台も。
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世界に2台しか存在しないと思われたフェラーリ・テスタロッサ・スパイダー。なんと今回ほかに7台、さらには数台存在することが判明し、うち1台が競売に
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ブルネイ国王のコレクションにはこんなポルシェが含まれている
そのほかブルネイ王室は大量のポルシェを保有していることでも知られ、55台の928、32台の928 S4、さらには複数台の959、そして962Cといったレーシングカーや・・・。
さらにダウアー962Cル・マンも(12台生産された公道走行バージョンのうち、5台を所有している)。
そのほかX88パッケージを装着した希少な911ターボ3.6やカレラGT、さらに・・・。
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「イエロー」をテーマにカスタムされたポルシェの一団も。
そのほか、ブルネイ国王のコレクションにはこんなクルマが収まっている
これらのほかにも「600台以上のロールス・ロイス」が保管されていることが明らかになっており、2011年には「世界最大の民間ロールス・ロイス・コレクション」として正式に認定されたこともあるほどで、さらに驚かされるのはブルネイ王室は「1990年代のロールス・ロイスの販売の半分を占めていた」ということ。
ロールス・ロイスだと、ファントムVI、ファントム ロイヤル、ステイツマンなどがコレクションに収まっていることが判明していますが、コレクションのうちファントム II コンチネンタル(1934年)が1400万ドルで販売されたことがあり、これもまた当時「もっとも高価で取引されたロールス・ロイス」としてギネス認定されています。
さらにはアストンマーティン・ヴァンテージをベースにピニンファリーナがカスタムしたグランドツアラー「AM3」含む、数多くのアストンマーティン、そして77台しか生産されなかったOne-77のうちの10台、106台しか生産されてないマクラーレンF1のうちの10台、3台しか存在しないマクラーレンF1ロングテール(GTR)のうちの1台、5台のみが作られたマクラーレンF1 LMのうちの複数台も。
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さらには複数台のブガッティEB110(生産139台)の存在も確認され、このEB110のうちの一台(シャーシ39001)が過去に売りに出されたことがありますが、インテリアには「ブガッティは、ブルネイ王室のために最初のモデルEB110Sスーパースポーツを生産できることを光栄に思います」と記されたプレートが装着されていることもわかっていますね。
そして大量の(おそらく数百台)のメルセデス・ベンツも保管されており、「 S73T AMG ワゴン」なるクルマはW140型メルセデス・ベンツSクラスをベースとするものの、パガーニ・ゾンダ C12Sと同じ7.3 リッター V12 エンジンを搭載しているのだそう。
そのほかBMWが施策したナスカM12など大量のコンセプトカーも所蔵されていると言われます。
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とにかくこのスルタンのコレクションは謎に包まれており、どういった車両がどこに、どういった状態で保管されているのかはまったくわからず、ごく一部の招待された人々から伝えられる話、そしてこれらのクルマを販売したコーチビルダーの話、そして売りに出された車両からその片鱗をうかがうことができるくらい。
そしてなぜ「時々売りに出されるのか」もまったく理由がわかっておらず、世界最大規模にして「世界で最も謎多き」コレクションだと言えそうです。
ブルネイ王室のカーコレクションを紹介する動画はこちら
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