■そのほか自動車関連/ネタなど

「欧州における自動車業界の指標」ドイツではEV購入補助金の廃止とともにEV販売が28%も減少し「補助金なしではEVが売れない」ことが明らかに。なお2月には新大臣が選出され補助金復活の可能性も

メルセデス・ベンツ

| 「補助金なしでは売れないようでは健全とは言えないが、まだまだEVが高価である以上、補助金の提供は必須かもしれない |

これでは中国の状況をとやかく言うことはできない

さて、アメリカや中国では「EVの販売が伸び」、しかし一方でそのEV需要が伸び悩んでいるのが”環境意識が世界で最も高いはずの”欧州市場。

とくにドイツでは(EV購入のための)補助金を廃止したとたんにEVの販売が27.4%も急落することとなっています。※2023年12月、ドイツ政府はEV購入者に対する最大€4,500のインセンティブを廃止している

結果的にEV(電気自動車)は市場シェアを失ってしまい、2024年の新車販売全体では、わずか13.5%を占めるにすぎなかったと報じられ、この現象についてはあるアナリストが2024年を「電動モビリティの失われた年」と表現したほど。

ヨーロッパ最大の自動車市場にてまさかの「EV低迷」

EV販売が落ち込む一方、ハイブリッド車の販売は12.7%増加し、PHEV(プラグインハイブリッド車)は9.2%増を記録していて、昨年新たに販売されたバッテリー電気自動車(BEV)はわずか380,609台にとどまり、2023年の数値から大幅に減少していますが、ヨーロッパの自動車トレンドの指標とされるドイツにとって、この結果は非常に厳しいものです。

なお、台数についてさらに言及すると、ハイブリッド車は947,398台が販売され(新車販売全体の33.6%)、PHEVだと191,905台(市場シェアは6.8%)。

皮肉なことにガソリン車は引き続き最も一般的なパワートレーンとなり、昨年は991,948台が販売されて全販売の35.2%を占めています。※1.4%ではあるが増加している

L1004670

ドイツでは再び「EV購入補助金」導入の可能性

このドイツ全土でのEV販売不振の主な原因は2023年12月末に実施された補助金廃止にあると推測されていますが、上述のとおり購入者はEV購入時に最大€4,500の補助金を受け取ることができ、製造業者も1台あたり€2,250の支援を受けていたものの、ドイツの交通大臣フォルカー・ウィッシング氏は「EV市場が政府の支援なしに自立するべきだ」と主張してこの補助金を打ち切ってしまったわけですね。

たしかに同大臣の言うことは「もっとも」で、支援がないと成り立たない市場は不健全という印象が否めず、しかし今回の反動を見るに、補助金の打ち切りはいささか時期尚早であったのかもしれません。

ただ、EV購入に対する支援を望むドイツ人にとってすべてが失われたわけではなく、2月23日には新しい大臣が選出される予定だといい、オラフ・ショルツ首相は「EUレベルでの新たな支援プログラムが導入される可能性」を示唆しています。

実際のところ、多くの政治家が自動車産業へのさらなる支援を訴えており、EUが新たな内燃機関車の販売禁止に向けた計画を推進する中、業界全体への支援の重要性が増しており、今後の対応に注目が集まります。

L1005032

参考までにですが、この補助金打ち切りは自動車メーカーの中でも大きく明暗が分かれ、フォルクスワーゲンは市場を支配し536,888台(3.4%増)を販売して19.1%の市場シェアを確保。

しかしEVオンリーのラインアップであるテスラは販売が41%急落してわずか37,574台にとどまっていて、この結果は、補助金削減と経済の不確実性が「EV業界の巨人」にも影響を及ぼしたことを示すものにほかなりません。

一方、ハイブリッドに強いトヨタは27%増加、プジョーは44%の大幅な伸びを記録しましたが、これに対してEVへのシフトを進めていたアウディ(-18.1%)やBMW(-0.1%)は苦戦することになり、ポールスター(-49.4%)やBYD(-30.2%)などの小規模EVメーカーもEV販売不振に巻き込まれる結果となっています。

あわせて読みたい、関連投稿

テスラ
残酷だが崩れる時は一瞬である。ドイツでのEV販売が14%減、そしてもっとも大きく販売を失ったのはテスラ。もはやテスラは「その他大勢」のひとつに

| もはやテスラはほとんどの市場で輝きを失ってしまい、こうなると低価格EVの発売に期待をかけるしかない | 現在、テスラのブランド力がまだ威力を発揮するのは地元アメリカくらいである さて、世界各地にて ...

続きを見る

テスラ
環境先進国ドイツではEV販売が22%、テスラの販売が55%も急落。EV購入補助金廃止が原因だとされるが、補助金に依存した「エコ」とは何だったのか

| 誰もが環境に配慮したいとは考えているが、自分の身銭を切ってまでそれに貢献できる人は非常に少ない | このままだと政府の掲げる目標は「絵に描いた餅」になるだろう さて、現在(中国を除く)世界中のEV ...

続きを見る

ポールスター
欧州最大のEV市場、ドイツでは7月のEV販売が38%減少、EV先進国のスウェーデン、スイスでも大幅減。数年前のEVフィーバーはいったい何だったのか

| EV販売の減速はあまりに「急激すぎ」、自動車業界に広く影響を及ぼしている | EV関連パーツのサプライヤーは会社存続の危機にまで直面 さて、昨年11月あたりから鮮明になったのが「全世界規模でのEV ...

続きを見る

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

-■そのほか自動車関連/ネタなど
-, , , ,