
| ブリティッシュ・レーシング・グリーンは自動車業界において最もアイコニックなカラーのひとつである |
そしてボクの好きなボディカラーのひとつでもある
「ブリティッシュ・レーシング・グリーン(BRG)」はぼくが大好きなボディカラーのひとつでもありますが、モータースポーツファンにとっても「これほどほど有名」な色はないかもしれません。
英国のレーシングカーやロードカーを象徴するこの深緑色は、フェラーリ、そして過去にはマツダ・ロードスターの純正色、そしてGR86の限定モデルに採用されたこともあるなど、現代でも広く愛されています。
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モータースポーツを象徴する伝統色「BRG」、ゴードン・ベネット・カップと国別カラーの誕生
この象徴的なカラーの歴史はヨーロッパにおける自動車レース黎明期である1900年代初頭に遡ります。
1900年から1905年にかけて開催されたゴードン・ベネット・カップは、自動車レースにおける国別対抗戦の始まりであったといい、各国は視認性を高めるために代表カラーを採用し、フランスは青、ドイツは白、ベルギーは黄、イタリアは赤、そして英国は緑を選択することに。
1901年、英国が初めて参戦した際に使用したのは、ナピア(ネイピア)・グリーンと呼ばれるオリーブ色。
これは参戦車両を製造したデイヴィッド・ナピアの好みによるものとされていますが、このカラーで臨んだ1902年の大会では見事優勝し、翌年の開催権を獲得しています。
1903年:アイルランド開催と「シャムロック・グリーン」
しかしながらこの時期、英国本土では自動車レースが危険視され、さらに国会によって最高速度制限(時速20km。いまとなってはかなり遅い速度である)が設けられていたためレースは開催できず。
そのため、1903年の大会はアイルランドで実施されることになり、英国チームは開催地に敬意を表してシャムロック(クローバー)グリーンに塗装したと伝えられています。
この時の色が、後に「ブリティッシュ・レーシング・グリーン」として定着し、長く英国車の象徴として用いられるようになるわけですね。
なお、「シャムロック」はアイルランドの国花でもありますが、アイルランドの守護聖人である聖パトリックが好んでシャムロックを用いたことから、彼の地でシャムロックは単なる植物ではなく、アイルランドの文化的・歴史的なシンボルとして広く認識されています。
BRGの色合いは一つではない
ただし、BRGの正確な色合いには明確な定義がなく、1903年以降も英国のメーカーはそれぞれ異なるトーンのダークグリーンを採用し続けており、1960年のRoad & Track誌は「ナピア・グリーンが望ましい」と記している一方、「シャムロック・グリーンこそBRGの元祖」とする説もあり、今なお議論の余地があるもよう。
つまり、BRGとは単一の色ではなく、「英国レーシングカラー」という概念そのものが重要視されたもので、なんとなく「シャムロックを連想させるグリーンであればOK」なのかもしれません。
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まとめ
- BRGは1900年代初頭のゴードン・ベネット・カップに起源を持つ。
- 初期はナピア・グリーン、1903年のアイルランド開催ではシャムロック・グリーンが用いられた。
- 正式な規格色は存在せず、各時代・メーカーごとに異なるトーンが採用されている。
こういった背景もあり、現代のブリティッシュ・レーシング・グリーンは、単なる色を超えて「英国モータースポーツの伝統と誇り」を象徴する存在であり続けています。
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参照:Jalopnik