
| 食器用洗剤でクルマを洗うのはNG?塗装に悪影響を与える理由 |
実は食器用洗剤は「クルマに優しくない」?
さて、キッチンに常備されている食器用洗剤。
泡立ちも良く、油汚れに強いため、「これでクルマも洗えるのでは?」と思う人も多いかもしれません。
実際のところぼくもその一人で、主には「安価で入手しやすく、汚れ落ちが抜群」という理由にて食器用洗剤を20年以上も洗車に使用してきたのですが、ネット上で見かけたのが「台所用洗剤はクルマの塗装にとって最悪の選択肢である」というコラム。
確かに強力な洗浄力がありますが、それが“強すぎる”ことが問題だといい、その内容を見てみましょう。
洗剤の「脱脂力」が塗装の保護膜を奪う
一般的な食器用洗剤は、油と水を混ぜ合わせて汚れを落とす界面活性剤(サーファクタント)を多く含んでおり、この働きはフライパンの油汚れには効果的ではあるものの、クルマのワックス層やコーティングにも同じように作用してしまうことが問題なのだそう。
自動車の塗装面には、クリア層の上にワックスやシーラント(保護剤)が塗られていて、これらは油分や植物性成分(カルナバ、蜜蝋など)で構成されており、紫外線や酸性雨から塗装を守るという役割を果たします。
ところが、食器用洗剤の強力な脱脂成分がこの保護層を溶かして洗い流してしまう、という問題が指摘されているわけですね。
結果:ツヤ消失、色あせ、ひび割れ
ワックス成分が失われると、塗装面は直射日光や雨、ほこりなどのダメージを直接受けるようになり、その結果——
- 光沢がなくなり「くすんだ」外観に
- 水弾き(撥水)がまったくなくなる
- 時間の経過とともに退色・酸化・ひび割れが進行
一度こうなってしまうと、通常のポリッシュや再ワックスでは元に戻せないことも。
ゴムや樹脂パーツも劣化させる
さらに厄介なのが、ゴムやプラスチック部分への影響で、ドアシールやウィンドウモール、ヘッドライト周囲の樹脂パーツには保護油分が含まれていますが、食器用洗剤を使うとそれらが奪われ、乾燥・ひび割れ・白化の原因となるのだそう。
また、最近のクルマに多いプロテクションフィルム(PPF)やラッピング(ビニール製)にも悪影響を及ぼすとされ、これらは熱可塑性ウレタンなど繊細な素材でできており、食器用洗剤で洗うと劣化や変色が早まる、としています。
例外的に「使ってもいい」ケース
ただ、例外的に、食器用洗剤を使ってよい場面もあるとされ・・・。
- コーティングやワックスを完全に落としてから再施工したいとき
- 鳥のフンや樹液を一時的に除去したいとき(スプレーに数滴混ぜる程度)
ただし、定期的な洗車には絶対に不向きであることもあわせて強調されていて、あくまで一時的な“脱脂剤”として使うに留めるべき、と述べています。
正しい代用品:カーシャンプーを使おう
塗装を守りながら汚れを落とすには、専用のカーシャンプーを使うのが鉄則だといい、カーシャンプーは、洗浄力と潤滑性のバランスが取れているため「塗装表面を劣化させにくく」設計されているのだそう。
食器用洗剤のような強力な洗浄剤で頻繁に洗えば短期間でワックスやコーティングが失われ、塗装や樹脂が劣化してゆくことになり、「カーシャンプー+柔らかいスポンジ+こまめなワックス施工」が美しいボディを長く保つ秘訣だと締めくくられています。
これからボクはどうすべきか
そしてここで考える必要があるのが「今後ボクはどうすべきか」。
上述の通り、ぼくはこの20年以上も台所用洗剤をクルマに使用してきたのですが、その理由は大きく分けると以下の通り。
- カーシャンプーの信頼性:カーシャンプーはけっこう高額な割に、記載される成分が台所用洗剤と変わりはなく、しかもよく知らない会社が製造・販売している。であれば高額な研究開発費を投じる大手専門メーカーによる台所用洗剤のほうが信頼できる
- 台所用洗剤の信頼性:台所用洗剤を用いて洗うものも「金属、ゴム、プラスチック、ガラス」という自動車の構成部品と同じ素材であり、かつ自動車よりも繊細な製品を洗うもので、よってそれらを傷めないのであれば自動車の部品を傷めることもないであろうという判断
- 台所用洗剤の保護性能:カーシャンプーに比較して台所用洗剤のほうが「手荒れが少なく」、つまり攻撃性が少ないと思われる。加えて泡立ちも良いので塗装面への攻撃性も低い
- 現実的な問題:実際のところ、20年ずっとこれを使用してきているものの、発生した問題は皆無であり、さらには他の人よりもボディや樹脂を美しく保てているという自負がある
こういった理由もあってぼくは今後も「洗車に台所用洗剤を使用する」のをやめるつもりはなく、参考までに今使用しているのは「キュキュット」「ファミリーフレッシュ」「ジョイ」「チャーミーマジカ」。
とくにこだわりはないのですが、いずれも「中性」というところが共通しており、そのとき目についた製品をドラッグストアで購入するようにしています。※もちろん、洗車グッズ専門メーカーの高品質なカーシャンプーが優れることも理解はしているが、そこまでのコストをかけるより、台所用洗剤を使用しつつも、愛情をかけて丁寧にメンテナンスしたほうがコスパがよく、クルマにとってもいいだろうと考えている
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参照:Jalopnik



















