｜ もし本当に米国で軽自動車の販売が可能となれば「大きく事情が変わってくる」 ｜
トランプ大統領 軽自動車の米国生産・販売を指示：日本発「軽カー」がアメリカ市場に参入へ
とにかくデカくて頑丈なクルマ、そしてアメリカンマッスルが好まれるという印象があるアメリカの自動車市場ですが、なんと今回トランプ大統領が、日本の「軽自動車（軽カー）」の米国での生産と販売を承認するよう指示を出したことが明らかに。
大統領自身が「とてもかわいい（Very Cute）」と称賛したこの小型車がアメリカの規制の壁を越えて市場に登場する可能性が一気に高まっており、ここではこの衝撃的な発表の背景、実現への課題、そして日米自動車メーカーへの影響を考えてみたいと思います。
軽自動車米国解禁のポイントを3行で
- トランプ大統領が直接指示：燃料経済性規制の緩和と合わせ、軽自動車の米国生産・販売を「承認」するよう運輸長官に指示
- 最大の壁は安全基準：米国の連邦自動車安全基準（FMVSS）を満たさない車両は新規登録が原則不可。規制緩和の具体的な中身は未定
- 実現すれば市場に破壊的変化：超小型・低価格・高燃費の新カテゴリーが誕生し、EV政策と相まって都市交通を変える可能性
トランプ発言の核心：ビートルになぞらえた「小型車回帰」への期待
トランプ大統領は今回、日本の軽自動車を「かつてのビートルのようだ」と表現しており、これは大衆に広く受け入れられた小型車の「原点回帰」を促す政治的メッセージであるとも解釈できます。
燃料規制の緩和とセットで発表されたことから、「環境性能は保ちつつ、製造コストと消費者価格を抑える」 という、現在の大型車・高価格化するEV一辺倒のトレンドに対するカウンターとしての意図がうかがえます（現在、アメリカの自動車市場では新車価格が上昇しすぎて新車を買えない人々・買い替えインターバルを延長する人々が多数出現している）。
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実現への道のり：超えなければならない「二重の壁」
さらにこの発言に関して運輸長官は「規制をクリアにした」と表明したものの、具体的な方策や導入時期については不明であり、現在軽自動車が米国の公道を走るには二つの高いハードルがある、と言われます。
- 連邦安全基準（FMVSS）の適合：全長・全幅・排気量などに厳格な定義がある「軽自動車」は、米国の安全基準（衝突安全性、装備等）をそのままの形では満たすことができず、規制そのものの変更か、新たな「超小型車カテゴリー」の創設が必要※軽自動車側をアメリカの既存の企画に合わせることは非常に困難であり、それを行うとコストが上がってしまい無意味になる
- 州ごとの登録制度：連邦基準をクリアしても、各州が独自に定める車両登録基準をパスしなければならず、現在、FMVSS未適合の新車の登録を認めている州はほとんどない
参考までに、ステランティスは「欧州も軽自動車に相当する新しい法的な自動車宛ゴリを作るべき」とも述べており、もしかすると全世界的にこの流れが加速するのかもしれません。
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可能性のあるシナリオ：限定利用からのスタートか？
こういった事情があり、完全な「軽自動車」としての解禁は難しくても、「低速車（LSV）」や「近距離移動車（NEV）」といった既存の制限付きカテゴリーに近い形での導入は「比較的」実現性が高いと見られており、例えばこれは一定速度以下に最高速度を制限し特定地域内での走行に限定する方式で、ゴルフカートが一部地域で公道走行できるのと同様の道筋ではありますが、「都市部に限り」これを解禁するだけでも大きなメリットが生じる可能性がありそうですね。
軽自動車規格とは？ そのスペックと米国市場での位置付け
日本の軽自動車の定義と特徴（日本国内規格）
| 項目 | 規制上限（目安） |
|---|---|
| 全長 | 3.40m以下 |
| 全幅 | 1.48m以下 |
| 全高 | 2.00m以下 |
| 排気量 | 660cc以下（ターボ含む） |
| 最大出力 | 64馬力以下 |
| 定員 | 4名まで |
| 特徴 | 車両税・保険料が安い、燃費が極めて良い、街中での取り回しと駐車が容易、メンテナンスコストが安価 |
米国市場における競合と可能性
軽自動車が仮に米国市場に投入された場合、以下の車両と競合・共存することになるものの、最大の魅力は「圧倒的なコストパフォーマンス」。
もし米国生産が実現すれば、輸入車ではなくなり関税の影響を受けなくなるため、1万ドル台前半という極めて安価な新車として市場に投入できる可能性さえ出てきます。
- 競合シナリオ：
- 超小型EV（スマートEQなど）：サイズは近いが、軽自動車は価格で優位か
- 小型サブコンパクト車（三菱ミラージュなど）：軽自動車はさらに小さく安く、燃費で圧倒
- 共存・補完シナリオ：
- 都市部のセカンドカー／シェアリング車両：大都市の駐車問題と短距離移動の課題を解決
- カレッジタウンやリタイアメントコミュニティ：限られた地域内での移動手段として最適
結論：実現は容易ではないが、市場に問うた「小さな革命」の意義
トランプ大統領のこの発言が「すなわちハイウェイを軽自動車が走る未来をもたらす」わけではなく、実際に規制緩和の具体的な工程は不明であり、自動車メーカーがビジネスとして成立させるだけの需要を見込めるかどうかも不透明です。
もし米国生産が実現したとしても、そこへ至るまでの生産準備には「年単位」の時間を要し、さらには消費者が「販売価格を重視する」ために値下げ競争が始まってしまい、既存ラインアップを侵食するようなことがあれば自動車メーカーの利益を圧迫してしまう可能性も。
しかしこの発表が持つ真の意義は、「大きければ大きいほど良い」というアメリカン・ドリーム的な自動車観に対する強烈な問題提起にあると言え、都市部の渋滞と駐車問題、若年層の自動車離れ、そしてEV移行に伴う車両価格高騰という課題を前にして「もっと小さく、もっとシンプルに、もっと安く」 という選択肢の可能性を「最高権力者自らがが公に示した」ことは無視できない事実です。
日本メーカーにとっては、国内市場が縮小傾向にある中で全く新しい巨大市場への扉が”わずかでも”開かれた瞬間であり、今後ホンダ、スズキ、ダイハツといった軽自動車の雄がこの「政治的シグナル」にどう反応するのか、そしてフォードやGMといった既存の米国自動車メーカーがどういったコメントを行うのかにも注目ですね。
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