| ベントレーの未来はどこへ行く? |
ベントレーがロイヤルカレッジ・オブ・アートの学生とコラボレーションし、「2050年、未来のベントレー」を募集。
ベントレーのチーフデザイナー、シュテファン・シーラフ氏は「ベントレーは常にラグジュアリーにおける最前線を研究してきた。ロイヤルカレッジ・オブ・アートは自動車デザインを学ぶ場としても有名であり、我々は”ものごとを異なる角度から捉える”デジタルネイティブ世代の考えた未来に触れてみようと考えた」と今回の目的を語っています。
なお、ベントレー自身は未来についてまだ”決めかねている”状況のようで、フルエレクトリック路線に進む、そしてスポーツカーから撤退する、という意思を示していますね。
「ベントレーらしさ」はいずこへ
なお、今回の作品を見ると、まだ入学二年ということもあってか、まだまだプロダクトデザインには慣れていない模様。
どういうことかというと、これらの作品はどれをとっても「ベントレーだと認識できない」ということ。
自動車のデザインは、そのクルマを知らない人が見ても「これはBMWの新車だな」「初めて見るが、メルセデス・ベンツはこういったクルマを発売していたのか」と思わせる必要があるわけですね。
それはエンブレムやバッジではなく、もっと直感的にわかる視覚情報によって表現されるべきで、たとえばポルシェのカエル顔、BMWののキドニーグリル、ブガッティの馬蹄形グリル、ロールスロイスのパルテノン神殿グリル、というところ。
つまりそのクルマをそのブランドのクルマであると理解させることが出来る要素ということになり、自社内の競合を覚悟してまでもメルセデス・ベンツ、BMW、アウディが金太郎飴デザインを採用する理由はここにあります。
ところが今回の作品を見ると、直感で「ベントレー」だと認識できるものはなく、逆にこれらへと「アウディ」「メルセデス・ベンツ」「BMW」などほかメーカーのエンブレムを付けても違和感がないんだろうな、とも思います。
ちなみに「ベントレーらしさ」の一つの要素はこの「リアの大きなマスと、長いリアオーバーハング」。
コンチネンタルGTはスポーツカーなので、本来であれば「長大なリアオーバーハング」は好ましくないのですが、ブランドイメージを守るために”あえて”このデザインを持たせているわけですね。
なお、未来の車というと「タイヤがない」「タイヤがボディと融合」「空を飛ぶ」というのは定番、というかむしろステレオタイプな表現。
しかし多くのデザイナーがそこに挑戦しており、これもやはりそういった「ありがち」なデザイン(そしてベントレーらしさはない)。
本職のデザイナーが考えた「未来のクルマ」を見てみよう
なお、映画には「タイアップ」という名目で各自動車メーカーが「未来のクルマ」を登場させていますが、もちろんそのブランドの認知度を高めるためにデザインされており、そのブランド「らしさ」が表現されています。
まずは「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」に登場する28世紀のレクサス”スカイジェット”。
LEXUSの「レ」、そしてあのスピンドルグリルが採用されています。
こちらは「マイノリティリポート(2002)」に登場のレクサス。
2054年という設定ですが、デザインされた当時はまだスピンドルグリルが「定型化」していなかったようです。※スピンドルグリルの起源は2007年
そして「アイ,ロボット(2004年)」に登場のアウディRSQ(2035年モデルという設定)。
のちの「アウディR8」に繋がるデザインですね。
「エンダーのゲーム(2013年)」に登場した2088年モデルの「アウディ・フリート・クワトロ・コンセプト」。
シングルフレームグリルが確認できます。
そして「エリジウム(2013年)」に登場のブガッティの宇宙船(地球と宇宙とを行き来できる)、2159年という設定です。
もはやクルマではありませんが、2159年にはブガッティがクルマを作っているとは限らず(プジョーも昔はコーヒーミルのメーカーだった)、しかしちゃんとツートン、そしてフロントには「EB(エットーレ・ブガッティ)」のエンブレム、そして馬蹄型グリルもあります。※画像は機体の後部
最後は「ブレードランナー2049」に登場した、2049年のプジョー。
プジョーは「3輪車」つまりスリーホイーラーをこれまでにもコンセプトカーとして発表しており、そのつながりなのか、このクルマも三輪車です(空を飛ぶことも出来る)。※プジョーはバイクでも三輪車を市販している