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中国市場が直面する「EV冬の時代」—BYDがマイナス32%、シャオミも販売急落。購入税免除の廃止と5%増税、一体何が起きているのか

中国車

| 中国市場は「上下」があまりに大きく安定した販売を読みにくい |

記事の要約(ポイント3選)

  • 免税終了の衝撃: 10年以上続いたEV購入税(10%)の全額免除が終了。2026年1月より5%の課税が開始され、消費マインドが大きく冷え込む
  • 主要メーカーの苦境: 王者BYDが前年比30%減、シャオミ(Xiaomi)やシャオペン(Xpeng)も軒並み大幅ダウン。駆け込み需要の反動が直撃
  • 市場の二極化: ファーウェイ(AITO)などの一部ブランドは好調を維持。「価格競争」から「技術・価値競争」への強制シフトが加速

ついに始まった「補助金頼み」からの脱却

世界最大のEV市場である中国にて、まさに今「大きな地殻変動が起きている」という報道。

これまで中国のEVシフトを強力に後押ししてきたのは政府による手厚い優遇措置で、しかし2026年1月1日を境にそのルールが激変。

政府は新エネルギー車(NEV)に対する購入税の全額免除を廃止して5%の徴収を再開しており、この決定が引き金となってBYDやシャオミといった「勝ち組」メーカーの販売台数が1月に急落することとなっています。

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Xiaomi

1月の販売データが示す「冷や水」の現実

2026年1月の販売速報は多くの投資家や業界関係者に衝撃を与えるに十分なもので、最大手のBYDは1月の販売台数が約20.5万台と前年同月の約30万台から約32%も減少し、特にピュアEV(BEV)の落ち込みが激しく、プラグインハイブリッド(PHEV)へのシフトが見られます。

また、スマートフォンからEV事業に参入し快進撃を続けていたシャオミも12月の5万台超から1月では3.9万台へと大きく数字を落としていて、これらは増税前の12月に需要が集中した「駆け込み需要」の反動であると分析されているようですね。

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2026年 中国EV市場の新ルールと現状

今回の減速の背景にある、新税制と市場環境をまとめると・・・。

2026年からの新・購入税制度

項目旧制度(2025年末まで)新制度(2026年〜2027年)
購入税率0%(全額免除)5%(標準10%の半分)
免税・減税上限最大30,000元(約60万円)最大15,000元(約30万円)
対象車両の条件緩やかなEV・PHEV基準PHEVのEV走行距離が100km以上など厳格化

メーカー別の明暗(1月販売状況)

  • 苦戦: BYD(前年比-30.1%)、シャオペン(同-34.1%)、シャオミ(前月比大幅減)
  • 好調: Aito(問界)。ファーウェイのOSを搭載した最新モデルが好調で、前年比80%増の4万台超を記録
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市場では生き残りをかけた「質の競争」へ

中国政府がこのタイミングで増税に踏み切ったのは財源確保のためではなく、政府の狙いは「乱立する低価格EVメーカーを整理し、技術力のある強い企業だけを残すこと」。※思いっきり競争させておき、強いものだけを拾い上げるという弱肉強食の世界を作り上げている

これまでの「安ければ売れる」時代は終わり、航続距離、自動運転技術、車内エンターテインメントの質が問われる第2フェーズに突入したというのが現在の状況です。

現地の専門家は、「この減速が第1四半期(1-3月)を通じて続くようであれば、政府が再び何らかの販売促進策(下取り補助金の増額など)を打ち出す可能性がある」と予測しており、このあたりのフレキシブルさは「トランプ政権も真っ青」なのかもしれませんね。

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結論:中国EVは「成熟期」への生みの苦しみ

1月の販売急落は、決して中国EV市場の崩壊を意味するものではなく、むしろ”過剰な補助金に頼ってきた市場”が自立した健全な市場へと進化するための「通過儀礼」。

ユーザーにとっては、税負担が増える一方、メーカー間の競争が「値下げ」から「サービスの向上や技術革新」へと移ってゆき(過剰な値下げも禁止されているので、健全な経営を行う自動車メーカーしか生き残れない)、この試練を乗り越えた後は、”より魅力的なモデル”が登場してくる可能性が高く、中国製EVの真価が問われるのは「まさにこの2026年からの数年間といえそうです。※安易に価格に頼って販売を行うメーカーを淘汰し、その反面、技術開発への投資を行い、顧客を保護するメーカーを優遇するものと思われる

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関連情報:知っておきたい「グローバル市場への影響」

中国国内での販売が鈍化することで今後懸念されるのが「在庫の海外流出」。

国内で売れ残った車両が低価格で欧州や東南アジア、中南米市場へ大量に輸出される可能性が高まっていて、これは、日本メーカーを含む既存の自動車大手にとって、さらなる価格競争のプレッシャーとなるかもしれません。

中国の動向は、今や一国の問題ではなく、世界の自動車経済を左右する羅針盤となっているという状況ではありますが、中国政府は「安易は輸出」に逃げないよう、こちらについても規制を行っており、中国政府の「容赦ない」粛清が始まっているように思います。

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