| ここ最近、どのメーカーも同様のコメントを発するようになってきた |
ベントレーは以前より比較的エレクトリック化に対して理解を示しているブランドであり、過去には何度か「エレクトリック化に注力」「現行モデルを順次ピュアエレクトリックモデルに置き換える」という話も出ています。
ただ、直近のコメントだと「エレクトリック化を急いでいない」というものへとシフトしており、これは今までの姿勢とはかなり異なるもの。
そしてその意図としては、「そもそもエレクトリック化されたベントレーの需要はない」「現在のバッテリー性能だと、2025年辺りまではピュアエレクトリックモデルを発売できない」というものだと報じられています。
方向性の定まらないベントレー。「2025年にはEVを発売」←それまではどうするの?
現在のバッテリー性能では不十分
これは実際に、ベントレーCEOであるエイドリアン・ホールマーク氏がTop Gearに語った内容だとして報じられていますが、同様のコメントがポルシェ、そしてフェラーリ、マクラーレンからも発せられています。
フェラーリ「いずれはピュアエレクトリックモデルを発表する。だが、それは2025年以降になる」。やはり現在のバッテリー技術はスポーツカーにとっては「不足」?
おそらくはどの自動車メーカーとも、数年前までのバッテリー性能の進化スピードを見て「近いうちに高性能ピュアエレクトリックカーを作ることができるだけのバッテリーが登場する」「ソリッドステートバッテリーが登場すれば、バッテリー性能が30~50%向上する」と考えていたものの、実際のところバッテリーの価格は高止まりし、かつ性能も大きく進歩しないまま(1年あたり2~3%しか進化していないとされる)。
よって、現在のバッテリー性能だと、ピュアEVを作ったとしても「高く、重く、すぐバッテリーが消耗してしまう」クルマにしかなりえず、要は誰もそんなクルマを欲しがらないだろうということですね。
なお、後5年ほど経過したとしてもまだEVが高価なクルマであることには変わりないとベントレーは考えているようで(ぼくもそう思う)、エイドリアン・ホールマークCEOは「ベントレー最初のEVは、そのビスポーク部門であるマリナーから発売される、高価で少量に生産が限定される車になるだろう」とも。
ベントレーは最近、マリナー名義にて少量限定モデル「バカラル」を発表していますが、このクルマの価格は約2億2000万円。
2シーターロードスターということもあり、このクルマを日常的に乗る人はまずいないと思われ、しかし実はこういったクルマこそ「EV向き」なのかもしれません。
ただ、EVの問題としては、「バッテリー性能がどんどん劣化してゆく」ことで、この点では長期保存を前提としたコレクション用車両としては「不向き」ということになりそうです。※ブガッティは、この観点においてEVはコレクター向きではないとしており、ガソリンエンジン延命を決めている
そう考えるとテスラはやはりスゴイのか
そしてここで思うのが、やっぱりテスラはスゴイんだろうな、ということ。
多くの自動車メーカーが「簡単にテスラを打ち負かせる」と考えて(新興、既存問わず)EV業界へとなだれ込んでいますが、いまだテスラに勝てるだけの性能そして販売台数を誇る電気自動車は登場しておらず、まだまだテスラの優位性が崩れることはないだろう、とも考えています(正確に言うならば、テスラ以上の性能を持つクルマを製造するのは難しくはなく、しかしそれをテスラと同じ価格で提供することが難しい)。
VIA: Top Gear