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ロールス・ロイス・ファントムが100周年を迎える:文化と歴史の象徴としての存在とは

ロールス・ロイス・ファントムが100周年を迎える:文化と歴史の象徴としての存在とは

Image:Rolls-Royce

| 星の数ほどの車種が登場してきたものの、自動車業界において「100歳」を迎えるクルマは稀有である |

さらにロールス・ロイス・ファントムはここから先も100年、200年と続くであろう

さて、ロールス・ロイスが「ファントムが100周年を迎えた」として、その歴史を振り返るコンテンツを公開。

現在「100年を超える」背景を持つ自動車メーカーは少なくはありませんが(メルセデス・ベンツ、BMW、ベントレーなど)、「100年の歴史を誇る」クルマはそう多くはなく(というかファントムの他には存在しないかも)、たとえばポルシェ911で61年、トヨタ・クラウンで70年、トヨタ・ランドクルーザーでは71年です。

ここでそのロールス・ロイス・ファントムとはどういったクルマであったのかを見てみましょう。

ファントムの地位と象徴性

  • ファントムは、過去100年にわたりロールス・ロイスの最上級モデルとして、「世界最高峰のラグジュアリー製品」と位置づけられてきた
  • 8世代にわたって進化しながらも、卓越したクラフトマンシップ、素材、エンジニアリングを継承
  • ファントムは単なる車ではなく、「文化的現象」「個性と威厳の象徴」として、成功や影響力の象徴とされてき
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Image:Rolls-Royce

歴史を彩ったファントムたち

戦争と権威の象徴

  • 第二次世界大戦中、モントゴメリー元帥が使用したファントムIIIは、チャーチル、アイゼンハワー、ジョージ6世を乗せて作戦会議へ
  • エアロダイナミクスを追求した「バトラー・ファントムIII」は、首相や連邦首脳たちも乗車

王室との深い関係

  • 1948年、エリザベス王女とフィリップ殿下が結婚直後に「マハラジャ」のコードネームでファントムIVを特別発注
  • 英国王室にはその後、ファントムIV、V、VIが導入され、女王の戴冠式やロイヤルウェディングにも登場
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Image:Rolls-Royce

新国家の象徴

  • 1966年にUAE建国の父ザーイドが注文したファントムVは、連邦成立の場面に使用され、1979年にはエリザベス女王の訪問時にも再登場

外交の舞台装置として

  • ファントムは英国外交官のステータス・ツールとしても活躍し、パリ、ワシントン、ニューデリーなどで使用
  • フランス駐在の英国大使の言葉「ファントムがあればエリゼ宮でも誰が来たかわかる」
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芸術と文化との関わり

ジョン・レノンとカウンターカルチャー

  • 1964年、ビートルズのジョン・レノンが黒のファントムVを発注し(これについてはロールス・ロイスが後の「ブラックバッジ」との関連性に言及)、後にサイケデリックなカラーでペイント
  • ピカデリーで車に傘を振り下ろした老婦人の話は伝説に
  • 1971年にレノンがNYへ持ち込み、1977年に美術館へ寄贈。1985年にはロック史上最高額でオークション落札
ロールスロイスは「はみ出し者、先見者、反逆者」のための車だった!ロールス自らがその歴史を語り、ブラックバッジは「破壊者だ」と語る
ロールスロイスは「はみ出し者、先見者、反逆者」のための車だった!ロールス自らがその歴史を語り、ブラックバッジは「破壊者だ」と語る

| てっきりロールスロイスは「人生アガリ」の人が乗る保守的なクルマだと思っていたが | どうりでロールスロイスの顧客の平均年齢が若いわけだ さて、ロールスロイスが「ブラックバッジ」シリーズを積極的に展 ...

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映画のスター:ゴールドフィンガーとイエロー・ロールス

  • 『007 ゴールドフィンガー』(1964)では、悪役がファントムIIIで金を密輸
  • 『イエロー・ロールスロイス』では1931年製ファントムIIが主役に。複数のオーナーを通して物語が展開
ロールス・ロイスからも「ゴールドフィンガー」登場。1964年の007映画に登場したファントムの仕様を再現したうえ「ゴールドのインゴット」も内蔵
ロールス・ロイスからも「ゴールドフィンガー」登場。1964年の007映画に登場したファントムの仕様を再現したうえ「ゴールドのインゴット」も内蔵

Image:Rolls-Royce | ナンバープレートは「007 / ゴールドフィンガーに登場したファントムとお恥”AU I”」 | ゴールドのインゴットとこのナンバープレートはそれぞれ車両本体の金 ...

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Rolls-Royce-Phantom (7)

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エルヴィス・プレスリーのファントム

  • ロックの王様エルヴィスは1963年にファントムVを購入
  • 特注ステレオやマイクを装備。母の鶏が車体をつついたため再塗装されたエピソードも
  • 1968年にはチャリティーに寄贈され、レナード・コーエンの歌に登場
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現代におけるファントム

  • 現代では、テクノロジーや個人ブランド力で成功した若者たちが新たなオーナー層に
  • 従来の「財閥や貴族」層とは異なり、独自のセンスや個性を反映したビスポーク仕様が好まれるように
ロールスロイスオーナーの平均年齢は年々若くなって43歳!MINI、BMWよりも若いそのワケとは?

| メルセデス・ベンツ、BMW等他メーカーが50代なのに対して異例の若さ | GQジャパンにて、「ロールス・ロイスの若返りが加速中! ミニより平均年齢が若い理由とは?」という記事が掲載。なかなかに興味 ...

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結論

こうやって見ると、ファントムは100年間にわたり、国家元首からロックレジェンドまで、常に歴史と文化の中心に常に存在し続けてきたことがわかり、しかしその物語は単なる自動車の歴史を超え、世界の変革者たちの軌跡を映し出していて、つまりはそのイメージとは裏腹に「保守的な人々ではなく、常に変化を求める」人々が求めるクルマがロールス・ロイスということに。

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そしてロールス・ロイス自身も若い人々のパワーに支持され新しい道を突き進んでいるということになりそうで、その意味でも自動車業界における反逆者であると同時にリーダーでもあるということなのかもしれませんね。

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参照:Rolls-Royce

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